雇用形態から働き方を考えよう!正社員・契約社員・派遣社員の違い

雇用形態から働き方を考えよう!正社員・契約社員・派遣社員の違い

近年、日本人の働き方の多様化は急速に進んできています。それに伴って、正社員に派遣社員、契約社員やパート・アルバイトなど、雇用形態の分別もかなり詳細化されています。

求人情報を見ていても、それらの様々な雇用形態が入り混じっているので、混乱してしまうという人も多いのではないでしょうか?

そもそも、契約社員や派遣社員と言ったいわゆる非正規雇用の働き方については、なんとなくのイメージはあっても、明確な定義や正社員との違いなど、細かい部分まではよくわからないという方も少なくないかもしれません。

しかし、雇用形態というのは働き方を考えるうえでのベースとも言える非常に重要なポイントです。いくら希望の業界や職種につくことができても、雇用形態の選択を間違えると、労働条件や待遇面の問題から思うように働き続けることが難しくなってしまうこともあり得るのです。

そこで今回は、雇用形態の分類やそれぞれの特徴・違いについて、詳しく解説していきたいと思います。

働き方の基本!雇用形態とは何なのか?4つの主な雇用形態

まずは、雇用形態とは何なのかという基本的な部分を確認しておきましょう。

雇用形態とは…

企業と従業員の間で締結される雇用契約の種類のこと。

個人が労働者として企業に所属するためには、必ず何らかの形で雇用契約を介して関係を結ぶ必要があります。

その雇用契約がどのような形式・条件・内容になっているかによって、雇用契約は主に以下の4種類に分けることができます。

①正社員

企業と直接雇用契約を結ぶ。原則として雇用期間の明確な期限は定めない。

②契約社員

企業と直接雇用契約を結ぶ。雇用期間は原則として、最大3年までの範囲内で限定されるが、契約更新が行われる場合も有る。
非常勤勤務や定年後の再雇用である嘱託社員も広義では契約社員に含まれる。

③派遣社員

人材派遣会社と雇用契約を結んだうえで、別の企業を派遣先として勤務する。給与は派遣会社から支払われる。

④パートタイム労働者

いわゆるパート・アルバイトのこと。企業と直接雇用契約を結ぶ。1週間の労働時間の取り決めが、同じ職場の正社員に比べて短いのが特徴。
パートタイム労働法によって規定される。

この4つの雇用形態では、労働条件や待遇面で少なからず異なる部分があります。

ここでは特に転職の際に選択肢に挙がることが多い、正社員・契約社員・派遣社員の3種類の雇用形態について、それぞれの特徴や他の雇用形態との違いについて、以下に詳しく説明していきましょう。

間違えやすいワード《就業形態》…雇用形態と何が違う?

補足ですが、雇用形態と混同しやすい言葉として、就業形態というワードがあります。

就業形態というのは、かみ砕いて言えば《働き方》のことです。

雇用形態というと、企業と雇用契約を結び労働に従事している状態のみを指しますが、就業形態には企業との雇用関係のない労働者も区分することができます。

つまり、就業形態という働き方の広い定義の中に、企業の雇用を前提にした雇用形態も含まれていると考えて良いでしょう。

就業形態には、上でご紹介した4つの雇用形態に加えて、以下のような働き方も該当することになります。

  • 家内労働(主に物品の製造・加工など一部行程)
  • 在宅ワーク(主にパソコンなど情報通信機器を使用した業務)
  • 業務委託あるいは請負契約を結んで働く

これらはいずれも、企業との雇用関係のない働き方になるため、扱いとしては《事業主》となります。

雇用形態と就業形態は似ているようで明確に定義が異なる言葉なので、正しく区別して覚えておくようにしましょう。

求人情報を見ていると、正社員や契約社員などいろいろと入り混じっていて、混乱してしまうんです…。いったい何が違うんでしょうか?
企業の雇用契約の種類、すなわち雇用形態のことですね。雇用形態は、大きく分けると、正社員と契約社員、派遣社員、そしてパートタイム労働者という4種類に分類されるんですよ。それぞれ雇用契約の内容や形式など、異なる特徴があるんです。

