失業保険の金額の計算方法や給付される期間などについて徹底解説!
転職先を決めずに退職する場合、気になるのが失業保険の金額や受け取れる期間。どれくらいもらえるのか、いつまでもらえるのか、気になるところですよね。
失業保険の金額は、退職前の給料と退職時の年齢から計算されます。
また失業保険の給付日数は、退職理由や退職時の年齢、勤続年数によって異なります。
この記事では、失業保険の金額を計算する方法や、失業保険をもらえる日数の調べ方について詳しく解説。
「失業保険の給付日数をより多くする退職のタイミング」や、「失業保険の金額を増やす方法」も紹介しているので、ぜひ参考にしてください。
失業保険の金額を計算しよう!給料や年齢によって計算式が変わる
失業保険でもらえる金額は、もとの給料の45~80%ほどとなっており、賃金が安いほどその割合は高く設定されています。
では具体的にいくらもらえるのか、詳しい計算方法を順にみていきましょう。
まずは離職前6カ月間にもらった給料の合計額を算出します。
給与明細はもちろん、退職時に会社からもらう「離職票2」からも過去の給料を確認できます。
給料総額にはボーナスを含めず、残業代や住宅手当、通勤手当などの各種手当を含めてください。
離職前6カ月間の総支給額を180日(30日✕6カ月)で割って、1日あたりの賃金日額を算出します。
次の4つの表のなかから、離職時の年齢に該当する表を選びます。自身の「賃金日額」を各表の計算式にあてはめて、「基本手当日額」を求めましょう。
- 【1】29歳以下
- 【2】30~44歳
- 【3】45~59歳
- 【4】60~64歳
賃金日額には上限と下限が決められており、「毎月勤労統計」にもとづき毎年変更されます。それに伴い、基本手当日額も変わるしくみです。
この記事では現在、令和2年8月に変更された額を紹介しています。
賃金日額 | 給付率 | 基本手当日額 |
---|---|---|
2,574 円以上 5,030 円未満 | 80% | 2,059 円~4,023 円 |
5,030 円以上 12,390 円以下 | 80%~50% | 4,024 円~6,195 円 |
12,390 円超 13,700 円以下 | 50% | 6,195 円~6,850 円 |
13,700 円(上限額)超 | ー | 6,850 円(上限額) |
30歳未満の場合は、最高でも1日あたり6,850円の支給です。
60歳未満なら、年間130万円、手当日額でいうと3,612円未満(かつ被保険者の2分の1未満)であれば、扶養に入ったまま失業保険を受け取れます。
ちなみに失業手当の下限額は、年齢にかかわらず1日あたり2,059円です。
賃金日額 | 給付率 | 基本手当日額 |
---|---|---|
2,574 円以上 5,030 円未満 | 80% | 2,059 円~4,023 円 |
5,030 円以上 12,390 円以下 | 80%~50% | 4,024 円~6,195 円 ( |
12,390 円超 15,210 円以下 | 50% | 6,195 円~7,605 円 |
15,210 円(上限額)超 | - | 7,605 円(上限額) |
離職時に30歳以上45歳未満の場合は、1日あたり7,605円が上限額です。
基本手当日額が6,195円の人なら、6,195円の28日分で173,460円ですね。
賃金日額 | 給付率 | 基本手当日額 |
---|---|---|
2,574 円以上 5,030 円未満 | 80% | 2,059 円~4,023 円 |
5,030 円以上 12,390 円以下 | 80%~50% | 4,024 円~6,195 円 |
12,390 円超 16,740 円以下 | 50% | 6,195 円~8,370 円 |
16,740 円(上限額)超 | - | 8,370 円(上限額) |
45歳以上60歳未満の場合、上限額は1日あたり8,370円です。
ただ、住民税は前年の所得に応じて支払うものなので、失業中も払わなくてはいけません。
賃金日額 | 給付率 | 基本手当日額 |
---|---|---|
2,574 円以上 5,030 円未満 | 80% | 2,059 円~4,023 円 |
5,030 円以上 11,140 円以下 | 80%~45% | 4,024 円~5,013 円 |
11,140 円超 15,970 円以下 | 45% | 5,013 円~7,186 円 |
15,970 円(上限額)超 | ー | 7,186 円(上限額) |
60歳~64歳の場合は、7,186円が上限です。
では、給付率が変動する場合の計算例を出してみましょう。
まずは、80~50%と変動する場合です。
この式を具体的に当てはめてみます。
6カ月の給料総額=20万円×6カ月=120万円
