どこからセクハラ?セクハラの定義や事例、困った時の相談窓口を紹介

どこからセクハラ?セクハラの定義や事例、困った時の相談窓口を紹介

会社の上司や同僚、あるいは取引先の人の言動に対して、『これってもしかして、セクハラになるのでは?』と感じたことがある人もいるのではないでしょうか?

ただ、それが絶対にセクハラだという確証は持てないかもしれません。セクハラという言葉自体の認知度は非常に高いですが、その反面、正しい定義や基準はわかりにくく、なかなか判断できないですよね。

また、セクハラに悩まされ、何とかしたいと思っても、実際にどう対処すればよいのかわからず困っていたり、諦めて自分が転職するしかないのかと考え始めている人もいるかもしれません。

働く上で大きな障害となる「セクハラ」について、ここではその定義や具体的な事例、そして困った時の相談窓口などの対処法を詳しく紹介します。

これってセクハラ?知っておきたいセクハラの定義と判断基準

セクハラという言葉は知っていても、何がセクハラになるのか、という正しい定義はよくわからない・・・という人も多いのではないでしょうか?

まずは、厚生労働省が定めるセクハラの定義を確認しておきましょう。

①職場において行われる、労働者の意に反する性的言動への対応により、労働条件について不利益を受けること(対価型セクハラ)

②性的な言動により、労働環境が害され、業務に支障が生じること(環境型セクハラ)

セクハラは、このように大きく2つのタイプに分類されます。

ただ、この定義だけを見ても少し具体的な内容がつかみにくいですよね。

ここでいう『職場』というのは、通常勤務しているオフィス以外にも、勤務中に関わるすべての場所を含みます。例えば、出張先や取引先の事務所、顧客の自宅、接待の席なども職場として扱われるのです。

それに伴って、上司や同僚など社内の人間だけでなく、取引先や顧客、病院の患者や学校の生徒など、社外の人間から受けた性的な言動も、セクハラとして認められる可能性があります。

また、『労働者』には、正社員だけでなく、契約社員や派遣社員、アルバイト・パートなどの非正規雇用者ももちろん含まれます。

さらにセクハラというと「男性から女性」という図式を思い浮かべると思いますが、実は「女性から男性」や「同性間」でも起こり得るのです。

そして肝心の「性的な言動」、つまり性的な内容の発言や行動については、具体的に以下のような内容が例として挙げられています。

性的な発言
  • 性経験など性的な事実関係を尋ねること
  • 性的な内容の噂を流すこと
  • 性的な冗談や身体的特徴をからかうこと
  • しつこくデートなどに誘うこと
性的な行動
  • 性的な関係を強要すること
  • 不必要に身体に接触すること
  • 性的な写真や絵を目につく場所に配置すること
  • 強制わいせつ行為や強姦

対価型セクハラと環境型セクハラ、2つのタイプの違いとは

セクハラには「対価型セクハラ」と「環境型セクハラ」という2つのタイプがあると説明しました。その違いを分かりやすく説明しましょう。

対価型セクハラとは

勤務中に受けた不快な性的な言動に対して、拒否したり抗議したことによって、不当な扱いを受けるケース。
不当な扱いの例としては、解雇や降格・減給、非正規社員の契約更新の拒否、明らかに不利益を被る配置換えや異動などがある。

環境型セクハラとは

性的な言動によって、働く環境が不快なものになり、そのせいで仕事が手につかなかったり、精神的ストレスから出社できなくなるなど、業務に支障が出るケース。

いずれも性的な言動が原因で、それまでどおりの待遇や環境で働き続けることができなくなるという点では共通しています。

これ全部セクハラです!セクハラの基準と事例紹介

性的な言動というのは、個々の状況や関係性によって受け取り方が変わってくる面があります。

そのため、セクハラの定義がわかっても「それが自分に当てはまるのかわからない」「周囲の人にセクハラと認めてもらえるのか自信がない」という人も。

セクハラの判断には「被害者側の主観」が重視されますが、その一方で客観的に見る必要性もあるとされています。したがってその性的な言動がセクハラと言えるかどうかは、原則として一般的な女性(あるいは男性)の感じ方が判断基準となります。

