営業の仕事・転職に有利な資格とは?業界別のおすすめ資格も解説
企業が利益を増やすのに欠かせないのが「営業」の仕事。商品やサービスを売り込んだり、お客さんとコミュニケーションを取ったり、さまざまな業務を行っています。
営業職への転職を考える人も多いですが、「営業にはどんな資格が必要?」「資格があると転職に有利?」など、資格について気になる人もいますよね。
そこでこの記事では、営業の仕事に役立つ資格、スキルアップやキャリアアップにつながる資格を紹介していきます。
営業への転職を考えている人だけでなく、今、まさに営業でさらなるキャリアアップをめざしている人もぜひ読んでみてください。
営業に必須の資格はないけれど、スキルアップには有効
しかし、仕事に役立つ資格を取って知識を高めている営業マンもたくさんいるんですよ。
求人情報を見ても、資格についての記載より「業界経験者歓迎」「接客販売の経験がある方歓迎」など、経験に関する記述が目立ちます。
営業という仕事は、働く業界や営業のスタイルによって求められるスキルが異なるもの。また、知識も大切ですがまずフットワークの軽さなど実践的な能力の方が重要です。
そのため、営業職の採用では資格よりも実務経験やコミュニケーションスキルが重視されます。
とは言え、仕事に役立つ資格を持っていることには、次のようなメリットも。
・クライアントからの高い信頼が得られる
・営業成績を上げるテクニックが身につく
営業の仕事に役立つ資格には、営業スキルを上げるための資格もありますし、業界に関する資格もあります。
営業スキルの向上に役立つ、営業職全般におすすめの資格
まずは業界問わず、営業職に共通しておすすめできる資格を紹介します。
営業士
「営業士」とは、情報を活用したマーケティングやセールスに関するスペシャリストのこと。
「営業士検定」は(一社)日本販路コーディネータ協会が運営する「日本営業士会」による検定制度です。
試験は日本営業士会のテキストに基づいて実施され、初級・上級・マスターと3段階に分かれています。
初級は営業についての基礎知識、上級は指導を含む営業の応用知識、マスターとなると営業に加えてマネジメントやマーケティングといったより高度で専門的な知識の習得が求められます。
級(レベル) | 対象者・内容 |
---|---|
初級 | 【営業担当者】 ・営業の基礎知識 ・必要なスキル ・基本的な方向性 |
上級 | 【中堅幹部クラス】 ・企画型営業の応用知識 ・営業、営業企画、マーケティング、マネジメントの応用知識 |
マスター |
【幹部クラス】 ・経営に関する高度かつ専門的な知識 ・経営、営業事業評価などの実践知識 ・営業戦略立案と実行、コーディネート手法の知識 |
初級は誰でも受験可能ですが、上級を受ける場合は「初級」、マスターを受ける場合は「上級」に合格していることが受験の条件です。なお、初級と上級は同時受験できます。
試験実施:年に2回
試験会場:全国4都市(札幌、新宿、大阪、福岡)
受験資格:【初級】誰でも受験可能、【上級】初級合格者、【マスター】上級合格者
セールスレップ
「セールスレップ資格認定制度」は日本セールスレップ協会(JSRA)が営業のプロとしての能力を認定する試験制度です。
企画、提案、問題解決などの営業スキルだけでなく、販売促進からマーケティング、コンサルティングまで幅広く実践的な知識とスキルを身につけることができる資格です。
ただしこの資格では、企業で営業活動をする人も対象となっていますよ。
ちなみにセールスレップは「sales representative(セールス レプリゼンティティブ)」の略です。
試験内容は営業、販売、マーケティングの基礎や応用。メーカーと販売先、両方の視点で商品や販売などに関する知識を持っていることが必要とされます。
「3級」「2級」「マイスター」と3つのレベルがあります。
級種 | 内容 |
---|---|
セールスレップ3級 | ・販売業務の基本的な仕組みを理解している ・基礎知識+技術を身につけている |
セールスレップ2級 | 販売業務に関する専門的知識を身につけている ・管理業務の遂行と部下の指導ができる |
セールスレップ・マイスター | ・販売業務に関する高度の専門的知識を身につけている ・販売戦略の立案と総合的な管理業務ができる ・レポート審査あり |
資格取得には、次の方法があります。
- 資格認定試験:全国一斉試験を受験する
- 通信講座:研修DVDで学習し、認定試験を受ける
