法律事務所事務員が辞めたいと思う瞬間は?対処法と転職時の注意点
「法律事務所で働いている」と言うと、一般的にはキラキラしたイメージを持たれるかもしれません。
でも実際は、狭い人間関係や大量の地味な仕事に嫌気がさして、「もう辞めたい」と考えている事務員も少なくないのです。
あなたも今、「今いる法律事務所を辞めたい」もしくは「他の仕事に転職したい」と考えてはいませんか?
当サイトでは、法律事務所の事務員を辞めたい、または辞めた、という人にインターネット上でアンケートを行いました。その回答から法律事務所事務員の仕事の現状に迫ります。
多くの人が「辞めたい」と感じる原因や、転職先を探す際のポイント、おすすめの職種などを紹介します。
法律事務所事務員の仕事・今の職場を「辞めたい」理由
法律事務所事務員が「辞めたい」と思う理由には、どんなものがあるのでしょうか?
アンケートには「出産・育児」といった理由や「事務所そのものが解体になった」などの外的要因もありましたが、自分の意志で退職を選んだ人も多くいました。
最も多かった理由は「人間関係」にまつわるものです。
・中規模の事務所で事務員は女性のみ。色々とトラブルがあり、精神的に疲れました。(31歳女性)
・弁護士の気分で振り回されるのがストレスでした。(44歳女性)
・弁護士との性格が合わなかった上、モラハラがあったため。(33歳女性)
また、給料に関する不満も挙がりました。
・給料が安すぎた。どんなに頑張っても月収25万円程度で、それ以上は難しかった。(40歳男性)
・どれだけ尽力しても、全く評価を得られず全て弁護士の手柄になる。負担が大きいのに評価されない。(24歳女性)
・薄給で、日頃のストレスに全く見合わない待遇でした。(39歳男性)
莫大な仕事量やミスが許されないプレッシャーに対し、「収入が割に合わない」と感じる人は多いのですね。
法律事務所で働くデメリット、想像と違ったのはどんなこと?
とくに多くの人が気になるデメリットには、どんなものがあるのでしょうか?
アンケートに寄せられた声を抜粋して紹介します。
・ドラマチックな職場を想像していたが、地道な事務作業が多い、地味な職場だった。(44歳女性)
・専門知識や法律に関わる実務に触れられると思いましたが、実際は事務所にこもって雑務をこなす日々。弁護士に同伴することもほぼありませんでした。(39歳男性)
法律事務所とはいえ、事務員は法律とは無関係な作業を任されることも多いです。
「想像していたよりも地味でつまらない」「法学部出身なのに法律の知識を活かせない」と感じるケースも少なくありません。
・法律事務所なのに、サービス残業の横行など労働関係の法律が守られていない。(30歳男性)
・個人事務所だったので、細々した雑務を全てやるのが大変でした。(43歳女性)
法律事務所は少ない人数で回していることが多く、小規模であれば事務員の数も少なくなります。
自分ひとりで全ての雑務をこなすのは、どんなにスキルが高い人でも大変ですよね。
・個人事務所の場合、所長の人間性が大きく出ます。先生がわがままや理不尽だと非常に働きにくいです。(39歳男性)
・弁護士から事あるごとに怒鳴られ、ついていけなくなった。(24歳男性)
事務所の人数が少ないと、人間関係は密接になりがちです。同僚や先輩と気が合わないのはつらいもの。
そして、中には上司である弁護士からパワハラ・モラハラを受けるケースも。
多くの法律事務所には「有資格者の先生と、無資格の一般職員」という特有のパワーバランスが、いまだに色濃く存在します。
そうした狭い人間関係は、法律事務所のデメリットになりやすいと言えます。
法律事務所事務員を辞めたい!検討するべき3つの対処法
法律事務所を「辞めたい」と思ったとき、どんな対処法があるでしょうか?
