転職サファリ 気になる仕事一覧 すべての会社は部族である〜発達障害の僕が見た部族の掟〜

すべての会社は部族である~発達障害の僕が見た部族の掟~

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まえがき

人生は、結構いろんなことがありますよね。はじめての方は初めまして。お馴染みの方はいつもありがとうございます。借金玉です。
僕は発達障害という問題を抱えていて、これまでとても社会適応に苦労してきました。そんな人が大きな組織に属したら、とても大変だった。そんな苦労のお話をさせてください。
今見ると笑っちゃうようなエピソードもありますが、こんな息苦しさって結構誰にもあるものじゃないでしょうか。

部族

例えば、どこかの部族に会いに行ったとしよう。きっと見たこともないカルチャーに出会い、驚くことだろう。
ゴッ
挨拶が『グーパン』そういうこともあるかもしれない。
それは、会社でも同じ。自分の『当たり前』が全く通用しないそういう場所はたくさんある。
すべての会社は部族である。借金玉

第二話 部族入り

お前はナゼ昨日の飲み会のお礼を言って回らない?
ありがとうございました。この部族の洗礼だ・・飲み会のお礼って・・なんだよ・・
あんな面倒くさいものに参加したあげくお礼・・・?ムリ
なんだアイツ・・礼儀を知らんヤツだ。カラダが動かない。陰で『礼儀知らず』と言われれば言われるほど、余計に体は動かなくなった。そうだね。ムリ

第三話 悪い口

借金玉 ポンッ
ハンコは上役に向かって御辞儀をするように傾けて押せ、常識だろ。それを常識ではないと思いますが、やれと言われればやりますよ。傾け具合はこんあものでよろしいんで?お辞儀の角度と言えば45度という気もしますからもう少し深い方が良いですか?

第4話 囚団行動

チーン、ガツガツ、パクパク、ムシャムシャ
サッ
シャカシャカシャカシャカシャカ
トイレの洗面所で一斉に大の大人が歯を磨いているのは、正直に言うとあまり心弾む光景ではなかった。なんだか強制収容所みたいな、そんなことを思った気がする。

第5話 窮日

日曜の朝、社員寮、ガチャ、お知らせ 日曜日に町内会でゴミ拾いがあります。
てててててっ、ゴポポポッ
翌日、会社にて 借金玉チョットこい。日曜のゴミ拾い、来なかったのはお前だけだ・。
ニャーン

涙槽

今度マラソン大会に参加しないか?もちろん参加は自由だ。みんな来るみたいだけど・・
同じ部族の人が周りを走っていたが誰とも話さず、10キロほど走った。ゴール
帰りたい
走り終わったらすぐタクシーに乗って帰宅した。家に帰ってビールを飲んだ。美味しかった・・「たまには悪くない」そんな気持ちになった。
でも会社に出勤すると、やっぱり「怒られ」が発生した。いいか?マラソンは、社員同士が親睦を深めるためにあるんだよ。つまり・・みんなでワイワイ走り、終わったら飲み会。まさかそこまで求められるとは・
・・こんな風に僕のサラリーマン生活は息苦しくはじまり・・涙で窒息して終わった。

退職ダンス

そういうわけで僕は退職を決めた。「部族に馴染めなかったから」それもある。だけど一番の理由は、「仕事が合わなかったから」
退職の機会を伺っていると・・先輩部族から声をかけられた。新年会の飲み会でAKBのダンスを踊ろう矯正じゃないよ?でも新人は毎年踊ってるんだけどね?
つかみかかりそうになった。でも、やめた。たって・・去年ダンスしたのはこの先輩だからだ。たのむぞー彼も損な役を任されたものだ。
同期と2人でAKBダンスの練習をした。今でも「会いたかった」のフレーズを聞くと吐き気がする。まぁ仕方ないよ。ここは地方支店 俺たちはこの場所で試されているんだ。
俺たちは所詮サラリーマンだからこの場所に文句は言えるけど、変える力は無いんだからさ。やるしかないんだよ。確かに、同期の言う通りだと思った。
僕らはみんなの前でダンスを踊った。踊りながら酒もついだ。立派に部族をやれていたと思う。
お前、目が血走ってたぞ お前こそ、終わった後テーブル蹴ってたろ?そんな風に笑い合って僕らは別れた。
僕は会社を辞めた。少し気持ちが楽になった。
会社は辞めても、雨は降り続けたし嵐の日もあった。でも・・会社を辞めた日、空は青かった。終わり

あとがき

いかがだったでしょうか。どんな話にも後日談はありますが、 この話も例外ではありません。この物語に登場する僕と一緒にAKBを踊った 「同期」は順調に出世して、現在は部族の中でかなり 理想的なキャリアを描いているようです。最近、社費留学から帰ってきて結婚したと聞きました。 自分でも不思議ですが、とても暖かい気持ちになりました。彼は、とても「あきらめ」の使いこなしが上手な人でした。僕なんかとは桁が違う優秀さを持った人が、「AKBを踊る」ということを諦められるということに、 少し感動したのを未だに思い出します。
ダンスを踊り終えて、人目につかないように 小さくテーブルを蹴っていた彼の気持ちを考えると、 とても敬意を持てます。AKBを新人に踊らせる部族のカルチャーを 未だに肯定的にとらえることは出来ません。しかし、万感の怒りを抱えながら「やるしかない」と 諦めを使いこなした同期のことは尊敬できます。本当に優秀な人で、きっとあの後もたくさんの 「あきらめ」を踏み越えて、 出世していったのだと思います。インターネットから、 ささやかに彼のさらなる躍進を祈っています。
さて、最近僕は 「発達障害の僕が『食える人』になったすごい仕事術」 という本を出しました。ハルオサンにえがいていただいたこの漫画は、 「本をより詳細に描いたオリジナル作品です。ですから、この後には同期の前向きな 「あきらめ」から学んで作り上げた、 「部族への適応」ノウハウがあります。機会をいただければ是非とも書かせていただきたいと 思っておりますので、よろしければ応援をお願いいたします。空の青さに励まされ、荒野をもう一度歩き出す。 そんなお話を書く機会があれば幸いです。
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ハルオサン
ハルオサン
  • 警察官クビになってからブログ
  • ハルオサン twitter

ブラック企業での壮絶な体験、波乱万丈な私生活を、自身のブログで紹介して話題に。
人気のブログが書籍化された『天国に一番近い会社に勤めていた話』も読者から高い評価を得ている。
現在は沖縄に移住し、『警察官クビになってからブログ』のほか、新聞や雑誌にコラムを掲載するなど活躍中。


借金玉
借金玉
  • 発達障害就労日誌
  • 借金玉 twitter

金融機関への就職、起業を経験後、実体験を踏まえたTwitterでの発言が多くの共感を呼ぶ。
現在は営業マンとして働きつつ、Twitterやブログを発信、フリーライターとしても活躍中。
ブログをもとにした著書『発達障害の僕が「食える人」に変わったすごい仕事術』は、大人の発達障害への向き合い方、解決策を示したライフハック本。