ビジネスマナーはなぜ必要?なぜ重要?基本と身につけるコツを紹介
新卒のときと異なり、転職する際にビジネスマナーが身についているのは当然のことで、必須と見なされます。
中途入社の社員には、会社はイチから教えてはくれません。
そもそもビジネスマナーに則った振る舞いができるかどうかで、転職活動の行方も大きく異なってくるのです。
この記事では、そもそもなぜ「ビジネスマナー」が必要とされているのか、誰にどんなメリットがあるのか、という基本的なところからわかりやすく解説。
これだけは押さえておくべきビジネスマナーはもちろん、よくある困りごと、ビジネスマナーを身につけるコツなどもお伝えします。
そもそも「ビジネスマナー」とは何か、なぜ必要なのか
身についていれば仕事もスムーズにできますし、会社のためにも自分のためにもなるんですよ。
社会人にビジネスマナーが必要な理由は、簡単にいうと仕事上で「信頼できる人間である」ことを示すためです。
社内では、仕事は1人ではできないので周りの人の協力が不可欠。同僚に信頼してもらい、コミュニケーションを取りながら仕事をスムーズに進めるために、基本的なビジネスマナーは不可欠です。
もちろん、自分にとっても「どこででも通用するマナー」を身につけておくことは大切なこと。転職するとしても、選考でまずはそこからチェックされますよ。
コンサルタントも、基本のビジネスマナーもなっていないような人を企業に紹介するわけにはいきませんからね。
これだけは押さえておくべき!ビジネスマナーの必須6項目
では、ビジネスマナーとして外せないのはどんなことでしょう。ここでは最低限押さえておきたい6つの項目を紹介します。
- 身だしなみを整える
- あいさつは自分からハキハキとする
- 決められた時間や約束事を守る
- 場に応じた言葉づかいをする
- 電話は相手が目の前にいるイメージで
- メール対応は「わかりやすさ」を重視する
- ほうれんそう(報連相)をきちんとする
それぞれ具体的に見ていきます。
ビジネスマナーの基本1:身だしなみは常に整えておく
ビジネスマナーとしての身だしなみで重要なのは「清潔感」です。
特に第一印象は見た目が大事。スーツやネクタイなどは値段やブランド、オシャレ感よりも「清潔感」や「さわやかさ」を意識して選ぶのがおすすめです。
シャツは常にきちんとアイロンを掛けたものを。ズボンからシャツがはみ出したりしないよう気をつけてください。
髪も、長くボサボサだったり、目立つ色だったりするとひんしゅくを買います。ビジネスシーンでは、「自分がどうしたいか」より「相手がどう思うか」を優先することも重要なのです。
ビジネスマナーの基本2:あいさつは自分から、ハキハキとする
あいさつは、ビジネス以前に「人」として大切なこと。特にビジネスでは、わかってはいるけどシャイだから・・・という言い訳は通用しません、
あいさつは、自分から、相手に聞こえる声でしっかり行いましょう。
社外の人とも社内の人とも、あいさつからすべてが始まります。
「おはようございます」「いらっしゃいませ」「お世話になっております」「失礼いたします」「ありがとうございました」といった基本のあいさつだけでも、お互い気分よく仕事ができるきっかけに。
「大丈夫ですか?」「いってらっしゃい」「おかえりなさい」「お気をつけて」などのあいさつで気づかいができれば、さらに距離が縮まってよい人間関係が築けます。
自分はしたつもりでも、目も合わせず声も小さいのでは、していないのと同じことですよ。
ビジネスマナーの基本3:決められた時間や約束事を守る
ビジネスでは、「信頼」が何より大切といっても過言ではありません。
決められた時間や期限、約束事は守ってください。
よほどの事情があって間に合わなかったり、どうしても不可能になったりした場合には、前もって連絡をしておきましょう。
その上で、どうすべきか対処法を考えたり、相手にお伺いを立てたりする必要があります。
場合によっては、1分1秒の遅れが大問題となることも。そうなると自分への信頼だけでなく、会社の信用も失墜させかねません。
ビジネスマナーの基本4:その場・相手に応じた言葉づかいをする
敬語などの言葉づかいに苦労する人も多いですよね。
上司と話すとき、社外の人と話すときなど、それぞれで敬語を使い分ける必要があったりもします。言葉づかい1つで印象が大きく変わるので、なるべく正しく使いたいもの。
間違えやすいケースをいくつかピックアップしてみました。
上司に仕事を指示され「了解です」と返す
上司から仕事の指示を受けたとき、あなたは何と答えますか?
