振替休日と代休ってどう違う?休日手当に関する疑問も解決します
休日出勤をしたとき、「振替休日」または「代休」を取得することがありますよね。「振替休日」と「代休」の違いを知っていますか。
「振替休日」と「代休」の違いは、休日出勤を指示されたのが「前日まで」か、それとも「当日」かどうかです。
振替休日を取得する場合、休日出勤分の割増賃金は支払われません。しかし同一週以外に振り替えた場合、時間外の割増賃金が支払われることも。
代休を取得する場合は、休日出勤分の割増賃金が受け取れます。
この記事では「振替休日」と「代休」におけるケース別の疑問を解説し、悩みへの解決方法も紹介するので参考にしてください。
当記事を参考に、「振替休日」と「代休」について理解しましょう。
振替休日と代休の違いは、休日出勤がいつ決定したか!
休日に出勤した際、「振替休日」や「代休」を取得する場合がありますよね。
振替休日と代休は、休日出勤が決まったタイミングによって異なりますから、会社や個人が「どちらか好きな方を選択できる」というものではないのです。
社員に休日出勤をさせるため、会社は「時間外・休日労働に関する協定届」といわれる36協定を提出することが必要です。
この章では「振替休日」の要件と「代休」の特徴について説明します。
では、「振替休日」から見ていきましょう。
「振替休日」は代休と違い、事前に決められている!3つの要件を紹介
休日出勤が「前日の勤務終了までに決まっていた場合」のみ、「振替休日」を取得することができます。
「振替休日」を取得するには、次の要件すべてを満たすことが必要です。
- 就業規則に規定されている
- 事前に振り替える日が決められている
- 最低限の休みが守られている
振替休日の制度を利用するためには、会社側が就業規則に「振替休日の規定」を定めておく必要があります。
また振替休日を取得できても、休日出勤によって「1週間のうち休みが1日もない」という状況はNG。
労働者に対して「1週間に1日は休日を与える必要がある」と、労働基準法に定められているのです。
「代休」は振替休日と異なり、休日出勤が突然決まった場合に取得する!
「代休」は急に休日出勤した際、その日以降の労働日を代わりに休みとすることです。
休日出勤する日が「法定休日」か「法定外休日」かによって、休日労働に対する割増賃金の有無が決まります。
「法定外休日」は、法定休日として定められた日以外の休日です。
土日休みである会社の場合、日曜日を「法定休日」、土曜日を「法定外休日」と設定していることが多いです。
それでは、「代休」の特徴を見ていきましょう。
- 休日出勤が事前に決められていない
- 法定休日に出勤した場合、休日出勤の割増賃金が発生する
- 法定外休日に出勤した場合、時間外労働の割増賃金が発生する可能性がある
- 取得できなくても違法ではない
前日の勤務終了以降に翌日の休日勤務が決定した場合、後日「代休」を取得します。
「法定休日」に出勤するときのみ、休日労働の割増賃金が発生。「法定外休日」に出勤したときは、休日労働の割増賃金は支払われません。
ただし、「法定外休日」に出勤することで1週間の労働時間が40時間を越えた場合は、時間外労働の割増賃金が受け取れます。
休日出勤分の割増賃金が支払われていれば、会社が代休を与えなかったとしても法律違反ではありません。
振替休日と代休の割増賃金について説明!時間外と休日の割増率は違う
振替休日を取得しない場合、法定休日に出勤すると休日出勤の割増賃金が支払われます。
また振替休日を取得した場合でも、時間外労働の割増賃金が支払われることも。
この章では、「振替休日」と「代休」の割増賃金について説明します。
「振替休日」の場合から、見ていきましょう。
振替休日の場合、時間外労働の割増賃金が支払われる場合もある
「振替休日」を取得した場合、休日労働に対する割増賃金は発生しません。
同じ週に振り替えれば、労働基準法で定められている「週40時間以内の労働時間」が守られるので、時間外労働にも該当しません。
ただし、ほかの週に休日を振り替えて労働時間が週40時間を超えた場合、超過分は時間外労働として25%割増された賃金が支払われます。
月曜日からですか?日曜日からでしょうか?
