調理師の給料は安い?職場によって差が大きいので職場選びは慎重に
おいしく安全な料理を作り食べてもらうことが仕事の調理師は、飲食業界だけでなく医療や介護、教育の現場にも欠かせない存在です。
しかしそんな調理師の給料は、残念ながら「安い」というイメージ。
実際、政府の統計を見てみても、調理師の平均年収は全職種をあわせた平均の額よりも低いのが現状です。
しかし、調理師の職場は高級ホテルから学校、介護や医療の現場まで実にさまざま。それぞれの職場の規模などによっても給料は異なります。
この記事では、統計資料などを元に調理師の給料を紹介していきます。調理師になることを考えている人、転職を考えている人はぜひ読んでみてください。
調理師の平均給料を詳しく紹介
さっそく調理師の気になる給料や年収についてみていきましょう。
ここでは厚生労働省が発表している統計「賃金構造基本統計調査」の結果から、調理師の給料や年収について説明していきます。
調理師の給料の平均は意外と安くない?1カ月あたり約25万3700円
「賃金構造基本統計調査」によると、調理師の2018年の平均給料は、男女平均で253,700円。
少数でも飛び抜けて高いお給料をもらっている人がいれば、平均の金額は高くなってしまいますからね。
税金などを引いた手取りはもう少し下がりますね。
ちなみに、本来「調理師」とは国家資格を資格を取得した人のこと。しかしこの統計の「調理師」には調理師免許がない人も含まれています。
では、男女別の平均給料も見ておきましょう。
性別 | 給料(月給) |
---|---|
男性 | 287,900円 |
女性 | 202,500円 |
男性と女性でこれほど給料の額に差がついているのには、主に3つの理由が考えられます。
・育児などのため、非正規雇用や時短勤務で働く女性も多い
・管理職には男性が多く、役職手当の有無などで差がつく
調理師の管理職には、料理長やマネージャー、店長などがあります。
調理師と調理師見習いでは年収が違う!その年収差は約50万円以上
調理の仕事には、資格がなくても就けます。ただし一定期間は「調理師見習い」として働くケースも。
その場合、調理師と調理師見習いとでは収入にどれくらいの差があるのか、男女別に見てみましょう。
調理のメインとなる部分は、調理師が行います。
男性 | 女性 | |
---|---|---|
調理師 | 約383万円 | 約282万円 |
調理師見習い | 約303万円 | 約235万円 |
調理師と調理師見習いでは約100万円の年収差があることがわかります。
「料理長候補」と書かれた求人なら、お給料も比較的高いですよ。ただし責任などもついてきますけどね。
見習いからコツコツ経験を積みスキルを上げて、料理長になったり独立開業に成功したりすれば、給料も上がりますし、やりがいも大きくなります。
調理師の給料は他の職種や全産業計と比較してどうなのか
最後は、調理師の給料を他の職種や全産業計と比較していきます。
まずは食べ物に関する職種で比べてみました。
職種 | 給料(月給) |
---|---|
調理師 | 253,700円 |
栄養士 | 239,600円 |
パン・洋菓子製造工 | 243,000円 |
調理師の平均給料は、栄養士やいわゆるパン職人、パティシエなどと比べると高いことがわかります。
次に全産業計(調理師を含めたすべての職種の合計)との比較を見てみましょう。
調理師の年収は、全体の平均よりも約150万円ほど下回っています。
平均給料 | およその年収※ | |
---|---|---|
調理師 | 253,700円 | 3,421,500円 |
産業計 | 336,700円 | 4,972,000円 |
調理師の給料は職場によって大きく異なる
次は、調理師の給料と職場の関係を見ていきましょう。
調理師の給料は、職場によって大きく異なります。
調理師はさまざまな場所で活躍できる仕事。主に次のような職場があります。
- カフェやレストラン
- 小中学校などの給食センター
- 企業の社員食堂
- 病院
- 保育園
- 結婚式場
それぞれの職場について、給与の例を求人情報からピックアップして紹介します。
カフェやレストランなど飲食店の給料は勤務先によって差が大きい
調理師の求人が最も多いのが、カフェやレストランなどの飲食店。
月給・時給だけでなく勤務時間や休日の日数も、勤務先によってバラバラです。
地域 | 給料例 | 備考 |
---|---|---|
東京 | 月給 220,000円~350,000円 | レストラン(月8日休み) |
名古屋 | 月給 235,000円~350,000円 | 日本料理店(月6~8日休み) |
神戸 | 月給 200,000円~280,000円 | カフェ(月8日休み) |
また、料理長候補、店長候補などの求人ではより高い給料で募集されています。
ホテル内のレストランや一軒家のレストラン、チェーン店など店舗の形態などによっても給料は異なります。
勤務時間は7時から23時30分までの間での3交替制という職場もあれば、ランチ(10時から15時)とディナー(18時から23時)の時間帯を分けての勤務というところも。客の入りが多い休日はシフト制を取るところがほとんどです。
