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個人タクシーの運転手にはどんな資格が必要?法人との違いも解説

個人タクシーの運転手にはどんな資格が必要?法人との違いも解説

「会社勤めを辞めて、個人タクシーでも始めようかな」そう思っても、個人タクシーの運転手になるのは簡単ではありません。

まずはタクシー会社で運転手として経験を積むことが必要。ほかにも、試験やいくつかの条件をクリアする必要があるのです。

この記事では、新たに個人タクシー事業者になる方法や満たすべき条件などについて説明します。

法人タクシーと個人タクシーとの違いも解説するので、ぜひ参考にしてください。

個人タクシーの運転手になるのは難しい?3つの申請方法とは

「個人タクシー」とは、個人が専用の車両1台でタクシー事業を営むもの。運転手と事業の経営者、両方の役割をこなします。

個人タクシーの仕事を始めるには、管轄する国土交通省の地方運輸局に申請し、許可をもらう必要があります。

申請方法は、次の3通りです。

個人タクシーを始める方法
  • 新規で個人タクシーの営業許可をもらう
  • 個人タクシーの事業者から権利を譲り受ける
  • 個人タクシーの事業を相続する

1つめは、何もない状態から自分で事業を起こすこと。

2つめは、個人タクシーを廃業する人から事業を譲渡してもらうことです。これを「譲渡譲受」といいます。

3つめは、相続して引き継ぐことです。

ただ現在は、運輸局が新規の許可を行っていない地域が多いのが現状。

そのため、廃業予定の人と個人タクシー事業の譲渡譲受契約を結び、車両代金や営業権利などの代金を払って譲り受けるのが一般的な方法となっています。

新規の許可を行っていない、ってどうしてなんですか?

タクシー運転手は人手不足と聞きましたけど・・・。

それには、2002年に行われた規制緩和が関係しているんです。

規制緩和でタクシー事業への新規参入がしやすくなったことで、タクシーの数が増えすぎました。それにより、運転手の賃金の低下や、サービスの質の低下による安全性の問題が深刻になったのです。

そのため政府は、2009年にタクシーに関する特別措置法を制定。

車両台数を減らすため、過剰供給となる地域を特定地域と指定し、新規の許可を行わないなどの措置を取っています。

一方、タクシードライバーの賃金が安いため定着率も低かったり、若年層から敬遠されたりするなどの状況から、運転手不足の状態が続いているのです。

今は譲渡しか方法がないって言いますけど、譲渡してくれる人をどうやって見つけるんですか?
タクシー運転手として働いていれば、声がかかることもありますよ。

また、個人タクシーの組合に所属すれば、譲渡してくれる人を紹介してくれます。

新規の許可を行っているかどうかは、該当する地方の運輸局に問い合わせてください。

認可の方法が新規であっても譲渡譲受であっても、個人タクシー運転手になるための条件は同じです。

次の章で詳しく見ていきましょう。

個人タクシーを始めるのに必要な年齢や経験、資産などの条件

個人タクシーを始めるには、二種免許の取得はもちろんのこと、経験や資産などさまざまな審査基準があります。

まず、個人タクシー事業は「65歳未満」の人のみ申請可能です。

また、個人だからといって、どこで営業してもよいわけではありません。

営業区域が決まっており、申請した区域内に住んで、その区域で営業するのです。

その他の主な基準について見ていきましょう。ただし、管轄の地方運輸局によって多少異なるので注意してください。

青色の項目については、後ほど詳しく説明します。タップして移動可能です。

個人タクシー事業の主な資格要件
  • 年齢:申請日現在、65歳未満である
  • 運転経歴:職業として、タクシーなどの運転経歴が10年以上ある
  • 法令遵守:過去一定期間内に、法令違反による処分を受けていない
  • 資金:個人タクシー開業に必要な資金以上の自己資金がある
※譲渡する側、相続する側には別途、年齢や資産などの条件あり

まずは運転経歴の条件について見ていきましょう。

個人タクシー申請に必要な運転経歴は年齢・営業区域によって異なる

運転経歴については、年齢に応じて次のような条件があります。

個人タクシー申請時の年齢と運転経歴の要件
年齢区分 要件(すべてを満たす必要あり)
A)35歳未満 ・申請する営業区域内で、10年以上継続して同じタクシー・ハイヤー会社に雇用されている