賃金日額(w)=120万円÷180日=6,666円(1円未満は切り捨て)
基本手当日額(y)=(0.8×6666)-0.3×{(6666-5030)÷7360}×6666=4,888円(1円未満は切り捨て)
したがってこの場合の基本手当日額は「4,888円」となります。
では次に、表中で給付率が「80%~45%」となっている場合の例を計算してみましょう。
給付率が80~45%の場合、基本手当日額は、次の計算式で出た結果の「いずれか低い方」の額となります。
・y=0.05w+4456
こちらも計算してみましょう。
6カ月の給料総額=30万円×6カ月=180万円
賃金日額(w)=180万円÷180日=1万円
・(0.8×10000)-0.35×{(10000-5030)÷ 6110}×10000=5,153円(1円未満切り捨て)
・(0.05×10000)+4456=4,956円
4,956円のほうが低い額なので、この場合の基本手当日額は「4,956円」です。
失業保険がもらえる日数は退職理由や年齢、勤続年数によって決まる
失業保険がもらえる日数は退職理由などの条件によって異なりますが、90日~360日間と決められています。
失業手当がもらえる日数のことを「所定給付日数」といいます。
では退職理由ごとに、失業保険の所定給付日数について詳しくみていきましょう。
自己都合退職した場合の所定給付日数
自己都合で退職した場合は離職日の年齢に制限はなく、会社に勤め、雇用保険に入っていた年数(被保険者期間)によって所定給付日数が決まります。
自己都合で退職した人が失業保険をもらえる日数は、次のとおりです。
被保険者期間 | 所定給付日数 |
---|---|
1年以上10年未満 | 90日 |
10~19年 | 120日 |
20年以上 | 150日 |
会社都合退職した場合の所定給付日数
会社都合で退職した場合は、離職日の年齢と被保険者期間によって所定給付日数が決まります。
会社都合で退職した人が失業保険をもらえる年齢別の日数は、次のとおりです。
被保険者期間 | 所定給付日数 |
---|---|
1年未満 | 90日 |
1~4年 | 90日 |
5~9年 | 120日 |
10~19年 | 180日 |
被保険者期間 | 所定給付日数 |
---|---|
1年未満 | 90日 |
1~4年 | 120日 |
5~9年 | 180日 |
10~19年 | 210日 |
20年以上 | 240日 |
被保険者期間 | 所定給付日数 |
---|---|
1年未満 | 90日 |
1~4年 | 150日 |
5~9年 | 180日 |
10~19年 | 240日 |
20年以上 | 270日 |
被保険者期間 | 所定給付日数 |
---|---|
1年未満 | 90日 |
1~4年 | 180日 |
5~9年 | 240日 |
10~19年 | 270日 |
20年以上 | 330日 |
被保険者期間 | 所定給付日数 |
---|---|
1年未満 | 90日 |
1~4年 | 150日 |
5~9年 | 180日 |
10~19年 | 210日 |
20年以上 | 240日 |
自己都合で20年以上勤めても決してもらえない日数が、会社都合ならたった1年でもらえてしまうんです。
失業保険の給付日数が増える!退職にベストなタイミングとは
会社側が経営難などによる人員整理を行う場合、従業員に対して「希望退職」を募ることがあります。その場合は、会社都合退職として失業手当を受給できます。
希望退職ならある程度自分で退職のタイミングを図れるため、受け取る失業手当の額を増やせる可能性があります。
失業保険の給付日数は、被保険者期間と退職時の年齢によって大きく異なります。
そのため、給付日数が増える段階で退職するのがベストなタイミングです。
希望退職についての詳細は、次の記事を参考にしてください。
会社都合退職で失業保険の所定給付日数が特に大きく増えるタイミングは、次のパターンです。
退職時の年齢 | 雇用保険加入期間と給付日数 |
---|---|
30~34歳 | 1年以上5年未満:120日 →5年以上10年未満:180日 (60日間プラス) |
45~59歳 | 1年未満:90日 →1年以上5年未満:180日 (90日プラス) 10年以上20年未満:270日 |
30~34歳の人は、加入年数が5年になるタイミングで給付日数が60日間増えます。
45~59歳の人は、加入年数が1年を過ぎたタイミングまで待てばプラス90日。20年以上となるタイミングでも60日増やせるのです。
ちなみに離職時年齢60~64歳で被保険者期間が1年以上の場合は、離職時年齢45~59歳よりも失業保険の所定給付日数が減ってしまいます。
60歳を過ぎる前に退職すれば、失業保険の所定給付日数が減ってしまうことはありません。
失業保険の金額を増やす方法は退職前6カ月間の給料を増やすこと!
