農業と移住の夢をかなえたい!おさえるべき情報や全国の窓口など紹介
「自然に近い暮らしがしたい」「満員電車にサヨナラしたい」と、地方への移住や農業への憧れを持つ人も多いのではないでしょうか。
農業にはやりがいや楽しみも大きいですが、やるべきことは山ほどありますし、天気にも大きく左右され、体力的にも厳しい仕事。
農家になるには、農地、機械の調達から始まり、あらゆる準備が必要です。自営なら経営者としての手腕も問われるところ。軽い気持ちで農家への転身を考えてしまうと、「こんなはずでは」と後悔することになってしまいます。
この記事では、農業のメリット・デメリット、就農に必要な心構えや政府の統計で見る農業の実態などを紹介。
農業専門の求人サイトや、新規就農者のための各地の情報サイトも紹介します。
農業のメリット・デメリット|農業・移住には予想外の大変さも
これまでまったく農業に関わりがなかったり、あってもベランダ家庭菜園など、あまり手をずに野菜などを育ててきたりした場合、「農業は大変な仕事だ」と言われてもピンとこないかもしれません。
「晴耕雨読」な生活に憧れて農業を仕事にしたい、と思う人には、まず次のようなメリットが思い浮かぶでしょう。
- 都会より空気のきれいな環境で、自然と触れ合って暮らせる
- 日の出・日の入りに合わせた暮らしで体調が整いやすい
- 学歴に関係なく働ける
- 自分の好きなように工夫でき、その工夫次第で稼げる
- 満員の通勤電車や渋滞から解放される
- 自分で作った新鮮な作物を食べられる
- 機械や設備などに費用がかかる
- 季節や天候不順などによる被害を受けやすい
- 長期の休みがとりにくい
- 力仕事であり、体力的にキツい
- 朝早くから作業をすることが多い
- 収入が不安定になりやすい
農業を始めるのに必要な経費については、地域が新しく農業を始める(新規就農する)人を支援する制度もあります。とは言え、やはりある程度の自己資金はないとやっていけません。
また、農業は予想以上に体力のいる仕事です。
立ちっぱなしや中腰での作業、炎天下の作業は、体力をどんどん奪っていきます。
種まきや収穫など、朝早いうちに済ますべき作業がたくさんあり、満員の電車からは解放されても、好きな時間までゆっくり寝てはいられません。
それに、食べていくためには収入源を確保しなくてはならず、経営面の管理も重要です。
そのため、忙しい時期は朝早くから夜遅くまで作業したり、休みが取れなかったりすることもあるでしょう。
さらに、都会でしか暮らしたことのない人は、覚悟して地方に移住したとしても、いざ生活してみると次のようなデメリットを感じてしまいます。
- バスや電車など公共交通機関は本数が少なく不便
- 仕事終わりに遊びに行く場所が限られる
- ショッピングに行ける店が少ない、品揃えがよくない、遠い
- 「ご近所付き合い」の度合いが濃くなる
- 都会では考えられない慣習やしきたりがあったりする
テレビなどでよく見る移住者は、近所の人や先輩農家の人に恵まれて、いろいろと世話をしてもらい、お互いに助け合ったりして楽しく生活している人がほとんどです。
しかし、どの地方でもそんな良い環境が待っているとは限りません。地方には保守的な考えの人も多く、移住してきた人を「余所者(よそもの)」扱いしてなかなか受け入れてくれない可能性も。
自分からどんどん地域の人の懐に入るべく、その地に根付こうとする姿勢を見せる努力も不可欠です。
農業を仕事にして打ち込む、その覚悟は本当にできていますか?
移住して新規就農をしようとする人を、受け入れている地域は日本中にたくさんあります。
しかし、就農支援に関する情報サイトをいろいろ見たところ、受け入れ側の地域では「新しく来てくれる人をただただ歓迎する」というだけではなく、農業を始めるにあたっての計画や心構えをちゃんとして来てほしい、という強い思いが記載されています。
移住して農業を始めたい人は、次のチェックポイントを確認してみてください。
- 農業へのやる気は本物ですか?
- 家族の理解・協力は得られますか?
- 農業の知識や技術をある程度は持っていますか?
- 農業ができる住まい環境を確保できますか?
- 農地や農機具、設備投資などに使う自己資金はありますか?
- 地域の人たちとの交流を大切にできますか?
