アニメの仕事に就職したい!未経験でも挑戦しやすい職種と探し方とは
アニメ業界は、近年ますます注目度を増している業界です。
海外における日本アニメの評価の高まりや、アニメ制作の仕事の様子を描いたアニメ作品のヒットなど、さまざまなきっかけで興味を持つ人も多いでしょう。
アニメに関わる仕事がしたい、と考える人も増えています。
「アニメ業界にはどんな仕事があるんだろう?」
「未経験でもアニメ系の仕事に就職できるのかな?」
そんな疑問を解消すべく、この記事では「アニメ系の仕事の種類とメリット・デメリット」「未経験でも比較的転職しやすい職種」「アニメ関連職の探し方」などを分かりやすくご紹介します。
アニメ系の仕事の種類にはどんなものが?主な職業8つを解説
まず、アニメ業界にはどんな仕事があるのかを見ていきましょう。
アニメ系の仕事の種類
アニメに関わる仕事は無数にありますが、その中でも人気が高い職業は次のようなものです。
「原画マン」「動画マン」「彩色」「撮影」の4つの仕事を総称して、「アニメーター」と呼ばれることが多いです。
それぞれどんな仕事なのか、簡単に説明していきます。
アニメ系の仕事(1)原画マン
アニメーション(映像)の設計図である「絵コンテ」に従い、動きのポイントとなる絵を描くのが、原画マンの仕事です。
全体の画風や、キャラクターの動きやポーズなど、作品の「画(え)」の主軸となる要素は、原画マンの技量で決まります。
実力が認められれば「作画監督」として、絵コンテの作成や原画マンの取りまとめなどを担うことも可能です。
アニメ系の仕事(2)動画マン
原画マンが描いた絵と絵の間をつなげる「動画」を描いていくのが、動画マンの仕事です。
イメージとしては、パラパラ漫画の「動き」の部分のコマを描いていく作業です。
原画をトレースし、少しずつ動きをつけて何枚も絵を重ねていきます。ほとんど同じ構図の絵を何枚も描くため、画力と根気が不可欠と言えます。
新人アニメーターが一番最初に任されるケースが多い仕事です。
アニメ系の仕事(3)彩色
原画マンや動画マンが紙に描いた絵(モノクロの鉛筆画)をパソコンに取り込み、専用のソフトを使って色をつけていく仕事です。
作品ごとに定められた色見本やカラーチャートに従って、指定通りにミスのないよう彩色していきます。
アニメ系の仕事(4)撮影
彩色まで仕上がった絵を、カットごとに撮影し、パソコン上の編集ソフトを使って動画にしていく仕事です。
パラパラ漫画の状態から、1本の映像にしていく作業と言えます。
昔は、セルと呼ばれるシートに描かれた「セル画」を物理的にカメラで撮影していましたが、現在はほとんどパソコン上のデータのみで完結できます。
その分、昔はなかったエフェクトや画像の調整等の作業も、撮影セクションの仕事に組み込まれています。
アニメ系の仕事(5)CGアニメーター
CG(コンピューター・グラフィックス)を駆使して、愛メーションに特殊効果を加えていく専門家です。
現在は、3D技術を取り入れる現場も増えています。
この部門はソフトウェアや技術そのものが進化するスピードが速いので、常に新しい知識を取り入れる柔軟性と向上心が求められます。
アニメ系の仕事(6)音響
アニメの映像に、効果音や声優の声を乗せていく仕事です。
BGMやSEを作成・挿入する「サウンドエンジニア」や、声優の演技指導や収録を行う「音響監督」などが、このセクションに含まれます。
アニメ系の仕事(7)制作進行
制作進行とは、その名のとおりアニメの制作全体をチェックし、スムーズに進行させるためのあらゆる仕事を担う人のことです。
データをはじめとする「物」や「情報」の移動、受け渡しなど、セクション同士をつなぐ作業のすべてが、制作進行に一任されます。
他にも、スタッフの手配、納品日の管理、進捗状況のチェック、資料の取りまとめや配布、原画・動画の回収、予算管理など、制作に必要な雑務は無数に存在します。
目まぐるしく大変な仕事ですが、制作工程の全体を俯瞰できる貴重な立場とも言えます。
アニメ系の仕事(8)アニメプロデューサー
アニメプロデューサーの仕事は、制作全体の統括です。
制作進行と異なる点は、予算やスケジュール、スタッフの配置などに関して権限を持っていること。監督や演出家と相談しながら、制作の舵取りを行います。
監督が「実際にアニメを作る制作スタッフのトップ」だとしたら、プロデューサーは「プロジェクト全体のトップ」です。
企画そのものや作品の売れ行きに対して、責任を持つポジションと言えます。
これらの他にも、声優、脚本家、演出家、背景美術、モーションデザイナーなど、さまざまな人が関わって、アニメ作品が作られています。
アニメ系の仕事に就く方法は?学歴不要だが「スキル」は必須
どんな仕事をしたいか、なんとなく想像できてきたでしょうか?