とはいえ、この『一般的な労働者の感じ方』というのも曖昧ですよね。結果として、行為を受けた側が不快だと強く感じるのであれば、それがセクハラと判断される可能性は十分にあります。

具体的にセクハラと判断された事例を、対価型と環境型の2つに分けて紹介しましょう。

対価型セクハラの事例

①人事部長に胸や腰などを触られ拒絶したら、希望外の部署に配置転換された

②女性上司に性的な関係を求められ断ったら、決まっていた昇進を取り消された(男性の場合)

環境型セクハラの事例

①同僚(同性のケースもあり)に職場で性的な噂を流された

②上司が必要以上に身体を近づけてきたり、ボディタッチをしてくる

③取引先の人に、個室で打ち合わせ中にいきなりキスされたり、身体に触られたりした

④女性の同僚に、性経験がないことをしつこくからかわれる(男性の場合)

以上のようなケースはすべて、ほぼ確実にセクハラと判断されます。

特に環境型の場合、『言葉だけだから…』『実害がないから…』と我慢してしまいがちですが、それも程度によってはれっきとしたセクハラと認められる可能性があるのです。

『一般的な感じ方』が判断基準なんて、やっぱり少しわかりにくいです。何か目安のようなものはないんでしょうか?
抱き着くなど強引な接触は、一般的にかなり精神的苦痛が強いので、1度でもセクハラと認められます。言葉だけの冗談など程度の軽い行為でも、精神的に苦痛を感じていて、抗議してもやめてくれないなら、セクハラと判断される可能性が高いですね。

セクハラをやめさせたい…正しい対処法と知っておきたい相談窓口

自分の受けている行為がセクハラとして認められるものなら、なんとかしてやめさせたいと思いますよね。

セクハラへの対処法は、主に3つのステップに分けられます。

まず1つ目は、それがセクハラであることを相手に伝え、はっきりと拒絶することです。

セクハラだと感じる性的な言動をあいまいにいなしたり受け流したりしていると、加害者や周囲の人に、『嫌そうには見えないから問題ないのかな』と思われてしまうかもしれません。

また、人によっては、それがセクハラになりうる言動だと気づいていないケースもあります。

そのような場合、はっきり拒絶するだけで、セクハラ行為がやむ可能性が高いのです。

拒絶してもセクハラを続けてきたり、上司や取引先などのきっぱり拒絶するのが難しい相手からセクハラを受けている場合、2つ目のステップである証拠集めに取り組みましょう。

セクハラは個々の状況次第で判断が左右される行為だからこそ、客観的な証拠が非常に重要な意味を持ちます。

ボイスレコーダーやスマホの録音・録画機能を活用したり、メールやSNSなどのメッセージをスクリーンショットしておいたりと、セクハラ行為を形にして残しましょう。

セクハラが原因で不眠やうつ症状などを発症した場合は、病院に行って必ず診断書を出してもらってください。

そうした物的証拠を取るのが難しい場合は、セクハラを受けた日や詳しい言動などを細かくメモに残すだけでも意味があります。

客観的な証拠が多いほど、後々セクハラについて相談したり、対処を求める時に話が進めやすくなります。

セクハラを受けた、あるいは受けている証拠がしっかりとれたら、3つ目のステップです。しかるべき場所で相談をしましょう。

厚生労働省が定めるセクハラ防止のための指針の1つに、社内でセクハラに関する相談窓口を設けることが定められています。したがって、きちんとした会社であれば、必ず社内に相談窓口があるはずなのです。

とはいえ、セクハラというのは非常にデリケートな問題ですから、見知った相手には話しにくかったり、相談窓口はあるけれど利用できる雰囲気ではないということもあるでしょう。

セクハラについて社内で相談することが難しい場合は、労働局の相談窓口を利用することをおすすめします。労働局の相談窓口では、状況に応じて問題解決の適切な手助けが受けられますし、匿名での相談も可能なので安心感があります。