移住先の地域では、新規就農者の相談も受け付けています。しかし具体的な希望や考えを持たないで相談をしても、スタートまでに時間がかかってしまうだけです。
たとえば自営で始めるなら、数字や経営に関するノウハウも必要ですし、資金も必要です。知識や資金、自信がなければ、まずは農業を会社として行っている農業法人に就職して技術を身につけて独立する方法もあります。
また、具体的にどんな農業をしたいかのビジョンも持っておくべきです。
- 何を作るのか(米、キャベツ、トマト、いちご、など)
- どのくらいの規模で作るのか(◯◯ヘクタール、〇〇坪など)
- どんな方法で作るのか(路地栽培、ハウス栽培、有機栽培など)
- どうやって売るのか(市場・農協への出荷、個人への直接販売など)
- 目標とする利益はどれくらいか
もし、「のんびり野菜を育てたり、自分の作った野菜で料理したりするくらいでいい」「農業で日々の暮らしを豊かにしたい」という人は、ここで考え直してみてください。
農業で生計を立てるのではなく、他の仕事をメインにして週末農家を楽しむ方が向いている可能性があります。
どう売るか、も自分で考えないといけないんですか?
作物を作るだけじゃなく、加工食品を作ったり、消費者にネットで直接販売したり。農家民宿などのサービスを行う農家もあるんですよ。
農業に関する国の調査結果|全国の農家の戸数、従事者数、経営状況
この章では、農林水産省の公式サイトに掲載されている農家についての調査結果を紹介していきます。
経営耕地面積が10a(アール)以上、または農作物販売金額が15万円以上の世帯
10aとは、1,000平方メートルに値します。坪で言うと約300坪、田んぼで言うとおよそ「1反」です。
まずは農家の戸数から見てみましょう。
農家の種別 | 平成12年 | 平成31年 |
---|---|---|
販売農家 (経営耕地面積30aまたは 農産物販売金額が15万円以上) |
233.7万戸 | 113万戸 |
専業農家 | 42.6万戸 | 36.8万戸 |
農業所得を主とする兼業農家 | 35万戸 | 17.7万戸 |
農業以外の所得を主とする兼業農家 | 156.1万戸 | 58.4万戸 |
平成12年の調査と比べて、平成31年では半分以下に減ってしまっています。
人数で見ると、農業に従事している人(専業農家または農業の仕事が多い兼業農家)の人口は、平成22年には260万人はいたものが、平成31年には168万人に減少。
168万人のうち、自営で農業を行っている人が約140万人います。その平均年齢は66.8歳。就農人口は年々少なくなっており、平均年齢は徐々に高くなっています。
次に、気になる新規の就農者数の推移です。
項目 | 平成25年 | 平成27年 | 平成29年 |
---|---|---|---|
新規就農者 | 50,800人 | 65,000人 | 55,700人 |
うち45歳未満 | 16,000人 | 19,800人 | 18,000人 |
新規自営農業就農者 (新卒or被雇用から自営) |
40,400人 | 51,000人 | 41,500人 |
うち45歳未満 | 8,900人 | 10,100人 | 8,400人 |
新規自営農業就農者 (農業法人等で常時雇用されはじめた人) |
7,500人 | 51,000人 | 41,500人 |
うち45歳未満 | 5,300人 | 7,400人 | 7,200人 |
新規参入者※ (土地や資金を独自調達し、 新たに農業経営を開始した人) |
2,900人 | 3,600人 | 3,600人 |
うち45歳未満 | 1,900人 | 2,300人 | 2,400人 |
※新規参入者には相続・贈与等で親から農地を譲り受けた場合を含まない
※平成25年、平成27年の一部数値には、福島県一部地域および熊本県の一部は含まれない
各年5万人以上の人が農業を新たに始めています。
年齢を見ると、全体的に45歳未満の新規就農者は少なめ。
しかし雇用されている人や新規参入者では、その割合はやや高くなっています。
経営状況の全国平均も参考までに。
そのうち、農業経営費(生産のために使った経費)は452万円、残った農業所得は174万円でした。
何をどう育てるかによっても、状況は異なります。
農業粗利益 | 農業所得 | 自営労働時間 | |
---|---|---|---|
水田作 | 2,649,000円 | 556,000円 | 837時間 |
畑作 | 9,053,000円 | 2,864,000円 | 2388時間 |
露地野菜作 | 6,399,000円 | 2,445,000円 | 2964時間 |
施設野菜作※ | 12,916,000円 | 5,078,000円 | 5492時間 |
果樹作 | 6,420,000円 | 2,540,000円 | 3146時間 |
