医師事務作業補助者とは?仕事内容、向いている人、おすすめの資格
医療業界では近年、働き手のニーズが高まり続けています。
中でも注目を集めている職種が、近年新たに生まれた専門職「医師事務作業補助者」です。
名称は職場などによって、「医療クラーク」「メディカルアシスタント」などさまざま。
2008年にその体制が診療報酬の加算対象となって以来、その数は増え続け、医師にとっても患者にとっても欠かせない役割となっています。
そんな「医師事務作業補助者」ですが、医療分野の仕事でありながら、特別な資格は要りません。
ニーズが安定している上に、パソコン入力など事務系のスキルを活かして、未経験からでもチャレンジ可能。
この記事では、医療に興味があり、事務系のスキルを持つ人に最適な「医師事務作業補助者」の仕事について、仕事内容、給料、求められるスキルや、メリット・デメリットなどを紹介します。
医師事務作業補助者の仕事内容、できること・できないこと
医師事務作業補助者とは、その名の通り「医師の指示をもとに事務的な作業を行うことで、医師をサポートする仕事」です。
最近、病院に行くと、診察室で医師の隣や後ろに座っている事務スタッフを見かけませんか?
そのスタッフは診察中、医師と患者の会話を聞きながら、パソコンで何かを入力していませんか?
その人こそが「医師事務作業補助者」です。
では、彼らはいったい何をPCに入力しているのでしょうか?仕事内容を詳しく見てみましょう。
医師事務作業補助者の仕事内容は、大きく分けて4つ
医師事務作業補助者の仕事は、大きく次の4つに分けられます。
- 医療文書の作成代行
- 診療記録の代行入力
- 医療の質を向上させるための事務作業
- 行政への対応
それぞれ具体的に見てみましょう。
1.医療文書の作成代行
医療事務作業補助者は、次のような医療に関連する文書を、医師の指示のもとに代理で作成します。
ただし、最終的な確認・署名は必ず医師が行わなければいけません。
2.診療記録の代行入力
医療事務作業補助者は、医師の代わりにカルテや電子カルテの記入・入力も行います。診察室でパソコンに打ち込んでいるのは、この電子カルテや診療の記録などです。
こちらも、最終的な確認・署名は必ず医師が行います。
3.医療の質を向上させるための事務作業
治療に必要なデータ収集や管理、院内会議(カンファレンス)の資料作成などを行います。
また、患者を診察室まで案内することもあります。
4.行政への対応
診療等のデータを外部の統計システムに入力したり、関係省庁から依頼されたデータや書類の提出準備を行います。
これら全ての仕事は、必ず医師の指示のもとに行われます。
医師免許がなくてもできる、このような事務的な作業が医療事務作業補助者の仕事なのです。
医師事務作業補助者がこれらの作業を代理で引き受けることにより、医師は本来の仕事、つまり「患者と向き合うこと」や「治療方針を考えること」などに集中できるのです。
医師事務作業補助者が「できないこと」
医師事務作業補助者には、「してはいけない」と定められている仕事もあります。
たとえば、診断書や処方箋などの医療文書の最終確認や署名(サイン)。これらの文書は、最終的には必ず医師が確認し、署名することになっています。
また、医師以外の職種(看護師など)の指示のもとに業務を行うこと、それから医師ではなく看護師などの補助業務を行うことも禁止されています。
その他にも、診療報酬の請求(医事課が行うべき範囲の業務)、窓口・受付業務なども、医師事務作業補助者の仕事ではありません。
医師事務作業補助者が生まれた背景は「医師の忙殺」
医師の仕事は、診察以外にも多岐にわたります。その中には、パソコンを使った文書作成やデータ収集・管理など、事務的な作業も多いのです。
医師が事務的な業務に忙殺されて、患者と向き合う時間が少なくなってしまう。そんな現状を変えるために、医師事務作業補助者は生まれました。
医師免許がなくてもできる事務作業を引き受けることで、医師が患者さんとその治療に集中し、的確な判断をするためのサポートをしています。
病院側には、医師事務作業補助者を正しい形で雇い入れている場合、診療報酬の項目に「医師事務作業補助者体制加算」という項目を追加できるメリットがあります。
医師事務作業補助者の給料は?求人から収入相場を解説
では、医師事務作業補助者として働く場合、どのくらいの収入を得られるのでしょうか?