OK例:承知しました。
「了解」は、納得したことを表す言葉なので、同じ立場の人や後輩などに使うのが正解。目上の人に使うのは失礼です。
「承知」は文字通り「承って知る、理解する」こと。「わかりました」をより丁寧に言うことができます。
「かしこまりました」と言えば、相手を尊敬する意味合いが濃くなります。
「拝見」など謙譲語を相手の動作に使う
クライアントに企画書を送ったものの返事が来ない。見てもらったかどうかを聞くのに何と言いますか?
OK例:企画書はご覧いただけたでしょうか。
「拝見」は、相手より自分がへり下るときに使う「謙譲語」です。「いただけた」を付けても正しい敬語とは言えません。
謙譲語(自分) | 尊敬語(相手) | |
---|---|---|
来る | 参る | いらっしゃる お越しになる |
行く | 伺う | お出かけになる |
する | いたす | なさる される |
言う | 申す(申し上げる) | おっしゃる |
知っている | 存じ上げる | ご存じである |
食べる | いただく | 召し上がる |
敬語に迷って言葉に詰まってしまうことのないよう、よく使う動作について尊敬語と謙譲語それぞれを調べておくのがおすすめです。
社外の人との会話で社内の人に敬語を使う
上のケースとは逆で、社内の人、つまり身内に敬語を使ってしまう人もいます。
OK例:弊社の〇〇がそう申しておりました。
「〇〇課長」と名前に役職をつけて呼ぶのは社内のみ。役職名は敬称でもあり、社外の人にその上下は関係がないので使いません。
役職を知らせたいときは、「課長の〇〇」という言い方をして、名字は呼び捨てにします。
「やらさせていただきます」
敬語の意味をよく考えずに使い、重複させてしまうこともあります。
OK例:私が担当させていただきます。/私がご担当いたします。
「やる」と「させていただく」は、意味が重複するので不自然です。その上いわゆる「さ入れ言葉」で、不要な「さ」も入っています。
「やらせていただく」でも間違いではありませんが、「やる」という言葉はあまり上品な言い回しには聞こえません。日常会話ではよく使いますが、ビジネスシーンでは避けるのがおすすめです。
「させていただく」の前に謙譲語をつけると二重敬語になります。「お伺いさせていただく」「拝見させていただく」などは二重敬語ですね。
ビジネスマナーの基本5:電話の対応は「対面での接客」と同じように考える
「電話に出るのが苦手」「上手く対応できるか心配で怖い」という人も多いですよね。
電話でのマナーは、相手が目の前にいるときと基本的に同じと考えましょう。
たとえば、コールが鳴ったらすぐに出る。目の前の訪問客に知らん顔はあり得ませんよね。すぐに「いらっしゃいませ」と応対するのと同じで、すぐに受話器を取りましょう。
家の電話ではないので「もしもし」は禁句ですよ。
音が鳴ったら1コール目で出るのがベスト。3コール以上待たせた場合には、「お待たせいたしました」と最初に言うと好印象です。
相手が名乗った後に、社外の人なら「お世話になっております」、社内の人なら「おつかれさまです」とあいさつするのが一般的です。
対面接客で「ありがとうございました」と相手が出ていくまで見送るイメージです。
相手がまだ自分のオフィスにいるのに「では失礼します」といって奥に引っ込むことはしませんよね。
相手も切らずに待っているようなら、「失礼いたします」と言って返事を待たずに切ればOK。自分がかけた電話なら、用件が済んだら「では失礼いたします」と言って先に切ってもOKです。
外出の場合は、「ただいま外出中で、戻りは◯時の予定です」と、帰社予定の時間をまず伝えてあげてください。
打ち合わせや会議だと告げると「社内都合が優先でウチは後回しか」と不機嫌になる人もいますからね。
ビジネスマナーの基本6:メールはわかりやすさ重視、送信前チェックも大事
