理学療法士が「辞めたい」と思う原因は?経験者の意見を聞きました
ヒトの運動機能は、ケガや病気、加齢などで低下してしまうもの。
その回復を主な目的として、病院などでいわゆるリハビリテーションと呼ばれる運動や電気などを使った治療を行うのが「理学療法士(PT)」です。
理学療法士の仕事は、人が自分らしい生活を取り戻すサポートをすることのできる、やりがいのある仕事です。しかし、仕事を辞めたいと思う理学療法士も少なくないという現状も。
当サイトでは、理学療法士の現状を知るべく、インターネット上でアンケートを実施し、仕事のやりがいや「辞めたい」理由、経験者だからわかる理学療法士に必要な資質などを聞いてみました。
理学療法士の気になる収入面や転職する際の求人チェックポイントについても解説しているので、ぜひ参考にしてください。
理学療法士を辞めたい理由、原因は「職場」「給料」「体力」
理学療法士は離職率が高い、という人もいますが、それは事実なのでしょうか。
厚生労働省「医療従事者の需給に関する検討会(第2回分科会)」の資料によると、理学療法士の離職率は、医療部門では10.2%、介護部門では18.8%。
同じく厚労省による「平成30年雇用動向調査結果」では、全職種を合わせた平均の離職率は14.6%です。
2010年1月に行われた「理学療法士実態調査」の報告書によれば、退職理由として最も多かったのが「地元に戻るため」「今の職場を紹介された」「結婚・育児・出産」。ネガティブとは言い切れない理由が上位を占めています。
しかし、「職場に魅力がない」という回答が4番目に多い結果でした。「どんな職場で働くのかが」理学療法士にとっても重要な意味を持っていると言えます。
当サイトでも、理学療法士を辞めた人や辞めたいと思っている人を対象に、インターネット上でアンケート調査を実施しました。
アンケートでは、辞めたいと思った理由として主に給料への不満や体力面の問題が挙げられています。
・PTの仕事にはやりがいを感じるけど、患者さんを持ち上げるなど肉体労働の側面が強く、体力的にきつい。(34歳女性・療養型病院)
リハビリを行う際は、ただ見守ったり指導したりするだけでなく、自分の全身で患者の身体を支えたりする必要があります。
相手は身体の自由が効かなかったりするため、全体重で寄りかかられても耐えなくてはいけません。
理学療法士の仕事は精神面で気を使うだけでなく、体力面での負担も大きいのです。
その他の回答も見ていきましょう。
理学療法士は国家資格。しかしその仕事は「医師の指示をもとに行う」べきと定められています。そのため、給料が安いからといって、医師や他の「〇〇士」などのように理学療法士の資格で独立・開業することはできません。
しかし「理学療法士や作業療法士が開業することは望ましくない」というのが、全国の病院団体連合「四病院団体協議会」での共通認識とされているのです。
理学療法士の仕事は、医師の指示にもとづくほか、医療機関では医師や看護師、薬剤師や作業療法士などとともにチーム医療として業務を行うことも増えています。
そのため、人間関係の悩みを抱えてしまう人もいるのです。
理学療法士の給料は「仕事の量や取られる時間に見合わない」
理学療法士の給料について、厚生労働省の「賃金構造基本統計調査」では作業療法士と同区分で公表されています。
賞与などを合わせたおよその年収を計算すると、約408万円です。
しかし、「理学療法士実態調査」によると、年間総所得(税込)は「300万円~399万円」という人が最も多く31%。
次いで400万円~499万円という人が27%でした。
また、求人情報で見る理学療法士の相場は、入社時の給料は月20万円~25万円といったところです。
「固定残業代を含む」などと書いてありませんか?
えっと「43時間分の固定残業代を含む」ってこれどういう意味ですか?
つまり、そのくらいの時間外労働は日常的にあると覚悟しなくてはいけません。
また、訪問看護ステーションなどでは、訪問件数によって「1件あたり700円」「80件を超えると1件3,600円」などのインセンティブが上乗せされるケースもあります。
ちなみに「理学療法士実態調査」によると、業務に関連する資格で最も多くの理学療法士が保有しているのは「介護支援専門員(ケアマネジャー)」でした。
業務としての残業はなくても、業務時間外に研修や講習会への参加が必要だったりもして、給料と業務量が見合わないと思う人も多いんです。
前出の「理学療法士実態調査」では、職場で残業手当が100%支給されると答えた人は43.4%。全く支給されないという人が30.2%いたこともわかっています。
理学療法士のやりがいとは
理学療法士は、やりがいのある仕事。
「理学療法士実態調査」でも、理学療法士はやりがいのある仕事だと思う、と答えた人は「そう思う」「ややそう思う」を合わせると93.5%にも及びます。
この記事のはじめに紹介したアンケートでも、どの人も「やりがいはあるけれど」と前置きして答えていました。
具体的にやりがいを聞いたアンケートでは、次のような回答が寄せられています。