現在のところ、残念ながら医師事務作業補助者の給料に関する公的なデータは存在しません。
そこで当サイトでは、求人情報をもとにおおよその給与相場を独自に割り出しました。
医師事務作業補助者の給与相場は、正社員の場合で月給15万円〜27万円です。
金額の幅が広いのは、勤務する地域や病院によって給与の相場が異なるため。他の職種と同様、首都圏など都市部に行くほど高くなり、地方に行くほど低くなります。
また、資格や経験の有無によっても多少相場が変わります。とくに経験者は歓迎される傾向が強く、月給25万円を超えるような求人は「経験者限定」であるケースが目立ちます。
派遣社員・パート・アルバイトの場合、時給800円〜1,400円くらいが相場です。
医師事務作業補助者のデメリットは?メリットも多い!
どんな仕事でもそうですが、医師事務作業補助者にも「苦労すること(デメリット)」と「喜び(メリット)」の両方があります。
具体的にどんなメリット・デメリットがあるのかを見ていきましょう。
医師事務作業補助者のデメリットは?
医師事務作業補助者の仕事のデメリットは、対人仕事ならではのストレスや、医療現場ならではのプレッシャーがかかることです。
医師や患者と接することはもちろん、他の病院スタッフとの連携も欠かせません。多くの人と接する職場、特に女性の多い職場では、人間関係にストレスを感じる人も多いのです。
また、医師事務作業補助者には、通常の事務職にはない「患者さんの命に関わるプレッシャー」を感じる場面もあります。
医師とともに診察室に入って話を聞くこと、そして診察内容を過不足なく文書としてまとめることは、治療に大きく関わる責任を伴います。
責任感が強くそうしたプレッシャーを感じやすい人にとっては、業務に苦痛を感じることもあるでしょう。
医師事務作業補助者のメリットは?
しかし、医師事務作業補助者として働くことには、メリットもたくさんあります。
- 医療知識に詳しくなれる
- 資格や免許が必要ない
- 未経験でもチャンスが多い
- 残業や休日出勤が少ない
- 人の役に立てるやりがい
まず、医療に関する知識が自然と身につきます。
医師事務作業補助者として働くには、特別な資格や免許は必要ありません。経験者は優遇されますが、未経験からでも十分チャレンジが可能です。
実際に医師事務作業補助者として働いている人の多くが未経験からスタートしています。とくに他分野で事務職を経験している人には、活躍しやすい仕事です。
さらにうれしいのが、仕事が家庭やプライベートと両立しやすいこと。医師事務作業補助者には、残業や休日出勤といった時間外労働が少なく、決まった時間で終わることも多いのです。
もちろん、やりがいの面でも、医師からの役に立っていることを実感できたり、患者さんからの「ありがとう」が聞けたりして、充実感を得られます。
医師事務作業補助者に向いている人の特徴やスキルとは
医師事務作業補助者は特別な資格が要らず、未経験でもチャレンジしやすい仕事ですが、人によって向き・不向きはあります。
医師事務作業補助者に求められるのは、次のような人です。
- コミュニケーションスキルがある人
- パソコンや事務職のスキルがある人
- 責任感の強い人
- 思いやりの心を持っている人
- 正確な仕事ができる人
- 国語力のある人
反対に、次のような人は医師事務作業補助者にはあまり向いていないと言えます。
- ひとりで黙々と作業したい人
- パソコン入力が苦手な人
- 文章の読み書きが苦手な人
- 正確な作業が苦手な人
こういう人は、医師事務作業補助者の仕事に就いても苦手なことばかりで苦労するでしょう。
自分には向いていると思う、未経験から目指したい、という人は、上で紹介した医師事務作業補助者に必要なスキルを、応募書類や面接でしっかりアピールすることが大切です。
医師事務作業補助者をめざす人におすすめの資格4つ
医師事務作業補助者に必須の資格はないものの、事務職などの経験が全くない場合は、スキルをアピールするために「MOS検定(Word、Wxcel)」や「秘書検定」といった資格を取得しておくのがおすすめです。
また、医師事務作業補助者として専門的な知識を基礎から身につけるには、次のような資格も役立ちます。
- 医師事務作業補助者検定試験