また、3級には「資格認定研修プログラム」もあり、集合研修と小試験で3級の資格を取得することもできます。
3級は誰でも受験可能。「3級→2級→マイスター」と順にステップアップしていく仕組みで、3級と2級は同時受験も可能です。
試験に合格した後、資格の認定には登録手続きが必要で、1年ごとの更新制となっています。
全国一斉試験:年に2回
試験会場:全国6都市(札幌、仙台、東京、名古屋、大阪、福岡※変更の場合あり)
受験資格:【3級】誰でも受験可能、【2級】3級合格者、【マイスター】2級合格者、販路コーディネータ1級資格保有者
販売士
「販売士」とは、「リテールマーケティング(販売士)検定試験」に合格した人に与えられる呼び名のこと。日本商工会議所が行う認定資格試験です。
営業に直結する知識というよりは、マーケティングやマーチャンダイジングについての学習がメイン。
流通・小売業界に関する営業職に就いている人や仕事の幅を広げてキャリアアップを目指す人におすすめです。
「販売のプロ」として、接客の基礎知識、取り扱う商品の専門知識、売り場や店舗の管理、経済の動きを踏まえた店舗経営能力などを身につけられます。
試験は「3級」「2級」「1級」と3つのレベルがあり、どの級からでも受験可能です。
級種 | 内容 |
---|---|
3級 |
【売り場の販売員レベル】 ・売り場づくりなどマーケティングの基本知識 ・マナーなど販売員として必要な接客知識 |
2級 | 【売り場の管理者クラス】 ・マーケティング、マーチャンダイジングなど流通・小売業についての専門知識 ・店舗・売り場の包括的なマネジメント能力 |
1級 | 【店長・経営者クラス】・経営に関する極めて高度な知識 ・商品計画やマーケティング、経営管理での適切な判断力 |
2019年2月に行われた試験(第83回)の合格率は、3級が68.9%、2級が68.7%。資格試験の中では比較的高い合格率ですが、1級は24.3%と難易度が高めです。
試験実施:【2・3級】年2回、【1級】年1回
試験会場:全国(各地の商工会議所、公立学校など)
受験資格:誰でも受験可能
中小企業診断士
「中小企業診断士」はその名のとおり中小企業の経営課題や成長戦略に関する診断、アドバイスなどを行う人のことで、国家資格の1つです。
経済学、経済政策、財務、会計などビジネス全般に役立つ知識を身につけることができます。
営業から会社の経営に関わる職へのキャリアアップや、経営コンサルタントとしての独立開業の道もひらけます。
「中小企業診断士」は国家資格で認知度が高いですが、難易度も高いです。
資格取得には、「第1次試験(筆記試験)」に合格した後、「第2次試験(筆記試験+口述試験)」に合格、その後15日間以上の実務補習または実務経験が必要。
第2次試験を受ける代わりに、指定の期間で養成課程を修了する方法もあります。
その上で中小企業診断士登録を行い、継続には5年ごとに更新する必要もあります。
試験実施:年に1回
試験会場:全国の主要都市(札幌・仙台・東京・名古屋・大阪・広島・福岡など)
※年によって異なる場合あり
受験資格:誰でも受験可能
消費生活アドバイザー
「消費生活アドバイザー資格試験」に合格すると、「消費生活アドバイザー資格」と「消費生活相談員資格(国家資格)」の両方が取得できます。(一社)日本産業協会が実施しています。
消費生活アドバイザーとは、消費者の苦情相談などに対応し助言をしたり、消費者の意見をまとめて企業や行政に伝えたりする役割を担う人のこと。
クライアントに対して、消費者の意見やその傾向を踏まえたアプローチができるようになります。
試験は第1次試験(択一・◯✕形式)と第2次試験(論文・面接)に合格した後、資格保有者として登録手続きをする必要があります。
2018年度の合格率は22.1%でした。
試験開催:年1回
試験会場:全国8都市(札幌・仙台・東京・名古屋・大阪・広島・徳島・福岡)
受験資格:誰でも受験可能
さまざまな知識を持っていればクライアントの担当者や経営者との会話も弾み、新しく気づくこともありそうですね。
次は、業界別におすすめの資格を見ていきましょう。
業界別、営業の仕事に役立つおすすめ資格
営業の仕事では、営業力だけでなく業界や取り扱い商品などに関する知識も必要です。
次の業界、分野別に分けて説明します。
- IT業界
- 不動産業界、保険業界
- 金融・証券業界
- 海外営業
IT業界の営業職におすすめの資格