選択肢はできるだけ多く把握しておきたいですよね。ここでは転職を視野に入れ、3つの対処法をご紹介します。
- メリットを見直し、転職すべきかを慎重に検討する
- より規模の大きい法律事務所に転職する
- 経験を活かして一般企業に転職する
順を追って説明していきましょう。
1.メリットを見直し、転職すべきかを慎重に検討する
ブラック事務所など切羽詰まった状況でない限り、まずは「転職すべきか/今の職場に残るべきか」を慎重に検討する必要があります。
ここまでデメリットを中心にご紹介してきましたが、法律事務所で働くことにはメリットもたくさんあるからです。
- 仕事や給料が安定している
- 福利厚生が整っている
- 世間のイメージが良く、信頼を得やすい
- 法律の知識を深められる
- 弁護士の知り合いが増え、トラブルのとき相談しやすい
- 充実感・やりがいが大きい
- 比較的、ワークライフバランスが取りやすい
とくに「福利厚生」に関しては、法律事務所の場合、世間の他の業種に比べて手厚いケースが多いです。
残業代、社会保険料、産休や育休の取得、住宅手当の支給など……。そういった福利厚生を現在しっかりと受けられているのなら、転職先でもそれらを受けられるのかどうかを調べる必要があります。
「今まで当たり前に受けられていたものが、じつは当たり前ではなかった」そんな事態に陥らないよう、まずは「本当に転職したいのか、すべきなのか」という点をしっかり検討しましょう。
2.より規模の大きい法律事務所に転職する
「転職する」と決めたのであれば、新しい職場を探す必要があります。
あくまでも今の職場環境に不満があるだけで、「法律事務所で働くこと」そのものに抵抗がない場合は、別の事務所への転職を検討しましょう。
というのも、今の仕事そのものを気に入っているのであれば、あなたは性質・能力ともに法律事務所事務員に向いている可能性が高いからです。
前述のとおり、法律事務所の仕事にはメリットもたくさんあります。今の職場に感じている不満やデメリットを書き出してみて、それを払拭できるような別の事務所を探しましょう。
人間関係や職場環境の過酷さに不満がある場合、より規模の大きな法律事務所を目指すことをおすすめします。
ただし、事務員の人数が増えればそれだけ仕事は分業化されます。
「いろいろな案件を経験してステップアップしたい」という場合は、メリットとデメリットのバランスを考えていきましょう。
3.経験を活かして一般企業に転職する
「法律事務所にこだわらない」という場合は、一般企業への転職も視野に入れましょう。
一般企業でも法律事務所での経験を最大限に活かすのであれば、次のような選択肢がおすすめです。
- 企業の法務部に入る(法律の知識を活かす)
- 企業の一般事務職に就く(事務スキルを活かす)
- 法務翻訳者になる(英語力を活かす)
- 特許事務所に入る(英語力と事務スキルを活かす)
一般企業の法務部や事務職は求人数が多く、転職の幅が広がります。また法務翻訳事務所や特許事務所は、求人数は限られるものの、給与アップを狙いやすくなります。
法律事務所での経験は、一般企業への転職にも有利に働くことが多いです。
転職先の採用担当者からは、「几帳面に仕事をしてくれそう」「テキパキと事務処理をしてくれそう」という良い印象を持たれやすくなります。
応募する業種や職種に合わせて、適切な経験とスキルをアピールしていきましょう。
別の法律事務所に転職!求人票でチェックするべきポイントは?