- 医師事務作業補助技能認定試験
- 医師事務作業補助者実務能力認定試験
- 医療秘書技能検定試験
1.医師事務作業補助者検定試験
医師事務作業補助者に必要な知識やスキルを証明できる資格です。合格率は約60%で、平均的な難易度。独学でも取得を狙えます。
運営 | JSMA(技能認定振興協会) |
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受験資格 | 不問 |
試験日程 | 年6回(奇数月の第4土曜日) |
受験料 | 7,500円(税込) |
合格後の称号 | ドクターズオフィスワークアシスト® |
公式サイト | https://www.ginou.co.jp/qualifi cations/doctors-office.html |
2.医師事務作業補助技能認定試験
医師事務作業補助業務に必要な、知識と技能のレベルを評価するための資格です。合格率は非公開ですが、独学で取得している人も多数います。
運営 | 一般財団法人 日本医療教育財団 公益社団法人 全日本病院協会 |
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受験資格 | 指定あり(公式サイト参照) |
試験日程 | 年6回(奇数月の日曜日) |
受験料 | 9,000円(税込) |
取得できる称号 | ドクターズクラーク® |
公式サイト | http://www.jme.or.jp/exam/d c/outline.html |
3.医師事務作業補助者実務能力認定試験
医師事務作業補助者に必要な基礎知識と文書作成能力を、客観的に判断する資格です。合格率は約60〜80%で、試験には参考書やノートの持ち込みが許可されています。
運営 | 全国医療福祉教育協会 |
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受験資格 | 不問 |
試験日程 | 年3回(3月頃、6月頃、10月頃) |
受験料 | 一般7,500円 |
取得できる称号 | 特になし |
公式サイト | http://iryou-shikaku.jp/exam/clark.php |
4.医療秘書技能検定試験
これは医師事務作業補助者ではなく、「医療秘書」としての専門知識と技能を認定する資格です。医療分野の基礎知識と事務処理能力を証明するのに役立ちます。
準1級以上は難易度が高いため、専門学校や通信教育で学ぶのがおすすめです。
ただし2級・3級は独学での取得も十分狙えますし、一般的には「2級以上が就職に有利」と言われています。
運営 | 一般社団法人 医療秘書教育全国協議会 |
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受験資格 | 不問 |
試験日程 | 年2回(6月頃、11月頃) |
受験料 | 1級6,500円/準1級5,800円/2級5,100円/3級4,000円 |
取得できる称号 | 特になし |
公式サイト | http://www.medical-secretary.jp/iryo/ |
実際の求人を見ると、待遇の良い案件には、上記のような資格保持者は「優遇」と書かれていることもあります。
医師事務作業補助者として資格を取るなら、この中から選ぶのがおすすめです。
医師事務作業補助者の求人は、一般的な大手総合型転職サイト・エージェントでも見つかりますし、「医療事務求人.com」「ソラジョブ医療事務」など医療事務系の仕事に特化した転職サイトで探すのも効率的ですよ。
医師事務作業補助者は、事務スキル&医療への興味がある人に最適
医師からも患者からも必要とされているため、やりがいや存在意義を感じられます。
また、決められた勤務時間内に仕事が終わることも多いので、家庭やプライベートとの両立も比較的しやすい仕事です。
就職においては、経験者や資格保持者は優遇されますが、未経験からでも充分チャレンジできます。とくに事務職の経験があり、医療分野に興味がある人にとっては、うってつけの仕事と言えるでしょう。
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