「週の始まりは日曜日」と決めている会社が多いようですが、会社の就業規則を確認してくださいね。
代休の場合、法定休日に出勤すると35%の割増賃金が支払われる
代休は「法定休日」に出勤した場合と、「法定外休日」に出勤した場合では賃金の割増率が違います。
「法定休日に出勤した場合」と「法定外休日に出勤した場合」の割増率は、次のとおりです。
勤務日 | 割増率 |
---|---|
法定休日 | 35% |
法定外休日 | 25%(週40時間を超えた場合のみ) |
土曜日に急遽出勤して週の労働時間が40時間を超える場合は、時間外労働として「25%の割増賃金」が支払われるのです。
休日出勤分の割増賃金がきちんと支払われているか、確認してくださいね。
振替休日や代休に関わる、ケース別の疑問を解説します!
「自分の職業・立場では、休日労働の割増賃金が受け取れないのかな」「休日出勤の日に、深夜まで働いたらどうなるんだろう」など、疑問を持つ人もいるのではないでしょうか。
この章では、割増賃金の有無をケースごとに解説。自分の状況では「割増賃金が支払われるのか」「何割増の賃金が受け取れるのか」を確認しましょう。
次のようなケースについて、解説します。
では、それぞれ見ていきましょう。
国家公務員も振替休日と代休の扱いは一般の会社員と同じ
国家公務員も会社員と同様に、急な理由で法定休日に働いたら割増賃金が支払われます。
会社員同様に、休日労働の割増率は35%です。
また法定外休日に働いた場合でも、労働時間が週40時間を超えると時間外労働となり、25%割増された賃金が支払われます。
また、事前に休日出勤が決まっていたら、会社員と同じく公務員も振替休日を取得することが可能です。
管理監督者は代休や振替休日などの制限がなく、割増賃金も発生しない
会社の経営に深く関わる「管理監督者」に就いている人たちは、休日労働をしても賃金は割増されません。
管理監督者には労働時間や休日などの規定は適用されません。そのため、休日労働や代休、振替休日という考え方が当てはまらないのです。
「店長」や「部長」などの役職名だけでは、管理監督者とはみなされません。
しかし、休日に割増賃金が払われない役職や職業の人達に対しても「深夜労働の割増賃金」だけは支払われます。
深夜労働をすると、25%割増された賃金が支払われます。
代休の場合、働くのが法定休日か法定外休日かにより割増賃金が異なる
法定休日に働く場合、労働基準法で決められている「1日8時間まで」という労働時間を超えても、時間外労働分の割増賃金は支払われません。
またこの場合に発生する休日労働の割増賃金は、労働時間のすべてに対してつきます。
では、所定労働時間が1日8時間、法定休日が日曜日、法定外休日が土曜日の完全週休2日制の会社を例として、1日の賃金が割増後いくらになるか見ていきましょう。
「通常勤務日」と「法定休日」、「法定外休日」に9:00~20:00まで働いた場合における、1日の賃金をそれぞれ計算したのが、次の表です。
通常勤務日 | 法定外休日 | 法定休日 | |
---|---|---|---|
時給 | 1,000円 | 1,000円 | 1,000円 |
勤務時間 | 9:00~20:00 (休憩1時間) |
9:00~20:00 (休憩1時間) |
9:00~20:00 (休憩1時間) |
割増発生時間 | 18:00~20:00 | 9:00~20:00 | 9:00~20:00 |
割増率 | 25% | 25% | 35% |
1日の給料 | 10,500円 | 12,500円 | 13,500円 |
また法定外休日に出勤した場合も同様に、週40時間の労働時間を超えた分に対して25%割増された賃金が支払われます。
振替休日や代休を取る場合でも、深夜労働すると割増賃金が発生する
法定休日に働いた場合は「休日労働」に対する割増のみで、「時間外労働」の割増はされないと説明しました。
しかし法定休日の出勤であっても、「深夜労働」の割増賃金は支払われます。
