介護の仕事内容とは?詳しい業務の内容と介護施設の種類を解説します
高齢化が進み、介護の求人広告を目にする機会が多くなりました。転職・就職に介護の仕事を考える人も多いのではないでしょうか。
介護職の仕事は、要介護状態にあるお年寄りの食事や入浴などを手助けするほか、レクリエーションなどで楽しみを見出し、人間らしい暮らしのサポートをすること。
この記事では、介護の具体的な仕事内容や、介護施設の種類を紹介します。
どんな仕事、どんな施設があるのかを知り、自分に合う求人を選ぶときの参考にしてください。
介護の仕事内容を10の種類に分けて紹介します
「介護」と聞いてまず思い浮かぶ仕事は、食事や移動、入浴などに関することですよね。これは「身体介護」と呼ばれています。
身体介護の仕事は、主に次の10種類に分けられます。
それぞれどんなことをするのか見ていきましょう。実際の作業は、介護される人の症状や希望によって異なります。
- 起床介助(モーニングケア)
- 身体整容介助
- 排泄介助
- 更衣(着替え)介助
- 食事介助
- 口腔ケア
- 移動・歩行介助(トランスファー、トランス)
- レクリエーション
- 入浴介助
- 就寝介助(イブニングケア、ナイトケア)
【起床介助】ベッドや布団から起き上がるまでをサポート
起床介助とは、文字通りベッドから起きるための手助けをすることです。主な内容は次のとおり。
これに付随して排泄や更衣(着替え)、口腔ケアなどの介助も伴います。その具体的な内容は、このあと具体的に説明します。
【身体整容介助】顔を洗うなど、身支度を整えるのを手伝う
「整容」とは、1日を気持ちよく過ごすために「身なりを整える」こと。具体的には次のようなことをします。
身なりを整えることは、清潔さを保つだけでなく生活リズムを整えることや気分転換にも繋がるのです。
【排泄介助】トイレに行くときなどのサポートをする
排泄介助とは、自力でトイレに行けない人に付き添ってサポートをしたり、寝たきり状態の人のおむつを替えたりすること。
具体的には、次のようなことを行います。
【更衣介助】衣服を着替えるのを手伝う
更衣介助とは、寝たきり状態の人や手足などに麻痺がある人に対して、衣服の脱ぎ着を手伝うことです。
他人の前で着替えることは恥ずかしいもの。
そのため、着替えの際は「同性が対応する」「タオルケットをかける」といった、プライバシーへの配慮が必要です。
【食事介助】食事をする際のサポートを行う
食事介助は、食べ物を口に運べない人のサポートをすること。単に「食べさせる」のではなく、安全に配慮し、楽しく食事をしてもらうよう心がけます。
具体的には次のようなことです。
誤嚥(ごえん=食べ物が気管に入ってしまうこと)を防ぐため、食べるときの姿勢や一口の量などに気をつける必要があります。
誤嚥性肺炎は口の中の細菌が原因となることが多く、このあと説明する「口腔ケア」も誤嚥性肺炎の防止に必要不可欠です。
【口腔ケア】口の中を清潔に保ち、病気を予防する
口腔ケアとは、口の中を清潔に保つこと。ムシ歯の予防や口臭予防だけではなく、からだ全体の病気予防に効果的なのです。身体整容介助の一部でもあります。
口腔ケアで行うのは、次のような内容です。
【移動・歩行介助】ベッドから車椅子に移る際などに体を支える
移動介助は、ベッドから車椅子、車椅子からトイレ、車椅子から椅子など、体を移動させる手助けを行います。
介護される人の状態にあわせて、体を起こしたり、体重移動や向きの変更の際に体を支えたりするのです。
【レクリエーション】指先や頭、体全体をつかって楽しく遊ぶこと
レクリエーションは、単なる気分転換ではなく、次のような目的を持って行われています。
- 人と触れ合い、生活にハリを生むことで感情を安定させる
- 脳を活性化させ、認知症を予防したり進行を遅らせたりする
- 筋力や体力を向上させ、健康を維持する
具体的に何をするかは介護施設によってさまざまですが、主なものを紹介します。
折り紙、おはじき、塗り絵、指の体操、手芸、工作
<脳を刺激するもの>
しりとり、クイズ、なぞなぞ、かるた、トランプ
<体を動かすもの>
風船バレーボール、ジャンケン体操、ジェスチャーゲーム
<季節行事を楽しむもの>
餅つき大会、七夕会、夏祭り、クリスマス会
<外出するもの>
お花見、遠足、ショッピング、外食
介護職員は、これらのレクリエーションを企画したり、準備や当日の進行管理などを行います。
【入浴介助】入浴時に安全を見守ったり体を支えたりする
入浴介助とは、1人でお風呂に入るのが困難な人のために、体をきれいにする手助けをすること。体を清潔に保つことは、心の健康にも効果的です。
具体的には次のようなことを行います。
【就寝介助】夜、ベッドや布団で寝るまでの身支度を手伝う
就寝介護とは、寝るときに行う一連の準備を手助けすること。具体的には次のようなことをします。
就寝中も見回りやトイレ介助などを行う必要がありますよ。
ここでは介護の仕事を10つに分けて説明しました。