法律事務の仕事は好きで、「できれば次も法律事務所で働きたい」と考える人も多いでしょう。
そこで、法律事務所から別の法律事務所への転職を行う際、とくに注意したいポイントを解説します。
実際の転職者が語る「注意すべきポイント」とは
まずは前述のアンケートから、実際に転職した方々からの生の声をご紹介します。
・残業の量や程度、職員の年齢層、転職サイトでの評判。(30歳男性)
・弁護士の人柄、業務内容の範囲。(24歳男性)
・事務所の規模、全体の雰囲気、年齢層。給与体系や有給休暇が取りやすいかどうかも必ず確認する。(50歳女性)
・周りに相談できる環境であるか、事務所の評判など。(33歳女性)
これらを踏まえ、法律事務所事務員の転職でチェックすべきポイントをまとめてみましょう。
- 事務所の規模・構成人数
- 福利厚生
- 給与体系
- 事務所が扱う案件の傾向
- 任せられる仕事内容
それぞれ簡単に解説します。
1.事務所の規模・人数構成
法律事務所の規模は、弁護士1人・事務員1人などの小規模事務所から、何十人もの弁護士を抱える大手までさまざまです。
小規模の事務所では、人間関係が自然と濃いものになります。働く人の数は人間関係に大いに関わってきますので、自分に合う規模を見極めましょう。
それとあわせて、弁護士と事務員の比率や事務員の年齢層なども確認できればベターです。
2.福利厚生
大手の事務所から中小規模の事務所に転職する際は、福利厚生をしっかり確認しましょう。
とくにチェックしたいのは社会保険です。個人事務所には社会保険加入の義務がないため、健康保険料や厚生年金保険料などを従業員が自分で払わなくてはならないケースもあります。
他に、有給休暇や育児休暇なども、制度としてはあるものの実際には取得しづらい職場もあるため、面接の際などに取得率や消化率を聞いてみるのも良いでしょう。
3.給与体系
高額な給与に飛びついて就職したら、支給額に「みなし残業代」が含まれていた。
一定のノルマをこなさなければ、所定の金額をもらえない仕組みだった。
そんなケースも実際にあります。給与については、内訳や実際にもらえる額をしっかりと確認しましょう。
4.事務所が扱う案件の傾向
法律事務所と一口にいっても、取り扱う案件の傾向はさまざまです。
クレジット関連、民事トラブル、企業間の契約……など、自分が関わりたい案件の方向と、事務所が得意としている分野が一致しているかどうかをチェックしましょう。
5.任せられる仕事内容
同じように「事務員」という言葉の定義も幅広く、事務所によって任せられる仕事もさまざまです。
弁護士と一緒に案件解決に携われる事務所もあれば、電話応対や書類整理などの雑務を淡々とこなしてほしい、と考える事務所もあります。
実際の業務内容が自分のやりたいことと一致しているかどうかも、入職前にしっかりと確認しましょう。
絶対に意識したいのは「立つ鳥跡を濁さず」の精神
もうひとつ、法律事務所間で転職する際に絶対意識しておきたいのが「業界の狭さ」です。
法律事務所同士は仕事で関わることも多く、弁護士同士も意外な接点で繋がっていることがあります。
業界が狭いということは、転職者の悪い噂も広まりやすいということです。
また、法律を扱う業界だけに、不誠実な退職は訴訟を起こされるリスクもあります。
「いきなり出社しなくなる」「繁忙期に一方的に退職する」といった行動は避け、「立つ鳥跡を濁さず」の精神で円満退職し、転職活動を行いましょう。
法律事務所事務員におすすめ・転職に役立つ資格は?
最後に、法律事務所事務員の転職におすすめの資格を、アンケートから抜粋してご紹介します。
・マナーを大切にする業界なので「秘書検定」は有利。「日商簿記」も役立つと思います。(31歳女性)
・PC操作がかなり多いため「MOS」がおすすめです。(27歳女性)
・書類作成が多いため、WordやPowerPointのスキルが役立つ。(24歳男性)
・国際系事務所であれば「英検」や「TOEIC」など英語力を証明する資格が有利です。(50歳女性)
転職にあたり資格取得を考えている人は、ぜひ参考にしてくださいね。
法律事務所事務員の求人は、大手転職サイトのほか各地の弁護士会の公式ホームページなどで見つかります。
また「法律事務所の求人情報」や「LEGAL JOB BOARD」など法律系の求人に強い転職支援サービスを使うと、事務所の雰囲気など求人情報だけではわからない情報も入手できる可能性もあるのでおすすめです。
法律事務所事務員からの転職は選択肢が広い。エージェントも活用しよう!
「辞めたい」と感じたときは、まず今の職場や仕事のメリットをしっかりと見極め、「転職すべきか/残るべきか」を冷静に検討しましょう。
そして実際に転職を決意したならば、「別の法律事務所を目指すのか」それとも「一般企業を目指すのか」を選択しましょう。
自分では決断が難しいと感じた際には、無料で登録できる転職エージェントもたくさんありますので、ぜひ相談してみてくださいね。
いずれにしろ、法律事務所での勤務経験は転職者にとって有利です。心身ともに快適に働ける職場を見つけ、充実した毎日を過ごしましょう。
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