医療事務の資格は何のために必要?3大資格の特徴と効果を解説します
女性に人気の仕事の1つである医療事務。働ける場所がたくさんあるなどの理由から、転職や就職を考える女性に注目されています。
そのため、医療事務の資格取得を考える人も多いのではないでしょうか。
しかし、医療事務にはたくさんの種類があります。
いずれも国家資格ではなく民間の資格です。
この記事では、まずは医療事務の仕事を大まかに説明し、医療事務の資格として代表的な3つの資格を紹介します。
資格の効果についても説明するので、これから医療事務の仕事をしたい人、資格取得を検討している人は、ぜひ参考にしてください。
医療事務の資格を取る前に、医療事務とはどんな仕事かを把握
医療事務の資格を知る前に、医療事務という仕事そのものについての理解が必要です。まずは医療事務の仕事内容についてご説明しますね。
医療事務の仕事は、大まかに次の3つに分かれます。
- 受付と案内
- レセプトの点検、計算
- 会計業務
それぞれ見ていきましょう。
医療事務の仕事:患者の受付と案内
病院に来た患者の受付や診察などへの案内をするのが、受付の仕事です。
仕事内容は病院によって細かく違いますが、患者さんとのコミュニケーションはどこに行っても重要。
大きい病院などでは、病院全体の受付だけでなく、診療科ごとに受付を設けている所もあります。
場合によっては、診察室や検査室への誘導だけでなく、その患者さんが安全に目的の部屋に行けるよう補助をする場合もあるでしょう。
医療事務の仕事:レセプトの点検や計算など
「レセプト」とは、「診療報酬明細書」のことです。
医療機関では、診察や手術、検査や投薬といった医療技術やサービスを全国一律で点数化しています。
医師が記入したカルテをもとに「診療報酬点数」を算出することで、患者が負担する医療費が決まるのです。
この請求業務は毎月10日に行われるため、医療事務の仕事は月末から月初にかけて特に忙しくなります。
医療事務の仕事:会計業務
会計業務は、レセプト計算によって算出した医療費を患者から預かり、会計する仕事です。
患者が一時立て替え払いをした医療費の精算などをすることもあります。
医療事務の仕事内容について詳しくは、「調剤薬局事務の仕事内容とは?医療事務との違いやメリットも解説」の記事も参考にしてください。
医療事務の資格は1つや2つじゃない!代表的な資格3選を紹介
医療事務の資格には、国家資格はありません。
しかし民間の団体などが行う資格はたくさんあり、その数はなんと80種類以上とも。
そんなにたくさんあると、医療機関にあまり認知されていない資格もありそうですよね。
この記事では、医療事務の代表的な資格と言える、次の3つの資格について見ていきましょう。
いずれも受験資格は設けられていないので、誰でも受けられます。
では、比較的難易度の低いものからご説明しますね。
医療事務の資格その1:医療事務管理士
「医療事務管理士」は、日本で最初の医療事務の資格と言われ、医療業界でも広く認知されています。
試験は「技能認定振興協会」が行うもので、内容は「学科試験」「実技試験」の2つ。
学科試験では、医療制度や保険請求についての知識、臓器等に関する医学の一般的な知識について出題されます。
実技試験の内容は、レセプトの点検や、レセプトを作成する問題です。
「技能認定振興協会」によると、「医療事務管理士 技能認定試験」の合格率は約5割。
試験日 | 奇数月の第4土曜日(年6回) |
---|---|
試験時間 | 会場受験:4時間(学科1時間・実技3時間) インターネット受験:3時間 |
受験料 | 7,500円。いずれかの免除ありは5,400円(いずれも税込み) |
試験会場 | 札幌など全国約30カ所の指定会場もしくはインターネット上 |
学科か実技どちらかのみ合格した場合は、合格した方の試験が半年間免除されます。
インターネット試験は、自分の決めた日時で受けられるんですよ。
医療事務の資格その2:医療事務技能審査試験
医療事務技能審査試験(メディカルクラーク試験)は、一般財団法人 医療事務教育財団による認定資格です。
試験には、医療事務の基礎知識とレセプト問題に加え、患者への接遇の問題も盛り込まれているのが特徴です。
この試験に合格した人には、「メディカルクラーク」という称号が与えられます。
合格率は5割から6割。高めではありますが、実技試験が1と2に分かれて2つあるため、時間配分に気をつける必要があります。
試験日 | 年12回 |
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試験時間 | 3時間 (実技1:50分、学科:60分、実技2:70分) |
受験料 | 7,500円(税込み)を銀行振込 |
試験会場 | 在宅(日本国内のみ) |