・申請日を含め、過去10年間は無事故・無違反である

B)35歳以上
40歳未満(※1)
・タクシーなどの運転業務を専業として雇われていた期間が10年以上ある(※2)
・上のうち、タクシー・ハイヤーの運転期間が5年以上ある

申請する営業区域内で、タクシー・ハイヤーの運転経験が申請日を含めて3年以上ある

C)40歳以上
65歳未満
・過去25年間のうち、自動車運転業務を専業として雇われていた期間が10年以上ある(※2)

申請する営業区域内で、タクシー・ハイヤーの運転経験が3年以内に2年以上ある

※1:申請日まで10年間無事故・無違反の人は、Cの要件があればOK
※2:タクシー・ハイヤー・バス以外の運転者だった場合、経験期間は50%として換算

地域によっては、「B」と「C」の区別がなく、35歳以上65歳未満に対して「C」の要件が適用されるところもあります。

自分が営業しようとする地域の条件がどうなのかは、各地域の運輸局のホームページを見るか、問い合わせてみてください。
トラックの運転経験ではだめですか?
トラックも運転経歴には含まれますが、お客さんを乗せないので、半分の期間で計算されます。

トラック運転手として4年働いていたら、2年の計算になりますね。

毎日、営業で外回りに車を運転しています。その期間は含まれますか?
いいえ。その場合、主な業務は運転ではなく営業ですから該当しません。

個人タクシーに必要な条件の1つは、過去に法令違反による処分がないこと

個人タクシーの申請には、これまでに法律をきちんと守ってきたかどうかも重要な審査基準となっています。

その内容を大まかに言うと次のようなものです。

法令遵守状況
  • 過去5年間、各種法律違反による処分を受けていない(道路交通法違反による免許取消を含む)
  • 過去3年間、道路交通法違反がなく、免許停止の処分を受けていない
あのー、実は僕、2年前にスピード違反で1点減点されてるんです。

これってダメですよね?

大丈夫ですよ。
え?いいんですか?
ええ。申請日より1年以上前で、1点または点数が付かない違反であれば、カウントされません。

個人タクシーの申請には、合理的で確実な資金計画と自己資金が必要

個人タクシーの申請には、必要な資金を見積った上、その資金を100%まかなえる、必要資金以上の自己資産の確保が必要です。

必要な資金(所要資金)は、200万円ほどというのが一般的。

申請の際に求められる資金とは、次の4つの合計です。

個人タクシーに必要な所要資金
項目 金額など
設備資金 (関東)80万円以上
(中部)原則70万円以上
など地域による
運転資金 (関東)80万円以上
(中部)70万円以上
など地域による
車庫確保の資金 車庫の新築、改築、購入、借入などの代金
保険料 自賠責保険、任意保険の保険料1年分

これら所要資金の100%以上に値する額を、自分名義の預貯金等で確保してある必要があります。

個人タクシーの申請には、その他にもいくつかの審査基準が。

営業所は住居と同じで、営業区域内であること、車庫はそこから2kmメートル以内にあること、などの細かな基準をクリアした上でないと、申請できません。

さらに、健康診断や運転に関する適性診断を受ける必要があります。

また、法令や地理に関する試験にも合格しないといけませんよ。

個人タクシーor 法人タクシー、それぞれのメリットを比較

個人タクシーに興味はあるけど、会社勤めの法人タクシーがいいのか、個人タクシーに挑戦するべきか、迷う人もいるかもしれません。

個人タクシーと法人タクシーのメリットを、それぞれ見てみましょう。

個人タクシーのメリット
  • 売り上げはすべて自分のものとなる
  • 上司など同僚との人間関係がない
  • 通勤の必要がない
  • 好きな時間で働ける
  • 好きな車種が使える
  • 75歳まで現役で働ける

個人タクシーの場合、各地の個人タクシー組合に加入すれば、チケット制や無線配車などの支援も受けられます。

いいことばっかりですね!嫌な上司はいないし、好きな時間で働けるし。
でも、収入もすべて自分次第。責任は自分が負うということですよ。

事故を起こしたり、体を壊したりしても、助けてくれる人はいないんです。

では、法人タクシーのメリットはどうでしょうか。

法人タクシーのメリット
  • 二種免許があれば働ける
  • 開業資金を準備する必要がない
  • 賃金の最低保証がある
  • 事故時の対応は会社がやってくれる
  • 苦情などの受付も会社が窓口となる
  • 社会保険などの手続きも会社に任せられる※
※短時間勤務などは除く