では、今度は実際に就職するにはどうしたら良いのかを見ていきましょう。
アニメ系の仕事の就職先は?制作会社・スタジオ・フリーランス
アニメ関連の仕事で働く方法は、大きく分けて2つです。
1つは、アニメ制作会社やスタジオに就職する方法。もう1つは、フリーランスとして働く方法です。
フリーランスとして働くには、実績を積んで実力を認められる必要があります。
このため、「未経験からアニメ関連職に就きたい」という人の場合、制作会社やスタジオへの就職を目指すことが現実的な手段。
制作会社・スタジオには、企画から放送まで自社で一貫して行っている「元請け」と呼ばれる大手と、その元請けから仕事の一部を引き受ける「グロス」と呼ばれる中小の会社があります。
中小の企業では幅広い仕事を任せてもらえる可能性が高まりますが、待遇面では大手よりも厳しくなります。
自分がどんな働き方をしたいか、何を重視するかで決めるのがポイントです。
また、音響、美術、CG、撮影など、1つの分野を専門に扱う「専門スタジオ」というものもあります。
特定の技術に特化した職人になりたい、という場合は、専門スタジオを目指すのも良いでしょう。
学歴も資格も必要ないが、スキルは必須
アニメ業界は基本的に実力主義なので、たとえ独学であっても、実力さえあれば活躍できます。
ただし、それぞれの仕事で求められる専門スキルは必要です。
たとえば原画マンや動画マンには画力が絶対不可欠ですし、音響の仕事には「音」に関する深い専門知識が必須となります。
このため、アニメ系の仕事を目指す人の多くは、CG・デザイン系の専門学校、美術系の大学、または各職業に関連の深い専門学校に通うことで知識やスキルを磨きます。
もし「どうしても独学で目指したい」という場合は、自身でスキルを向上させる必要があります。
原画や動画を描く「アニメーター」を目指すなら、デッサン、模写、トレースなどの技術を学び、苦手分野がなくなるように訓練を積むことが大切です。
アニメ業界未経験でも挑戦しやすい職種
アニメ業界の転職市場では、即戦力が求められることがほとんどです。
このため、異業種からの転職ではややハードルが高いことは否めません。
ただし、確かな画力や専門知識といった「スキル」を持っている人なら、転職が成功する確率も高まります。
自分1人では見極められないという人は、後ほど紹介する「クリエイティブ系に強い転職エージェント」を活用しても良いでしょう。
また、アニメ系の仕事の中には、未経験者が比較的チャレンジしやすい職業もあります。
たとえば、動画マン。アニメ関連で絵を描く仕事がしたい人なら、まずは動画マンを目指すのがセオリーです。
または、制作進行。こちらは絵が描けなくても問題なく就職できますし、アニメに関するマニアックな知識より、むしろ営業マンのような汎用的なコミュニケーションスキルが重視されます。
もしくは、アニメ制作会社や、キャラクターグッズ・玩具のメーカーなどに、他職種での就職を目指すのも良いでしょう。営業・事務・経理・商品開発といった立場からアニメに携わるのも、ひとつの道です。
アニメ系の仕事に求められるスキル
では、アニメ系の仕事に就くには、どんなスキルをアピールすれば良いのでしょうか?