長く安定して働けるのが魅力!正社員とは

まずは正社員について解説していきましょう。

正社員には、基本的に雇用期間の制限など特別な取り決めはなく、長期雇用を前提とした雇用形態です。したがって、解雇の制限は最も厳しくなります。

明確かつ合理的で、法律的にみても不当ではない理由があり、なおかつ30日前までの予告など正当な手続きが行われない限りは、企業の都合で正社員を解雇することはできません。

また、退職する際には原則として退職金を受け取ることが認められており、会社都合で解雇された場合には基本的に失業後すぐに失業給付金を受けることができるようになります。

その代わりに、正社員の勤務時間は他の雇用形態に比べて最も長く、基本的にフルタイム勤務が前提となり、場合によっては転勤もあります。

ただし企業によっては、通常の正社員よりも労働時間や労働日数が少ない勤務形態をとる《短時間正社員制度》を設けているところもあります。また、転勤を伴わない地域限定社員という雇用形態がある企業も少なくありません。

このように勤務条件が多少限定されても、長期雇用の前提や待遇などの面が同じであれば、正社員としての扱いには変わりはありません。

長く安定して働くことができるというのは、正社員の最大の魅力と言っていいでしょう。

正社員の適正な労働を守る…知っておきたい36協定

正社員の労働条件について、必ず知っておきたいのがいわゆる36(サブロク)協定です。

36協定とは…

労働基準法第36条を根拠に、労働者の時間外・休日労働を行う場合に必要な手続きを定めた協定のこと。
これに伴って、企業が従業員に基本の法定労働時間以上の残業や休日出勤を求める場合には、その内容を具体的にした《36協定届》を労働基準監督署に出す必要がある。

この36協定は、端的に言えば過剰な残業や休日出勤を防ぐためのものです。逆に言えば、法的に認められる範囲での残業・休日出勤については、正社員であればある程度受け入れる義務があるとも言えます。

ただし36協定の正式な手続きを踏まずに従業員に時間外労働・休日出勤をさせた場合は、労働基準法違反となります。

とは言え、特に中小企業においては、36協定の遵守は徹底されているとは言えないのが現状です。中には大手企業でも、36協定とは名ばかりの状況に陥っていることもあるでしょう。

正社員の長期雇用はメリットである一方、望ましくない環境におかれても容易には抜け出せないという枷になってしまうこともあります。正社員として長く1つの企業に身を置くことを希望するのであれば、事前の情報収集は特に慎重かつ綿密に行いましょう。

各種保険・年金完備!最大のメリットは福利厚生

正社員の最大のメリットと言えるのは、やはり福利厚生面の充実です。

正社員であれば、基本的に社会保険・厚生年金・雇用保険といった最低限の保障は確実に受けられます。

また給与に加えて賞与をほぼ確実に受け取ることができるのも、3つの雇用形態の中では正社員のみです。

その他の住宅手当や家族手当など各種手当の充実度に関しては、企業によって大きく異なる部分です。ベースの給与が同程度でも、福利厚生の充実度が異なると生活水準には少なからず差が出てくるので、事前によく確認することをおすすめします。

いろいろな雇用形態の中でも、やっぱり正社員が一番いいイメージがあります。ただ、具体的にどこがいいのかと言われるとよくわからなくて…。正社員のメリットと、あればデメリットも教えてください!
正社員は長期雇用を全体とした雇用形態で、簡単に解雇されることがないので、やはり長く安定して働くことができるのが魅力です。福利厚生も充実していることが多いですよ。ただし職場環境が望ましくない場合、容易に抜け出せないのはデメリットにもなり得ますね。