夜10時から翌朝5時の深夜に働くと、25%割増された賃金が支払われるのです。
休日労働の35%と深夜労働の25%を合わせて、基本給に60%割増で計算されるんですよ。
では実際に「休日労働」と「深夜労働」が重なった場合の、1日の給与を確認しましょう。
9:00~24:00まで14時間勤務(休憩1時間)した場合、時間帯によって賃金の割増率は次のように異なります。
勤務時間帯 | 割増率 |
---|---|
9:00~22:00 | 35% (休日労働分) |
22:00~24:00 | 60% (休日労働分+深夜手当) |
時給1,000円で働いたとすると、1日の給与計算は次のとおりです。
1,000円×12時間×1.35=16,200円
<22:00~24:00の給与>
1,000円×2時間×1.6=3,200円
<1日の給与>
19,400円
休日出勤をして深夜まで働いたことがあるという人は、深夜手当もきちんと支給されていたかどうか、給与明細を確認してみてくださいね。
振替休日と代休に関する悩みを解消しよう!どちらも取得期限はない
「忙しくて振替休日を取れない」「代休のはずなのに、勝手に会社が振替休日にした」なんて人もいるのではないでしょうか。
この章では、振替休日と代休に関する悩みの解決方法を紹介します。
注意すべき場面は、次のとおり。
それぞれの解決方法を見ていきましょう。
振替休日や代休に取得期限はないが、早めの取得が好ましい
忙しくて決めておいた振替休日に休めない人もいますよね。その場合、いつまでに振休を取ればいいのかが気になるところ。
「振替休日」と「代休」について、法律上の明確な取得期限はありません。
しかし忙しいからといって、振替休日の取得を先延ばしにするのは避けてください。週の労働時間が40時間を超えないよう、休日出勤した日と同じ週に取得しましょう。
振替休日が取得できないと、休日出勤分の割増賃金が発生します。
そのため、割増賃金を払わなくていいように、「振替休日は休日出勤日と同じ週(または同じ月)に取得すること」などの決まりがある会社も多いです。
どうしても業務が忙しくて休みを取る暇がないという場合は、上司に相談して業務を調節してくださいね。
また、代休もできるだけ早く取得できるように、上司と相談しましょう。
代休は取得できなくても違法ではありませんが、きちんと休日出勤の割増賃金が支払われているかは確認してくださいね。
休日出勤したあと、上司の指示で代休を振替休日に変更?それは違法です
事前に休日出勤を指示されていなかったのですから、上司からの指示で後日「振替休日」を取得していたとしても、それは「代休」です。
ごまかして割増賃金を支払わないのは、労働基準法に違反します。
休日出勤分の割増賃金を支払ってもらうよう、上司に掛け合ってみましょう。
会社の体質や上司の言動にブラック企業の特徴が当てはまらないか、確認しましょう。
ブラック企業には「サービス残業」が多かったり、「パワハラ」や「セクハラ」が横行していたりといった特徴があります。
次の記事ではブラック企業の特徴や体験談、対処法を紹介していますので、参考にしてみてください。
振替休日と代休の違いを理解し、不満のない会社で働こう!
また振替休日と代休に関する「疑問」に答え、「悩みへの解決方法」も紹介。
振替休日と代休の違いは、休日出勤が前日の勤務終了時間までに決まっているかどうかです。
「振替休日」の場合は事前に休日と労働日を入れ替える必要がありますし、「代休」は休日出勤した後に休みを決めます。
休日労働をしたときは、割増賃金が支払われているか給与明細を確認。割増賃金がきちんと支払われているかどうか疑問に思ったら、自分で計算して確認してみてください。
会社の総務担当者によっては、「振替休日」と「代休」についての知識が曖昧なこともあります。「振替休日」と「代休」の違いをしっかり把握しておきましょう。
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