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退職時によくあるトラブルへの対処法―法律を味方につければ怖くない

退職時によくあるトラブルへの対処法―法律を味方につければ怖くない

退職する際、会社とトラブルになってしまうことがあります。

予想外に強く引き止められ、「このまま辞められないんだろうか」と不安に思ったり、退職後に必要な書類がもらえず困ってしまったり。

しかし日本には、労働基準法や雇用保険法など労働者を守る法律があります。

これら退職時のトラブルの多くは、法律の知識があれば対処できるもの。

法的にどうなのか、知っていれば自分の権利を会社にはっきりと主張できます。

この記事では、よくあるトラブルとその対処法について、法律の知識とともにお伝えするので、ぜひ参考にしてください。

退職時に起こるトラブルとは?5つの例と対処法を解説

会社を辞めるときにありがちなトラブルには、次のようなものがあります。

退職トラブルの主な例

それぞれ、対処法などを具体的に見ていきましょう。

退職トラブルその1:会社から強引な引き止めにあって辞められない

退職トラブルに多いのが、退職を強く引き止められて断りきれない、辞めさせてもらえない、というケース。

「勝手に辞めるのは許さない」などと威圧的に引き止められた場合は、法律を持ち出すのが有効です。

退職については、民法で次のような定めがあります。

民法627条(大まかな内容)
  • 労働者には、いつでも会社を辞める自由がある
  • 原則、退職意思を伝えた2週間後に雇用契約が終了する

退職意思を伝えるのはいつでもよいのですが、即日辞められる訳ではないので注意してください。

会社側が法律をよく知らない場合や、社員に知識がないと考えている場合には、法的根拠を出されるとそれ以上何も言えなくなる可能性が。

そもそも、退職の申し出時期については就業規則に規程がある会社がほとんどです。

それに従えばトラブルの可能性も低いはず。

しかし「ちゃんとルールに従ったのに」トラブルになるケースもあるのです。

「法律ではこう規定されていますので、退職させていただけるはずではないでしょうか」みたいに、遠慮がちに言った方がいいですよね?
ええ。話をする際は、「権利を振りかざしている」と受け取られないよう、なるべく穏便にするのがおすすめです。