短期採用の即戦力!契約社員とは

期間限定の雇用契約を結ぶ契約社員枠の適用が特に多いのは、主に以下の2つのケースです。

  • 特別な技能などを必要とする専門職
  • 繁忙期などで一時的な増員が必要な職種

いずれにしても、短期ですぐに業務を実践できる即戦力が求められるのが、契約社員の特徴です。

正社員のように、一から業務を教えてもらえる時間が想定されているというパターンは、契約社員の場合、基本的にほとんどないと考えておいた方がよいでしょう。

給与・賞与などの待遇面や勤務条件に関しては、雇用期間と同様、雇用契約を結ぶ際に決められることになります。

契約社員だからといって必ずしも給与や待遇面で正社員より劣るというわけではありませんが、雇用期間が短いこともあって退職金に関しては受け取れない、ほとんど出ないというところも多いようです。

専門技能や経験などを活かしてある程度の待遇で働きたい、でも1つの会社で長期間働くのは状況的に難しいという方には、契約社員は適した働き方と言えます。

例えば女性の方で夫の転勤に伴って頻繁に転居する可能性があるという方などは、契約社員の方が条件の合う職場を見つけやすくなるかもしれません。

ただし契約満了時に自分はまだ働き続けたくても、企業の方が契約更新を拒否すれば継続することはできません。また、スムーズに別の契約社員の働き口が見つかるとも限らないでしょう。そういう意味では、安定性にはやや欠けるのは否めません。

福利厚生は正社員並み…ただし雇用保険に要注意

契約社員に対して福利厚生がどれほど適用されるかは企業によって少なからず異なります。ただし社会保険や雇用保険、厚生年金など、基本的な保障制度は正社員と同じか近い条件で利用できるケースが大半です。

なお、1つ注意してほしいのが退職時の雇用保険のことです。

契約社員の場合、契約期間が満了して契約更新せず退職する場合は解雇という形式には該当しないので、失業給付金が受給できるようになるのは、自己都合退職の時と同様に退職から3か月後ということになります。

退職から次の就職までの生活費に関しては、あらかじめ準備をしておく必要があるでしょう。

資格を活かして働こうと思うと、意外と契約社員の求人がたくさん見つかるんです。契約社員って不安定なイメージがありますが、実際どうなんでしょうか?
期間限定で働く契約社員は即戦力として求められるので、専門職や職務経験者向けの求人がメインになるんですよ。待遇面では実は正社員に大きく劣ることはあまりないんです。ただ、期間限定である以上、不安定な一面があることは否めません。

所属は派遣会社、職場は派遣先…2つの勤務先を持つ派遣社員

派遣社員は、派遣会社との雇用契約の形式によってさらに《常用型》と《登録型》の2種類に分類することができます。

《常用型》と《登録型》の違い
常用型 登録型
派遣会社に常時雇用 派遣期間のみ限定雇用
待機期間も給与が受け取れる 待機期間は給与は受け取れない
待機期間も社会保険など福利厚生が適用される 待機期間は原則として福利厚生が適用されない

表を見ていただくとわかる通り、常用型の派遣社員というのは、派遣会社に常に籍を置いている正社員に近い状態になります。

したがって、派遣先が決まっていない待機状態の時でも決まった給与が受け取れますし、社会保険や雇用保険、厚生年金などの保障制度も適用され続けます。

一方で、登録型派遣社員というのは、派遣会社に登録した段階ではなく、派遣先が決まった時点で初めて雇用契約を結び、派遣期間が終わると雇用契約も解除されます。そして次の派遣先が決まったら、また改めて雇用契約も結ぶことになるのです。

つまり、登録型の場合は、派遣先に勤務していない状態の待機期間の時には派遣会社とも雇用関係がないということになります。したがって、その間は給与はなく、福利厚生も基本的には適用されないので、自分自身で国民健康保険に加入したりする必要があります。

ただし次の派遣までの待機期間が1か月以内だったり、派遣先が変わらずに継続するという場合は、待機期間中も被保険者資格を継続することが可能です。

となると、常用型派遣の方が魅力的に感じられますが、現状は派遣社員の大半が登録型派遣で、常用型派遣社員が適用されるのは技能職や経理などの専門職を中心にごく一部でしかありません。

登録型派遣も、ライフスタイルに合わせて期間や勤務時間を限定して働きたい人には向いていますが、安定面ではどうしても他の雇用形態に劣ると言わざるを得ないのが実情です。