露地花き作 | 7,175,000円 | 2,655,000円 | 4012時間 |
施設花き作※ | 16,047,000円 | 4,425,000円 | 6533時間 |
所得の額で見ると、ハウス栽培の野菜や花などが儲かるように見えますが、労働時間も群を抜いて長いことを見逃さないようにしましょう。
就農へのステップ、まずは情報収集からスタートしましょう
農業を始めたい、と思ったら、何からスタートすればよいのでしょうか。おすすめは次のステップを踏んでいくことです。
- 情報収集をする
- 農業を体験してみる
- 地域の就農相談窓口で相談する
- 就農活動を始める(自営なら土地探し、勤めるなら職場探しなど)
まずは就農関連サイトや移住の情報サイトなどで、各地の農業や地域の情報を集めましょう。
また、まったく農業をしたことのない人は、一度体験して、体力的なキツさを実感してみること、農業の基礎的な知識を身につけましょう。
希望の地域の就農相談窓口などでは、上の章で紹介したようなビジョンを具体的に説明した上で相談してください。
相談窓口については、最後の章で紹介します。
農業を体験できる施設、学べるスクールなどを利用しよう
憧れはあるけど、実際には畑にも行ったことがない、農業が本当に自分に合っているのかわからない、という人は、農業体験のできる施設などを利用しましょう。
施設名など | 概要 |
---|---|
体験農園マイファーム | 関東・関西・東海エリア中心に全国110カ所にある |
クラインガルテン | 各地にある、宿泊滞在型の農業体験施設 |
クラインガルテンの場所などについては、インターネットで「クラインガルテン(スペース)地名」を入れて検索してみてください。
もう少ししっかり学ぶには、社会人向けの農業学校などがおすすめです。
機関名 | 概要 |
---|---|
農業実践教室(千葉) | ・畑での有機栽培が学べる ・2週間に1度のペースで共同作業 |
アグリイノベーション大学校 | ・週末に学べる社会人向け農業学校 ・技術力や経営力も学べる |
知識として農業を学んでおきたいなら、勉強して資格を取るのもよいでしょう。「日本農業検定」なら、農業の知識がまったくない人でも受験可能です。
時間とお金をかけてじっくり学ぶなら、各地にある農業大学校に行くという方法もあります。
農業の仕事を探せるイベントやサイトを利用しよう
事務職や営業職の転職と同様、農業にも仕事を探す人と人を探す人とが交流できるイベントや、農業に特化した求人サイトなどがあります。
なるべく多くの情報を手に入れることが成功のカギ。積極的に参加することで、より新しい情報が手に入るだけでなく、仲間が見つかる可能性もあります。
イベント名 | 概要 |
---|---|
「新・農業人フェア」 | 「リクルート」による農業就職イベント。 初心者から独立希望者まで誰でも参加可能。 |
「マイナビ就農FEST」 | 「マイナビ」が全国各地で行う就農イベント。農家や農業法人、JAなどが出展。 |
農業の仕事に特化した求人サイトも利用しましょう。
いずれも、研修生から期間限定のアルバイト、後継者候補まであらゆる求人を掲載しています。
また、実情に詳しいアドバイザーからのサポートも受けられて便利です。
農家の人と、チャットで気軽にやり取りしたい人、農業の経験が多少ある人向けには、スマートフォン用アプリ「農mers」もあります。
就農について相談したい!新規就農を希望する人向けの情報サイト一覧
全国のあらゆるところで、農家は減少しています。そのため、地方でも新しく農業を始めようとする人に情報を発信したり、相談に乗っている地域が数多くあります。
全国のどこが自分に合うのかわからない、全国の就農情報を知りたい、という人は、東京にある「全国新規就農相談センター」の利用がおすすめ。
各都道府県とのネットワークがあるので、全国の就農情報が手に入ります。
また、希望の都道府県が決まっている場合は、そこに相談するのが近道です。
農業への転身は作物や販路などで多種多様!始める前によく考えて
漠然とした憧れだけで選ぶにはあまりに過酷なのが農業です。自然が相手のため、思うようにはいきませんし、設備投資などで意外にお金もかかるもの。朝早くから働き、体力的な負担も大きい仕事です。
「こんなはずじゃなかった」と後悔しないためには、まずは何より情報収集。新規就農や各地の農業事情に関するあらゆる情報を集めましょう。
その上で欠かせないのが自分なりのビジョンを明らかにしておくこと。相談に乗ってもらうには、希望をはっきりさせておく必要がありますし、現実的なお金の見込みなども立てておかなくてはなりません。
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