実際の求人情報などをもとに、求められるスキルを挙げてみましょう。
- アニメ・映像制作への情熱
- 専門スキル(画力など)
- コミュニケーション能力
- 臨機応変な対応力
- 体力
- 集中力
- スケジュール管理能力 など
とくに「コミュニケーション能力」は、どんな職種の募集にも必ずと言ってよいほど書かれている言葉です。
アニメ制作の仕事は、黙々と1人で行うイメージがあるかもしれません。でも実際には、さまざまなセクションからたくさんの人々が参加し、チームプレーで完成させる仕事です。
自分の頭の中にあるイメージを人に伝えたり、クライアントの要望を正しく理解したりするためにも、コミュニケーション能力を身につける必要があります。
アニメ系の仕事のやりがいと苦労。休日や収入の実態データ
次に、アニメ関連の仕事のやりがいや苦労について、実際のデータを基に見ていきましょう。
アニメ系の仕事の現状は?実態調査データを紹介
一般社団法人日本アニメーター・演出協会(JAniCA)が発表している「アニメーション製作者実態調査報告書2019」によれば、現在アニメ関連職に就いている人たちは、次のような環境で働いています。
就業形態 | フリーランス:50.5% 自営業:19.1% 正社員:14.7% 契約社員:6.0% |
---|---|
1日あたりの作業時間 | 平均9.66時間 (中央値:10時間) |
1ヶ月あたりの休日数 | 平均5.4日 |
年間収入 | 平均約440万円 (中央値:370万円) |
ひとむかし前のイメージに比べると、収入や労働時間の面ではやや改善されていると言えそうです。
ただし休日数は一般に比べてかなり少なく、忙しい仕事であることは否めません。
アニメ系の仕事のやりがい
「激務」と呼ばれることも少なくないアニメ関連の仕事ですが、一方で大きなやりがいを感じている人も多いようです。
前述の実態調査によれば、アニメ関連職で働くひとが「仕事を続けている理由」TOP3は、次のようなものでした。
- お金を得るため(70.2%)
- この仕事が楽しいから(68.6%)
- 自分の才能や能力を発揮するため(45.8%)
これらに続いて、「作品を通じて人に感動を与えることができるから」「絵を描く仕事を追求したいから」「尊敬する人や支え合える仲間がいるから」「自分にとっては一番楽な仕事だから」……といった理由が多くの人から挙げられています。
大好きなアニメに関わる仕事に楽しさややりがいを感じている人、そこで生まれる人間関係に魅力を感じている人などが多いと言えそうです。
アニメの仕事は、担当した作品がそのままキャリアとして残ります。また、スタッフロールに掲載された自分の名前を見る喜びは、他の何にも代えがたいでしょう。
アニメ系の仕事のデメリット、苦労
一方で、デメリットや苦労も把握しておく必要があるでしょう。
一番のデメリットは、やはり多忙であり、長時間労働や徹夜もときに必要となることです。
アニメ業界は、慢性的な人手不足と言われています。
これは就職を目指す人にとってはチャンスでもありますが、就職した後はたくさんの仕事を継続的にこなさなければいけない、ということです。
実際に、せっかく働き始めても体を壊して退職を余儀なくされるケースもあります。
アニメ系の仕事の探し方。おすすめは転職エージェント
さて、そんなアニメ関連の仕事の探し方ですが、一般的には次の3つが挙げられます。
- 制作会社・スタジオの公式サイトで募集を探す
- クリエイティブ系に強い転職サイト・転職エージェントで探す
- 大手総合型の転職サイト・転職エージェントで探す
どの方法が有利・不利ということはなく、自分に合った方法を選ぶのが良いでしょう。
とくにおすすめなのは、クリエイティブ系に強い転職サイト・転職エージェントで探す方法です。
各企業の公式サイトをめぐるよりも効率的に求人を見つけることができ、エージェントであれば就活についての相談もできます。
「フェローズ」や「マイナビクリエイター」などは、クリエイティブ系に強い転職エージェントです。
専門知識を持つエージェントが、スキルの棚卸しから企業への応募までサポートしてくれるので、登録だけでもしておくと良いでしょう。
アニメ系の仕事はさまざま。自分との相性を見極めよう!
画力を必要とする仕事もあれば、そうでない仕事もあり、可能性はさまざまです。
必須の学歴や資格はとくにありませんが、絵を描くアニメーターの仕事に就きたいのであれば、美術系の専門学校や大学に通うのが一番の近道と言えます。
活躍の場も、アニメ制作会社、専門スタジオ、グッズや玩具メーカーなど、いろいろな可能性が広がっています。
自分のやりたいことを見極め、持ち味とスキルを活かせる現場への就職を目指しましょう!
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「絵を描く以外の方法でアニメに関わる仕事がしたい」という人は、これらの道を目指すのが良いでしょう。