事前の面接は?トラブル時は?派遣社員を守る労働者派遣法

直接雇用契約を結んだ派遣会社と、実際に勤務する派遣先の企業という2つの勤務先を持つ派遣社員は、他の雇用形態に比べて少し複雑な立場にあります。

そんな派遣社員が働く上で不当に扱われたり、不利益を被ることを避けるために、労働者派遣法という派遣社員の適正な労働条件などを定めた法律が制定されているのです。

例えば、派遣先の企業が派遣社員を人員として職場に入れる際には、正社員や契約社員など直接雇用の社員のように、面接を行ったり、履歴書を提出させるといった形で事前に情報を得ることは原則としてできません。

あくまでも、派遣会社が選定した人員をそのまま受け入れるのが基本のシステムになります。

また、もし派遣先での勤務中に事故やトラブルが起きた場合の対処についても定められています。

というのも、派遣社員はあくまでも派遣会社を直接の雇用主としているので、基本的にはトラブル発生時の責任は派遣会社にかかってくることになります。しかし、実際に業務を指示したり、監督をする立場である派遣先の会社にも全く責任がないとは言えません。

このような状況下では、もし何の取り決めもなくトラブルに対処しようとした場合、派遣会社と派遣先の企業が責任を押し付け合って、派遣社員本人が適切な保障を受けられない可能性があります。

そのため、労働者派遣法において、事故・トラブル発生時には派遣会社と派遣先の企業が責任を分担するべきであると定められているのです。

このように労働者派遣法には、派遣社員を守るための様々な取り決めや仕組みが定められています。派遣社員として働くことを考えるのであれば、自分自身でも基本的なポイントはおさえておくようにした方が良いでしょう。

派遣先での直接雇用もアリ?紹介予定派遣とは

何度もお伝えしているように、派遣先の企業との直接雇用関係を結ばないのが派遣社員の最大の特色なのですが、実はそれに該当しないケースもあります。紹介予定派遣という仕組みです。

紹介予定派遣とは…

一定の派遣期間(原則6カ月以内)ののち、派遣先の企業で直接雇用されることを念頭に行われる派遣のこと。
この場合は、派遣開始前に面接や履歴書のやり取りを行うことが認められている。

この紹介予定派遣制度を利用すれば、派遣社員からスタートして、派遣先の企業の正社員や契約社員になることが可能です。

とりあえず急ぎで転職したいから、まずは派遣社員でもいいけれど、いずれはどこかの会社に社員として所属したいと考えている人には、ぜひ利用を検討してほしい仕組みです。

転職に焦ってしまって、正社員にこだわらず派遣社員を検討するのもありかなって考える時もあるんです。でも派遣先が決まらないとお給料はもらえないんですよね?
派遣社員にも常用型と登録型の2種類があり、派遣会社と継続して雇用関係を結ぶ常用型なら待機期間も給与や福利厚生を受けることができますよ。派遣先の企業といずれ直接雇用契約を結ぶことができる、紹介予定派遣という制度もあります。

雇用形態で働き方は変わる!自分に合った雇用形態を見つけよう

正社員と契約社員、そして派遣社員という3つの雇用形態の特徴や、それぞれの違いはおわかりいただけたでしょうか?

一般的には、正社員が働き方としてはベストだとされていることが多いですし、長期的な安定性の高さという面では、やはり正社員に勝るものはありません。

しかし、誰しもが正社員として職に就けば希望の働き方ができるかと言えば、それもまた絶対に正しいとは言い切れません。

ライフスタイルや仕事への考え方は人それぞれです。正社員よりも契約社員や派遣社員の方が自分らしくストレスなく働くことができるという人も少なからずいるでしょう。

どの雇用形態を選ぶかによって、働き方は大きく変わります。

自分に合った雇用形態を見極めるためには、自分がどのように働きたいのか、そして生きていきたいのかを、改めてしっかりと思い描くことが大切です。

ぜひ自分らしく働くことができる、ベストな雇用形態について、この機会に考えてみてください。