やはり、「責任」という面において、会社員ならある程度は会社に任せられる、というメリットがあります。

私、会社勤めだと、仕事とプライベートがはっきり分けられるからいいと思うんです。

ずっと仕事のことばかり考えるのは嫌だわ。

個人タクシーに向いているのは、自力でバリバリ稼ぐ自信のある人、会社に頼らず自分で問題・課題を解決できるような人ですね。
ちなみに、平成28年度の個人タクシーの売り上げの平均は338,878円。

最も高かった都道府県は東京で483,858円、最も低かったのは沖縄の135,870円でした。

同じ年の法人タクシーの給与の平均は、264,000円です。

※個人タクシーのデータは、(一社)全国個人タクシー協会の「平成28年輸送実績」、
法人タクシーは、厚生労働省の2016年「賃金構造基本統計調査」によるデータ

個人タクシー事業者の現状は?ドライバーの数の推移と年齢比

ではここで、個人タクシー業界の現状を見ていきましょう。

データは個人タクシー協会による「数字で見る個人タクシー」をもとにしています。

ポイントは次の2点。それぞれ詳しく紹介していきます。

個人タクシーの現状
  • 個人タクシーの数は年々減りつつある
  • 個人タクシーは高齢化が顕著である

まず、個人タクシーを営む人の数を調べた結果を、グラフにしてみました。

個人タクシー事業者数の推移

個人タクシー事業者数の推移

明らかに右肩下がりになっていますね。

実際の数は次のとおりです。

個人タクシー事業者数の推移
年度 事業者数
平成23年 41900
平成24年 40639
平成25年 39304
平成26年 38112
平成27年 36962
平成28年 35883
※各年3月31日現在の数

規制緩和後にできた特措法によって、国が新規の許可を行っていないことが影響していると考えられます。

次に、個人タクシー運転手の年齢について見ていきましょう。

個人タクシーの平均年齢は、64.4歳です(平成29年3月31日現在)。

年齢別の個人タクシードライバーの数は、次のグラフのような比率となっています。

個人タクシー事業者の年齢構成

個人タクシー事業者の年齢構成

実際の人数はこちらです。

個人タクシー事業者の年齢構成
年代 人数
~39歳 98人
40~44歳 625人
45~49歳 1,677人
50~54歳 2,348人
55~59歳 3,127人
60~64歳 5,570人
65~69歳 10,278人
70~74歳 5,603人

人数が最も多いのは、65歳から69歳のドライバー。他の年代に比べて特に多いことがわかります。

若い人の数が少ないのには、個人タクシー事業を始めるための要件として、一定の経験年数が必要なことが理由の1つに挙げられますね。
個人タクシーって、定年とかないですよね?
いえ、現在は、実質的に75歳が定年となっています。

個人タクシーの許可には期限があり、その都度更新手続きが必要です。はじめは3年、その後は年齢などに応じて1、2、3、5年のいずれかの期限で更新されます。

75歳以上は更新されなくなるため、事実上、「75歳」が個人タクシーの定年なのです。

未経験から個人タクシーを目指すなら、まずは二種免許を取得し、法人タクシーからはじめましょう。

タクシーの運転に必要な「二種免許」、受験資格や費用などを解説」の記事も参考にしてください。

法人タクシーの給料については、「タクシー運転手の給料ってどれくらい?年代別やトラックとの比較も」の記事で解説しています。

個人タクシーを始めるのは簡単じゃない!計画を立てて準備しよう

個人タクシーの運転手になるには、運転経験年数や資金計画、適性検査、法令や地理の試験など、さまざまな条件をクリアする必要があります。

職場の人間関係に悩むことなく、好きな時間に働き、稼ぎは全て自分のもの・・・と、個人タクシーにはいいことばかりが思い浮かぶかもしれませんが、実際はもっとシビア。

自由に働ける代わりに、全て自分が責任を負う必要があります。

ただ、それだけ高いハードルをクリアして個人タクシーとなれば、プロフェッショナルとして誇りを持って働けるのも事実。

申請には65歳未満という年齢制限があります。早いうちから計画を立て、個人タクシーの開業を目指してみませんか。

※掲載の情報は2019年4月現在のものです。
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