IT業界の営業職におすすめなのが、「ITパスポート」「基本情報技術者」「応用情報技術者」の3つの資格です。
これらは国家試験である「情報処理技術者」試験の区分の一部で、ITに関する知識やスキルのレベルの客観的な評価基準とされているもの。
試験は、コンピュータに表示された問題をマウスやキーボードを使って解答するCBT方式で行われます。平成30年の合格率は51.7%でした。
基本的な知識や技術に加え、より実践的なITの活用ができるレベルです。
平成30年の合格率は25.6%と、ITパスポート試験に比べて難易度はぐんと上がります。
ITを活用した企業戦略の立案や、信頼性・生産性の高いシステムの構築などが1人でできるレベルがあることを証明できます。
平成30年の合格率は23.1%でした。
ITパスポート試験は随時、「基本情報技術者試験」と「応用情報技術者試験」は毎年春と秋の2回行われています。
不動産業界・保険業界の営業職におすすめの資格
不動産関連の営業なら、「宅建」と呼ばれる「宅地建物取引士」の資格取得がおすすめです。
宅地建物取引士は、不動産や土地の取引に関するプロの国家資格。不動産会社には、5人に1人の割合で宅地建物取引士の設置が義務付けられています。
求人情報ではこの資格の保有が応募の条件となっているケースもあります。平成30年の合格率は15.6%でした。
また、不動産業界や保険業界で転職などに有利なのが「ファイナンシャル・プランナー(FP)」の資格です。
「ファイナンシャル・プランニング技能検定」には1~3級の3つのレベルが設けられており、それぞれに学科と実技の試験があります。
ライフプランニングに合わせた保険の見直しや年金などの知識、税制、金融、不動産など幅広い分野での知識が必要です。
FP技能検定は特に1級の学科試験で難易度が高く、2019年9月の試験では合格率が10.1%でした(一般社団法人 金融財政事情研究会によるデータ)。
積極的に資格取得を目指すことをおすすめします。
証券・金融業界の営業職におすすめの資格
証券・金融業界の仕事なら、「証券外務員」の資格取得がおすすめです。
証券外務員には「一種」と「二種」があり、一種はすべての業務が可能、二種は公社債や投資信託の取引(複雑でないもの)、株式の現物取引など、できることが限られます。
資格試験もこの2種類に分かれていますが、出題科目は金融商品取引法などの法令知識や株式・債券などの商品業務、セールスなどの関連知識に関することで共通しています。
二種ではその基本的な知識と、コンプライアンスに関する基本的かつ重要事項、一種ではより実務的で専門的な知識が問われます。
2018年度の合格率は、一種が66.1%、二種が66.5%でした。
外資系や海外取引を含む業界の営業職におすすめの資格
外資系企業や海外取引がある企業では、英語などの語学力を身につけておきたいところ。
代表的なものに「TOEIC」「実用英語技能検定(英検)」があります。
TOEIC(L&R)は、日本のビジネス英語の資格でもっともポピュラーなテスト。合否判定ではなくスコアの判定方式なので、合否が出る英検よりもレベルが詳細にわかります。
常に英語を使う環境だったり、英語での高度な交渉が必要だったりするなら、860点以上は取っておきたいところです。
逆に、500点以下など低い点数の場合はアピールにはなりません。
「実用英語技能検定(英検)」は日常会話からビジネス英語まで幅広い英語力に対応する試験。ビジネスでアピールできるのは2級以上です。
難易度が高くて合格できなかったとしても、学んだ知識は必ず活かせるときが来ますよ。
営業スキルに自信がない人こそ、資格取得でアピールポイントを作ろう
営業はたくさんの人と接する仕事。結果を出すには、特にクライアントからの信頼を得ることが必要です。
この記事では、そのための方法の1つとして、営業力を上げる資格を取ったり、関連する業界の知識を深める資格を取ったりして、自分の知識レベルを上げることをおすすめしています。
資格があれば、第三者にも自分のスキルが証明できるほか、資格取得に向けた勉強は自分自身の成長や自信にもつながります。
それによって視野が広がり、将来の方向性が見えてきたり変わってきたりする可能性もあるのです。
「自分のスキルに自信がない」「クライアントとの話が盛り上がらない」と感じる人こそ、資格取得を目指してみてはいかがでしょうか。
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