1日あたりにもらえる失業保険の受給額は、退職前6カ月間にもらった給料の平均から算出します。
つまり退職前の6カ月間に、できるだけ残業や休日出勤をして給料を増やしておけば、その分失業保険の受給額も増えるということです。
ただし次のような場合は失業保険の受給額を増やせなかったり、退職後の健康保険料が上がってしまったりする恐れがあります。
- すでに基本手当日額が上限額の場合
- 退職後に任意継続被保険者となる場合
それぞれについて、詳しく解説します。
基本手当日額が上限額の場合はこれ以上受給額が増えない
失業保険の金額(基本手当日額)には上限があり、その上限は離職時の年齢によって異なります。
離職時の年齢 | 基本手当日額の上限額 |
---|---|
29歳以下 | 6,850円 |
30~44歳 | 7,605円 |
45~59歳 | 8,370円 |
60~64歳 | 7,186円 |
「失業保険の金額を計算しよう!給料や年齢によって計算式が変わる」を参考にして、現在の大体の1カ月分の給料から基本手当日額を計算してみてください。
もしも算出した基本手当日額が上限額に達していた場合は、それ以上の失業手当をもらうことができません。
上限額の場合はいくら残業や休日出勤をしても、退職後の失業手当は増えないので注意しましょう。
健保の任意継続被保険者になると保険料が上がることがある
会社によっては被保険者として退職後に「国民健康保険に加入するか」、「会社の健康保険を任意継続するか」どちらかを選択できます。
会社の健康保険を任意継続する場合は、在職中の4~6月の給料をもとに健康保険の保険料が決まります。
そのため退職前の6カ月間に4~6月が入る場合、この期間の給料を増やすと退職後の保険料も増えてしまうんです。
退職後に健保の任意継続をする予定の人は、できるだけ4~6月の時期を避けて残業や休日出勤することをおすすめします。
のんびりしすぎると次の就職に不利になる可能性が高まるので、早めに転職先を探し始めるのもおすすめです。
転職への不安や書類の書き方などのアドバイスももらえますよ。無料で利用できるのでお金の心配もいりません。
失業保険の受給額や給付日数を調べて退職のタイミングを見計らおう!
失業保険の金額は「退職前6カ月間の給料総額」から「賃金日額」を求めて、さらに年齢や賃金日額ごとによって決まっている公式にあてはめれば算出できます。
失業保険の給付日数は退職理由にもよりますが、辞めた会社の勤続年数と退職時年齢が分かれば、簡単に調べることが可能です。
失業保険の受給額や給付日数についてある程度の知識を身につけていれば、退職する時期をずらすなどして、もらえる金額を最大限にすることができます。
当記事の計算式や表を参考にして、自身の失業保険の受給額や給付日数から退職にベストなタイミングを見計らいましょう。
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