相談したらセクハラは解決する?気になる加害者の処分

相談窓口で相談をしたところで、本当にセクハラが解決するのか?と不安に思う方もいるでしょう。

厚生労働省の指針には、セクハラの加害者に対しては、懲戒処分などの必要な制裁措置をとるべきであることも定められています。

したがって、相談窓口があるような会社であれば、就業規定にセクハラの加害者に対する懲戒の取り決めがある可能性は高いでしょう。一度確認してみてください。

仮に処分の取り決めがなくても、セクハラの加害者が社内でなんらかの処分を受けるべき立場であることには変わりはありません。

セクハラの加害者が受ける処分としては、けん責(文書での注意)や出勤停止、さらには諭旨解雇・懲戒解雇といった懲戒処分のほかに、被害者と引き離す形での配置転換などもあります。

セクハラの程度によっても処分の内容は変わってきますが、基本的には何らかの処分が下されるものと考えてよいでしょう。

セクハラで慰謝料を請求することは可能?

セクハラがあまりにひどいと、慰謝料を請求したいと思うこともありますよね。

セクハラの加害者に対して慰謝料を請求することは可能ですし、認められた事例も少なからずあります。

加害者本人だけでなく、セクハラ行為を認識していて十分な対応をしていなかったなどの理由で、会社に対しても慰謝料請求を行うケースもあります。

ただし、どんなケースでも慰謝料が取れるわけではありません。十分な証拠がないと、慰謝料請求は難しいことも。セクハラで慰謝料請求をする場合、客観的な証拠は必須です。

またセクハラの内容や被害者の現状によって、慰謝料の金額は大きく変わってきます。

例えば同じ内容のセクハラでも、それが原因で退職に至った場合にはそうならなかった場合よりも慰謝料は高額になる可能性が高いのです。

加害者の立場やセクハラの回数・期間も、慰謝料の額を決める大きな要素となります。

取引先など社外の人がセクハラの加害者の場合、社内の規定で処分をすることはできませんよね?泣き寝入りすることになってしまうのでしょうか?
社外の人間に対しても、セクハラをやめさせるよう対処するべきであることに変わりはありません。ただ、やはり現実問題として、被害者側の配置換えや担当外しなどで対処せざるを得ないことも多いようです。

要注意!セクハラでの退職は自己都合にはなりません

セクハラがあまりにひどく、その職場で働き続けることに苦痛を感じるようであれば、退職を検討するというのも1つの方法です。

この場合、自主的に退職を決めることになるので自己都合扱いになるのでは?と思ってしまいがちですが、実はそうではありません。

セクハラが原因での退職は、会社に非があってのことなので、会社都合での退職という扱いになります。

自己都合と会社都合では、同じ退職でも、退職金の金額や失業保険の給付条件が変わってくる可能性が高いので、退職届を書く際にはくれぐれも注意しましょう。

場合によっては、会社の方から自己都合での退職とするように示唆・強要されることもあるかもしれませんが、その際にも素直に会社の指示に従ってはいけません。どう対応すればよいのか困ってしまったときには、必ず労働局の相談窓口に相談しましょう。

もしセクハラでの退職が会社都合になることを知らずに自己都合扱いで退職してしまったら、もう後から訂正することはできないのでしょうか?
ハローワークで退職理由の訂正はできないわけではありません。ただし、その際には必ず具体的な証拠が必要になります。もし証拠が残っていなければ変更は難しいのが実情です。

セクハラは我慢してはいけない!まずは相談を

セクハラという行為は、個人の感じ方や状況次第で大きく判断が変わってくるものですし、人には相談しにくいことでもあるので、どう対応していいかわからないということもあるかもしれません。

しかし、だからといってセクハラを我慢したり、対処することを諦めてしまっては、状況は悪化する一方です。

不当な扱いを受けることなく、快適な環境で働くのは労働者の最低限の権利です。少しでも悩んだり、迷ったりしたら、まずは社内外の相談窓口を利用してみましょう。

また、セクハラが解決する・しないに関わらず、その職場に居続けること自体が苦痛になってしまうのであれば、転職も考えるべきです。

セクハラは受ける側の人権を無視した最低の行為です。自分を守ることを最優先に考えて、しかるべき対処をとりましょう。

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