メールは電話や対面と違い、表情や感情が伝わりにくいもの。かと言ってビジネスのメールに顔文字や絵文字を使うわけにもいきません。
送信時に念頭に置くのは「用件がわかりやすい」メールを作成すること。それでいて丁寧さも忘れないように気をつけましょう。
メール送信の基本のキ
メールを送るときに気をつけるべきなのは、次のようなことです。
- 件名は内容がひと目でわかるようシンプルに
- 冒頭に宛名を(会社名、部署名、役職名、〇〇様)
- 本文はあいさつ、自己紹介、本題の順に
- 本題は簡潔にわかりやすく、結論を先に
- 最後は「よろしくお願い申し上げます」「ご自愛ください」などで結ぶ
- 自分の連絡先は一番下に(会社名、部署名、氏名、会社住所、電話番号、メールアドレスなど)
相手は大量のメールを受け取っているものと想像しましょう。メールトレイにずらりと並んでいても、ひと目で用件がわかるのがベストです。
宛名の役職部分は、親しくなれば「〇〇部長」など普段の呼び方にしてもOKです。
一通り書き終わったら、必ず読み直し、わかりやすいか、誤字脱字はないかを確認してください。
メール送信時は「cc」と「Bcc」にも要注意
「cc」と「Bcc」はどちらも、直接の宛先(To)でない関係者と情報共有するための宛先です。
「Bcc」では、他に送られている人がいることすらわかりません。
情報共有が必要な人をcc(相手に知られたくない場合はBcc)に入れることを忘れずに。逆に、関係のない人をccやBccに入れないように気をつけましょう。
Bccに入れるべき人をccに入れてしまうと、機密情報や個人情報の漏えいに繋がりかねません。
ビジネスマナーの基本7:報告・連絡・相談で周囲とのコミュニケーションを
「報連相(ほうれんそう)」も、ビジネスパーソンとしての基本とされているものです。
上司やチーム内、サポートしてくれるスタッフに「報告」「連絡」「相談」をすることで、仕事がスムーズに進みますし、トラブルへも早く対応できます。
報連相では、具体的に次のようなことをします。
報告 | 主に上司や先輩に ・新たな仕事を受けたことの報告 ・仕事の進捗状況の報告 ・問題が起きたときの報告 ・決定事項・結果の報告 |
---|---|
連絡 | 上下関わらず関係者に ・自分が知った情報を共有する ・ルールなどの周知 ・今後の動きなどについて連絡 |
相談 | 目上でも下でも ・判断を迷ったときの相談 ・解決策が見出だせないときの相談 |
報連相は、タイミングを逃さないことや、共有する情報が正しいこと、必要な相手に行うことも重要です。
特にトラブル時には、自己判断だけで動いたり事後報告だったりでは取り返しがつかないおそれも。
トラブルは発覚した時点でその事実を報告し、対処法などについて相談、周りにも知らせて協力を仰いだりしましょう。事態が収拾できれば、その報告もしてくださいね。
こんな人は嫌われる!ビジネスマナーが「なってない」人
ビジネスマナーは、社会人として当然身についているべきと考えられているもの。
できないと、陰口を言われたり無視されたりといった状況に陥る危険もあります。
とくに嫌われがちなのは、次のような基本が身についていない人です。
社内で人とすれ違ってもあいさつしない
あいさつはビジネスでも基本だということは先にお伝えしたとおりです。
オフィスや廊下で人とすれ違ったりした場合も、知らん顔では感じが悪いもの。特に社外の人の場合は失礼なだけでなく、会社全体の品格まで疑われてしまいます。
社外の人なら「いらっしゃいませ」「こんにちは」と明るい声であいさつしてください。
自分のクライアントやお客でなくても同じです。
「ありがとうございます」「すみませんでした」が言えない
助けてもらったら感謝をして言葉にして伝え、自分がミスをしたなら素直に謝りましょう。
会社では周りの人と協力しあい、助け合って仕事をするのは当然のこと。