謙虚さは持ちつつも冷静に、毅然とした態度で退職意思が堅いことを伝えましょう。

もし会社側が退職届を受け取らないなら、内容証明郵便で証拠を残すという方法があります。

内容証明は書留の1つ。会社側に退職届を届けた証拠が郵便局に残るのです。

法律上、届けた日の2週間後に雇用契約が終わります。

ただし民法には、雇用期間などによる退職申し出時期の決まりも。

そこもおさえておく必要があります。

正社員など、いわゆる「無期雇用」の場合、月給制なら給与計算の対象となる期間の前半までに、次の期間以降の退職を申し出ることとなっているのです。

年俸制なら3カ月前までに申し出なくてはいけません。

月給制についての決まりごとがよくわかりません。どういうことですか?
たとえば今が1月で、給料の締め日が月末だとしましょう。

退職意思を1月15日までに伝えれば、2月以降に辞められるということです。

退職トラブルその2:会社から「辞めるなら損害賠償を請求する」と脅される

退職意思を会社に伝えて「辞めるなら損害賠償を請求する」などと言われたら、不安になってしまいますよね。

しかし「退職する」だけのことで脅されても、心配する必要はありません。

一社員に損害賠償責任があると考えられるのは、相当な落ち度や義務違反、故意などで事故を起こし、会社や第三者に直接の損害を与えた、という場合。

それでも、業務上のミスによる損害については「雇い主側がその責任を負う」というのが一般的な考え方です。

また労働基準法では、雇用契約を結ぶにあたって、労働契約に違反したら違約金を払う、損害賠償をする、などの取り決めは禁止されています。

退職は労働者の自由。2週間前に退職を通知していれば法律上問題なく、不法行為でもありません。

社員1人が退職することで企業や第三者に直接損害が出るなんてことも、まず考えられないですよね。

ただ、「損害賠償を請求すること」自体は、賠償義務があるかどうかに関わらず会社側の自由です。

負けるのが明らかな裁判を起こすような会社も、ないとは言い切れません。

また、退職前に業務上で事故などを起こしている場合には、損害賠償の責任を負う可能性もあります。

退職トラブルその3:退職日までに有給休暇を消化できない

会社側には「辞めるのも迷惑なのに、休みまで取るのか」と嫌がられることも。

とは言え、法的には会社が社員の有休取得を断ることはできません。

有給休暇の取得は、法律が認める労働者の権利の1つです。

会社側にも「時季変更権」があり、繁忙期などに有休の取得時期をずらすよう求める権利はあります。

しかし退職予定の場合は変更するにも限度があり、実質的には不可能です。

有休って、買い取ってもらえないんですか?
残りの日数で買い取ってくれる会社もありますが、法律では義務付けられていないんですよ。

社内にそういった制度や慣例がなければ、断られる可能性が高いです。

退職トラブルその4:退職後にもらえるはずの書類がもらえない

退職した後は、別の会社に転職する人もいれば、失業手当の給付を受けようとする人もいます。

その際に必要な書類が、会社からもらえなくて困る人も。

よくある次の2点について説明します。

退職後にもらえずに困ることの多い書類
  • 離職票
  • 源泉徴収票

退職して2週間経っても離職票が届かない場合は、元の会社に問い合わせましょう。

会社は、従業員が辞めた日の翌日から10日以内に「資格喪失届」を職安に提出するよう、雇用保険法で定められています。それを受けて職安が離職票を発行。

離職票が届かない場合、単に会社側が資格喪失届の提出を忘れていたり、処理を後回しにされていたりする可能性も高いです。

離職票が届かない場合については、こちらの記事で詳しく説明しています。

退職後1カ月を過ぎたのに源泉徴収票がもらえない場合も、元の会社に連絡してください。

源泉徴収票については、通常は原則1月31日までに交付。しかし年の途中で退職した人には退職日より1カ月以内に交付することが義務付けられています。

源泉徴収票の作成を税理士任せにしている企業も多く、担当者が知識不足の可能性も。

本来「1カ月以内」に受け取れるべきなのに「年末以降でないと出せない」などと言われることもあるので注意してください。

退職の証明(退職証明書など)も、労働者に請求されれば会社は速やかに交付しなければなりません。これも労働基準法で決まっています。

元上司の嫌がらせで、わざと送ってこない場合はどうしたらいいんですか?
まずは、必要な書類を渡さないのは法律違反だとやんわりと伝え、速やかに送ってくれるよう頼みましょう。

源泉徴収票については、こちらの記事で詳しく対処法を説明しています。

退職トラブルその5:退職金が支払われない

退職したらもらえるはずの退職金が支払われない、という人もいます。

退職金の支払日や期限は企業によって異なるので、就業規則で「退職金規程」を確認しておくことが必要です。

支払時期を過ぎている場合は、退職金をすぐに振り込んでくれるように依頼してください。

労働基準法第23条には、退職した労働者から請求があった場合、企業は7日以内に賃金や貯蓄したお金、積立金などを返還すべきだと明記されています。

それでも退職金が支払われない場合は、労働基準監督署に相談してください。

その際、退職金の額や支払期日などがわかる証拠資料が必要です。退職金規程のコピーなども用意しましょう。

僕の会社では「社員旅行の積立」だと言って毎月お給料から3,000円引かれています。退職したらこれも返してもらえますか?
ええ、「積立金」という名目であれば、会社には返還義務があるんです。