・患者さんの痛みや可動域制限が改善したとき。(31歳男性・整形外科病院)
・患者さんや家族に感謝されること。こちらが「ありがとうございました」と言うサービス業が多い中で、常に感謝される仕事は少ないと思う。(32歳男性・訪問看護ステーション等)
・人とのコミュニケーションは好きなので、患者さんと話をしている時間は楽しい。(28歳男性・療養型病院)
自分の知識や技術が役に立つと直に感じられる喜び・達成感や、人とのコミュニケーションが理学療法士の仕事のやりがいとなっていることがわかります。
では、どんな人が理学療法士の仕事に向いているのかも見ておきましょう。
理学療法士に向いている人・向いていない人
アンケートでは、理学療法士に必要な資質についても聞きました。その答えをまとめたのが次の6つです。
- 人とのコミュニケーションが得意な人
- 相手の立場に立てる優しい人、思いやりのある人
- 日々新たな知識を求める向上心のある人
- 常に「何ができるか」を考えて自己研鑽できる人
- 責任感のある人
理学療法士の仕事は人との関わりが欠かせません。常に相手の気持ちを思いやり、何をすべきかの最善の方法を考える必要があるのです。
また、医療や介護の技術、知識は新しくなっていくことも多いです。常に柔軟に知識を取り入れようとする姿勢も欠かせません。
では、理学療法士に向いていない人はどんな人かも見ておきましょう。
- 人の気持ちを汲み取ることができない人
- コミュニケーションが苦手な人
- 自分の意見を押し通そうとする人
- 患者や同僚への敬意が持てない人
- 1人で黙々と仕事をしたい人
やはり、核となるのは「人との関わり」です。
理学療法士に必要なコミュニケーションでもっとも重要なのは、患者やその家族を中心としたコミュニケーション。
アドバイスや指導はしますが、一方的な押し付けは禁物です。その人その人の性格や状況を見て、声がけなどから工夫する必要があります。
また、チーム医療で一緒に働く医師や看護師、薬剤師や作業療法士などとの相互連絡や報告なども欠かません。多方向に配慮することが重要なのです。
それができない人は、理学療法士になっても思うように活躍できず、人間関係にも悩む結果となってしまいます。
専門的なスキルがあるとはいえ、謙虚さも忘れない理学療法士さんの方が、患者側としても好感を持てますよね。
理学療法士の求人でチェックすべきポイントと注意点
理学療法士の退職理由では、「職場に魅力がない」「人間関係への不満」「給料の安さ」などが多く挙げられていました。
アンケート結果から、別の職場への転職に注意しておきたい求人探しのポイント、注意点もまとめたので参考にしてください。
・勤務スケジュール、勤務体系
・業務量、残業時間
・仕事内容・業務範囲
・担当患者数、患者の重症度
求人情報では、上のような条件面の確認は必須です。また、次のようなことにも注意してください。
- 求人情報だけを鵜呑みにせず、自分でも情報収集をする
- 常に求人を出している職場は避ける
- 報酬の幅が広い場合、高い方は当てにしない
- 選考に筆記試験があるかどうかも要チェック
- 指示を出す人(ドクターなど)がどんな人かも確認する
職場の情報をできるだけ集めることは、理学療法士の転職に限らず重要です。
アンケートでは、給与面などは求人情報と実際の条件が異なることが多い、という意見もありました。また、求人情報だけではわからないことも多くあります。
事前の見学を受け付けているかどうか確認し、OKなら足を運んで雰囲気を感じたり、医師やスタッフの様子や表情を見たり、少しでも会話をしてみたりすることをおすすめします。
どんな人と一緒に働くのかも、自分の働きやすさに大きく影響します。「人手不足だから」と誰でも入れてしまうような職場は避けたほうが無難です。
医療・介護の転職を主に扱うサイトには、「ジョブメドレー」や「マイナビコメディカル」などがあります。また、「PT/OT人材バンク」はリハビリ職の転職専門のサービスです。


地方在住で求人数があまりない場合は、大手の転職サイトや転職エージェントも併用して、選択肢と情報を増やしましょう。

理学療法士にやりがいを感じている人多数!問題は職場選び
理学療法士は、専門的な知識と技術、コミュニケーションスキルや体力など、さまざまな能力を駆使して人の身体機能の回復のために尽力する仕事。
自分の知識と技術が患者さんを笑顔にできたり、希望を持たせることができたりと、やりがいを感じながら働く人が多いです。
ただし、職場への不満、業務量に合わない給与や長時間労働などへの不満を持ち、転職を考える人も多いのが現状。
環境や待遇は職場によって大きく異なるため、耐えられないと感じたら別の職場への転職を考えるのも1つの方法です。
ただしその際は、労働条件のほか、「どんな職場なのか」あらゆる情報を集めて吟味してください。



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