小中学校などの給食センターの給料は低め、でも土日祝休みが多い
子どもために毎日大量の給食を作る給食センターでは、平日勤務のみという点からか女性調理師が多く働いています。
しかし「給食センター」といっても、小中学校だけではありません。いわゆる老人ホームなどにも給食センターはあります。
地域 | 給料例 | 備考 |
---|---|---|
東京 | 月給 180,000円~260,000円 | 土日祝休み |
名古屋 | 月給 170,000円~260,000円 | 週休2日制 |
大阪 | 月給 160,000円~240,000円 | 土日祝休み |
早朝からの勤務ではありますが、終了時間は15時もしくは16時という職場が多く、夕方からの時間を長く使えるため子育て中の女性などにも人気。
勤務時間は6時から16時の間などの2交替制が多く、休日に関しては、小中学校であれば土日祝休みの職場がほとんどです。
休日も、土日祝日が休みとは限りません。
企業の社員食堂の給料はさまざま、終業時間は比較的早い
調理師の中には、企業の社員食堂で働く人もいます。
社員食堂があるのはいわゆる大企業がほとんどですが、調理師の給料も高いとは限りません。
地域 | 給料例 | 備考 |
---|---|---|
東京 | 月給 約29万円 | 大手出版社(7:30~15:30) |
名古屋 | 月給 17万円~22万円 | 大手メーカー(8:00~16:30) |
大阪 | 月給 20万円~30万円 | 大手メーカー(8:00~17:00) |
企業では昼休みの時間が決まっていることが多く、終業時間が早い傾向にあります。
ただし企業によっては、5時から20時までの間での2交替制での勤務というケースもあります。
休日の多さに重点を置く人には社員食堂も狙い目の職場ですね。
病院勤務は給料は高めだが早朝・交替制での勤務が多い
病院で働く調理師の給料は、給食センターや社員食堂で働く調理師に比べて高めです。
しかし入院患者の食事は休みなく必要なため、勤務はシフト制が多く、早朝出勤もあります。
地域 | 給料例 | 備考 |
---|---|---|
東京 | 月給250,000円~330,000円 | 民間病院(3交替制) |
名古屋 | 月給240,000円~300,000円 | 民間病院(3交替制) |
大阪 | 月給240,000円~300,000円 | 民間病院(3交替制) |
勤務時間は4時もしくは5時から18時や20時までの間という病院が多く、シフトは2交替制もしくは3交替制です。
保育園での給料は病院より安いが、日祝休みで子育て中でも働きやすい
保育園で働く調理師の給料は、相対的にやや低め。しかし小・中学校と同じく日曜・祝日が休みとなるメリットがあります。
地域 | 給料例 | 備考 |
---|---|---|
東京 | 月給 175,000円~230,000円 | 小規模保育園 |
名古屋 | 月給 181,000円 | 小規模保育園 |
大阪 | 月給 200,000円~210,000円 | 大規模保育園 |
求人情報には、「子育てをしながら働いている人がいます」という情報も他の勤務先に比べて数多く掲載されています。
勤務時間は7時30分もしくは8時から、16時もしくは17時までの求人がほとんどでした。
結婚式場では給料が高いものの終業時間が遅め
調理師の華やかな職場としてイメージしやすいのが結婚式場ですよね。
結婚式場で働く調理師の給料は、他の職場よりもやや高い傾向にありました。
地域 | 給料例 | 備考 |
---|---|---|
東京 | 月給 215,000円~365,000円 | ウエディング・レストラン(公休月9日) |
名古屋 | 月給 190,000円~220,000円 | ホテル内結婚式場(週2日休み) |
大阪 | 月給 180,000円~350,000円 | ウエディング・ケータリング(公休月8日) |
勤務時間は10時から20時、もしくは22時までの求人が多いです。休日に関しては、ウエディングという仕事上「土日祝は休めないもの」と覚悟しておきましょう。
手当が充実している職場ならお給料が高くなる可能性が高いので、求人を見るときは手当の種類や金額にも注目してください。
調理師の給料は安め、仕事に何を重視するかを明確化しよう
残念ながら、調理師の給料は全業種の平均よりも低い傾向にあります。しかし社会的ニーズは高く、やりがいのある仕事。
調理師の仕事に何を重要視するかを明確にし、給料の額だけにとらわれないのがおすすめです。
調理師の給料や働き方、仕事に求められるものは勤務先によって大きく異なるので、職場探しは大切なポイント。
調理師としてどんな仕事がしたいか、しっかり稼ぎたいのか、プライベートを重視するのか。目的をはっきりさせれば、選ぶべき勤務先は自ずと決まります。
転職するなら、目的に合った働きやすい職場をじっくり探しましょう。
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