ただしその場合、返金となるのはまだ旅行に使われていない分で、退職までに実際に積み立てた額です。

また、「退職金が振り込まれたけど、当初に聞いていた額と違う」というケースも。

会社が経営不振に陥った場合などに、退職金規程が変更されることがあります。

ただし社員に不利益となる変更には、高い必要性や相当の合理性が必要。

就業規則の変更による退職金の減額は過去にも裁判で争われていますが、判決はケースバイケースです。

倒産や解雇よりは退職金の減額の方が社員の利益を守れる、などの理由で退職金の減額が認められた裁判事例もあります。

「退職金」自体には、法律上の義務はありません。そもそも退職金の制度がない会社もあるんですよ。

企業が退職金制度を設けている場合は、退職金規程を就業規則に記載することになっています。

退職トラブルの相談はまずここに!無料の相談窓口3つを紹介

退職トラブルに困ったら、まずは次の3つのいずれかの窓口に相談するのがおすすめです。

無料で労働相談ができる窓口

相談は無料ですが、電話代は有料。相談後、手続きによっては解決に必要な費用がかかることもあります。

それぞれ何をしてくれるのか見ていきましょう。

相談窓口その1:全国380カ所の『総合労働相談コーナー』

各都道府県の労働局や労働基準監督署などには「総合労働相談コーナー」があり、職場で起きたトラブルについての相談を受け付けています。

まずは相談員が話を聞いた上で、法令に基づく見解や、これまでの裁判例など、解決に役立つ情報を教えてくれます。

そして、相談内容によって次のような解決方法を提案したり、関係部署に取り次いだりするのです。

総合労働相談コーナーによる退職トラブルの解決方法
  • 行政指導を行う部署(労働基準監督署など)への取り次ぎ
  • 労働局長による助言・指導
  • 紛争調整委員会によるあっせん
  • 裁判などその他の解決手段、相談機関についての情報提供

労働局長による助言・指導は、労働者と雇用主の両方に、あくまで「話し合いによる自主的な解決を促す」もの。

また、紛争調整委員会によるあっせんは、労働問題の専門家が間に入って話し合いを促し、双方の言い分を聞いた上で、必要に応じて解決案を提示するものです。

ただしいずれも強制力はなく、解決しない場合や話し合いに応じない場合、裁判など別の解決手段を探すことになります。

総合労働相談コーナーの所在地は、厚生労働省のホームページ内「総合労働相談コーナー」から確認できますよ。

相談窓口その2:国が設立したトラブル解決窓口「法テラス」

「法テラス」とは、誰もが法的トラブルの解決に必要な情報やサービスを受けられるように設立された窓口。

「日本司法支援センター」が正式名称です。

退職トラブルについても無料で相談にのり、適切な窓口を紹介しています。

交渉や調停、裁判で弁護士や司法書士などに依頼する場合の、費用の立て替え制度も利用可能です。

ただし立て替え制度の利用には、収入など所定の条件があります。

法テラス
サポートダイヤル:0570-078374
受付時間:平日9時~21時、土曜9時~17時、祝日・年末年始を除く)

メールでも問い合わせを受け付けています

相談窓口その3:労務の専門家『全国社会保険労務士会連合会』

労働や社会保険に関する法律のプロである社会保険労務士。社労士会でも、退職トラブルの相談を受け付けています。

相談方法は電話または対面の2通り。

全国社会保険労務士連合会への相談方法
  • 電話での相談:職場のトラブル相談ダイヤル
  • 対面での相談:総合労働相談所

「職場のトラブル相談ダイヤル」は、社労士が相談を受け付けた後、労働者と経営者双方の話し合いで解決を目指します。

裁判ではなく話し合いで問題を解決する「あっせん」による解決方法です。

職場のトラブル相談ダイヤル
電話番号:0570-074864 
受付時間:平日のみ11時~14時
※通話は有料

社労士と直接会って相談したい人は、総合労働相談所を利用しましょう。

まずは電話をしてください。次の電話番号で近くの社労士会につながり、対面相談の予約をする流れです。

総合労働相談所・社労士会労働紛争解決センター共通ダイヤル
電話番号:0570-064-794

相談内容によって、あっせんによる解決が最善だと判断された場合は、同じ電話番号の「社労士労働紛争解決センター」も利用できます。

「あっせん」って、社長とかと直接会って話すってことですか?

面と向かうと何も言えなくなりそうです・・・。

安心してください。社労士会労働紛争解決センターのホームページによると、経営者と労働者が直接対面することはありません。
ただし社労士紛争解決センターでは、明らかな労働基準法などの法規違反や、労働者と経営者の私的な問題などは対象外。

明らかに違法である場合は、先に紹介した総合労働相談コーナーを利用しましょう。

退職トラブルは法律を味方につけて解決しよう!困ったら窓口に相談も 

退職トラブルに陥る人の多くが、法律をよく知らないために「何が正しいのか」「本来はどうあるべきか」がわからず困っています。

この記事では、よくある退職トラブルの例と、それに関する法律上の見解を解説しました。

法律を味方につけて、退職トラブルを解決しましょう。

相談窓口も紹介しているので、悩んでいる人は利用してみてください。

ただしトラブルの内容によっては「即解決!」と行かない場合も多いもの。

どうしても必要な場合以外は、元の会社とは早く縁を切り、新しい環境に向けて早く方向転換した方がいいかもしれません。

※掲載の情報は2019年3月現在のものです。
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