しかし、だからと言って何をしてもらっても当然と考えお礼の一言もなかったり、ミスをしても謝らなかったりするのはNGです。
あいさつと同じく、お礼や謝罪もコミュニケーションの基本です。
「はい」「わかりました」「承知しました」など、相手の言葉に対するリアクションを必ずしてくださいね。
敬語の使い方を知らない
上司に「了解です」と言ってしまうように、先輩から頼まれごとをして「いいですよ」などと偉そうな返事をしてしまう人もいます。
たとえ自分が年上であっても、教えてもらう相手には上から目線、あるいは同等目線で接しないように気をつけましょう。
また、簡単な敬語のミスも避けるべきこと。
先輩と一緒に接客中、「社長はもうすぐいらっしゃいますので少々お待ちください」などと身内に敬語を使ってしまうと、一緒にいる先輩は注意することもできず恥ずかしい思いをします。
仕事を教わっているときにメモを取らない・何度も同じことを聞く
新しい仕事を教えてもらうときや、少し込み入った内容の指示を受けたときには、メモを取って見直せるようにしましょう。
一度ですべてが頭に入る人はなかなかいません。メモがあれば、忘れてもそれを見て思い出すことができます。
メモも取らずに話を聞き、何度も同じことを聞いてくるようでは、「ちゃんと覚える気がないのか」と疑われても仕方がありません。
とは言え、遠慮して聞かずに勝手に進めてしまうのも危険です。聞くべきときはちゃんと質問してくださいね。
ビジネスマナーを自力で身につける!カギは観察力と思いやり
新卒であれば、ビジネスマナーを教えてもらう機会もあるでしょうし、間違っていたら教えてもらえるかもしれません。
しかし、ある程度の社会人経験を経た人には、間違っていても教えてくれる人はなかなかいないのが現実。「教えてもらってない」「教えてくれない」ではなく、自分から覚えるようにしましょう。
ビジネスマナーを身につけるポイントは主に3つあります。
- 先輩たちの様子を見て学ぶ
- ビジネスマナーに関する本を読む
- 電話などには積極的に出て慣れる
ビジネスマナーは、会社によって多少違うことがあります。特にお客様対応や電話の取次については、暗黙の会社ルールが存在することも。
そのため、勤務中は他の人が電話や来客時にどのような対応をしているのかを観察しましょう。それを真似するのが一番の近道です。
見ていてもわからない、忙しくて周りを見る余裕もないという人は、ビジネスマナーについての本などで知識を得ましょう。
また、マナーは頭でわかっていてもできないと意味がありません。接客や電話に対する不安や恐怖心をなくすには、とにかく実践して慣れるのがおすすめです。
今のうちにしっかりビジネスマナーの基本を身につけましょう。
年数を経るうちに、自分なりの工夫や機転でより高度なマナーを身につけていけば、コミュニケーション能力も高まります。
ビジネスマナーは社会人としての自覚の証明!信頼を得て成長を
転職するのに、改めて自分のビジネスマナーは大丈夫かどうか気になり始めた人も多いのではないでしょうか。
未経験の仕事の知識ならともかく、ビジネスマナーは転職者にとって身についていて当たり前のもの。年を取るほどできないと恥ずかしいものなので、若いうちに習得して自信が持てるようにしておきましょう。
基本的にはすべて、仕事をスムーズにするのに欠かせないコミュニケーションに関するもの。相手を不快にさせない、周りや会社に迷惑をかけないことを心がければ、習わなくてもある程度は身につけられるものです。
敬語や上座下座などの知識は、本などで勉強するのが近道です。電話の応対などは、周りの先輩がどうしているかを観察して真似しましょう。
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敬語が少し違ってたくらいでも、いちいち上司がうるさいんです。