試験は在宅ですが、インターネット上ではありません。
試験日当日の午前中に宅配便にて問題・解答用紙が届くので、回答を記入して翌日までに送付する流れです。
医療事務の資格その3:診療報酬請求事務能力認定試験
「診療報酬請求事務能力認定試験」は、公益財団法人 日本医療保険事務協会による認定試験です。
医療事務資格の中でも最難関の資格と言われており、この資格を持っていれば、医療事務としての基本知識が十分備わっていると証明できます。
受験科目は「医科」と「歯科」に分かれていて、それぞれ学科試験と実技試験があります。
学科試験は、次のような内容についての基礎知識が問われるものです。
・保険医療機関などについて
・診療報酬、材料価格基準など
・医療用語、医学・薬学について
・医療関係の法律
・介護保険制度の概要
実技試験では、カルテから情報を読み取り、レセプトを作成する問題が出題されます。
試験会場には報酬点数が載っている「報酬点数表」など、資料の持ち込みが許されています。
しかし限られた時間内で全ての問題を解くには、資料に頼り切った状態では難しいでしょう。
この資格は他の医療事務資格と比べて難易度が高く、医科の合格率は3割程度。
医療事務として働く人の中には、スキルアップ目的でこの資格取得を目指す人もいるほどです。
試験日 | 毎年7月・12月の年2回、日曜または祝日 |
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試験時間 | 3時間 |
受験料 | 9,000円(税込み)を郵便振替(※) |
試験会場 | 札幌から那覇まで、全国17都市に設置 |
まずは上で紹介したような別の資格に挑戦し、レセプト作成やそれに関する知識をしっかり備えてから挑戦するのをおすすめします。
医療事務の資格の種類はさまざま!必要とされるスキルに合うかも重要
医療事務の資格は、主にレセプト計算能力があることを示すものです。
具体的には次のような力があると証明できます。
- カルテからレセプト作成に必要な情報を抜き取る力
- レセプトを正確に作成する力
- 医療に関わる人として最低限の医療知識
しかし先にも説明したように、医療事務の資格は数十種類も存在。全て民間の資格であり、それぞれ出題範囲や難易度が違います。
医療事務の資格を最大限に活かすには、求人情報から「どんなスキルが求められているのか」を読み取りましょう。
資格によっては、医療に従事している人でも知らない資格もあり、就職に活かしにくい場合もあるのです。
医療事務の資格は転職にどう影響?これから資格を取る人へ
この章では、これから医療事務の資格を取ろうと思っている人が知っておくべき次の2点について説明します。
それぞれ見ていきましょう。
医療事務には、資格よりも実力を求められるケースが多い
医療事務を雇う病院側の多くは、資格よりも実務経験の有無を採用可否のポイントとしています。
実際のレセプト計算はパソコン用のソフトを利用するので、知識があるかどうかより、レセプト計算ソフトを使えるかどうか、という点が重要になってくるのです。
とはいえ、病院によっては未経験でも応募可能なケースも。
医療事務未経験の人が正社員を目指す場合、まずはアルバイトや派遣社員など「未経験可」の求人に応募し、経験を積みながら正社員を目指すのが一般的です。
資格の取得方法によっては就職のあっせんを受けられる可能性あり
医療事務の資格を取るための勉強には、大きく次の3つの方法があります。
- 専門学校や職業訓練校に通う
- 通信教育で学ぶ
- テキストや問題集を購入し、独学で勉強する
このうち専門学校などで勉強すると、就職先のあっせんを受けられる可能性があるのです。
専門学校が持つ求人の中には、その専門学校の生徒にだけ公開されている求人もあるのです。
その場合、未経験でも医療事務の正社員として就職できる可能性があります。
「未経験だけどはじめから正社員で働きたい」という人は、専門学校や職業訓練校の利用を検討しましょう。
医療事務の資格は自分の実力を示す武器!賢く選んで受験しよう
医療事務の資格は、医療事務の重要な仕事である「レセプト作成能力」などを証明する資格です。
ただ、実際の就職では、資格よりも実践経験のある人が優遇される傾向に。
未経験で正社員になりたかったら、就職のあっせんをしてくれる専門学校で資格を取るなどの対策が必要です。
医療事務の資格は数十種類あり、難易度や試験問題の範囲がそれぞれ異なります。
医療事務の資格を就職・転職に活かすには、「医療事務としての自分の働き方」を、資格を取る時点から考えておくのがおすすめです。
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その「3割分」を算出し、残りを健康保険組合など(保険者)に請求するのもレセプト業務の1つです。