しかし実際の介護では、1つ1つの介助作業が独立しているわけではありません。
たとえば夜中にトイレに起きることもあります。その場合、「離床(体を起こす)介助」「排泄介助(行き帰りの移動介助を含む」「臥床(体を寝かす)介助」などが複合的に行われているのです。
業務の内容は、炊事や洗濯、掃除や買い物といった、日常生活のサポートです。
施設での介護の場合、ほとんどの介助業務ができます。でも訪問介護の場合は、介護の資格を持っていないと排泄や食事、入浴などの身体的な介護はできないんです。
介護に関する仕事には、介護のプランを考えるケアマネジャーや、訪問介護を含めた知識を学ぶ初任者研修などのさまざまな資格があります。
こちらの記事で主な資格を紹介しているので、読んでみてくださいね。
介護職のやりがいや大変なこと、転職する際のポイントについては、こちらの記事で経験者の声を交え解説しています。
介護施設の主な種類をサービスタイプ別に紹介します
介護施設には、さまざまな種類があります。厚生労働省によると、公表されているだけでも25種類51もの介護サービス(予防を含む)が存在しているのです。
ここでは、介護施設の主な種類を、次の6つのサービスタイプ別に紹介します。
- 介護施設で長期間生活するもの(入所・入居)
- 利用者が日帰りで介護施設に通うもの(通所)
- 短期間、施設で宿泊するもの(短期入所)
- 介護職員が自宅に訪問するもの
- 地域密着型で小規模なもの
- 訪問・通い・宿泊を組み合わせたもの
項目をタップすれば、それぞれの説明に移動可能です。
【介護施設の種類】施設で生活するタイプの介護サービス
長期間にわたり、施設で生活をするタイプの介護施設。その中でもいくつかの種類に分けられます。
主に共通するのは、利用者に自宅での生活が困難な状態の人が多いこと、働く側には夜勤が発生することなどです。
発熱や症状の急変など、緊急時の対応も必要です。
特別養護老人ホーム(特養)
特別養護老人ホームは、地方公共団体(都道府県や市町村など)や社会福祉法人が運営する、公的な介護保険施設。
利用料金が民間施設と比べて安いという特徴があります。
利用するのは、着替えや入浴には全面的な介助が必要、食事や排泄にも一部介助が必要な「要介護3」以上の高齢者です。
5段階に分けられ、介護の必要度が低い状態が「要介護1」、最も重いのが「要介護5」とされています。
介護老人保健施設(老健)
特養と同じく公的な介護保険施設。利用者の自宅復帰を目指しており、サービス内容はリハビリが中心です。
要介護認定を受けた人が対象ですが、要介護の程度は施設によって異なります。
特定施設入居者生活介護(有料老人ホーム・軽費老人ホーム)
民間企業が運営しており、バラエティに富んだサービスが特徴。入居条件(要介護状態かどうかなど)は施設によって異なります。
【介護施設の種類】利用者が施設に通う介護サービス
利用者が日帰りで介護やリハビリのサービスを受けるタイプの施設で、比較的症状の軽い人が利用します。
基本的には宿泊を伴わないので、起床や就寝介助などは行いませんし、夜勤もありません。
通所介護(デイサービス)
自宅に住む高齢者が、日中のみ施設で過ごすタイプの介護施設。
食事、入浴などの介護サービスやリハビリを行います。また、日々の気分転換や他人とのコミュニケーション手段として、レクリエーションの果たす役割も大きいです。
施設によっては、デイサービスだけでなく、宿泊サービスも複合的に行うところがあります(小規模多機能型居宅介護)。
通所リハビリテーション(デイケア)
主にリハビリを目的として、高齢者が施設に通うもの。入浴などの介護サービスも行われています。
デイサービスと似ていますが、違うのは主目的が「介護」か「リハビリ」かということです。
【介護施設の種類】短期間宿泊をするタイプの介護サービス
自宅で介護を受けている高齢者を、短期間(連続30日まで)受け入れるタイプの介護サービスもあります。
家族が病気、都合などにより一時的に介護できない場合や、状態が悪化した場合などに利用するものです。
短期入所生活介護(ショートステイ)
ショートステイでは、食事や入浴などの介護やリハビリなどを行います。
ショートステイ専門の施設もありますが、特別養護老人ホームなどの施設が行っているケースが多いです。
【介護施設の種類】介護職員が自宅を訪問する介護サービス
利用者が施設で生活したり通ったりするのではなく、自宅に介護職員が出向いて行うサービスです。
訪問介護(ホームヘルプ)
訪問介護員(ホームヘルパー)が高齢者の自宅に行き、入浴や排泄等の身体介護や、掃除や家事などの生活援助を行います。
【介護施設の種類】地域に密着した小規模な介護サービス
地域密着型サービスの利用は、施設がある市区町村内に住んでいる人が対象です。
認知症対応型共同生活介護(グループホーム)
グループホームは、高齢者が認知症の専門ケアを行うために共同生活をする施設。
認知症と言っても、グループホームの利用は比較的症状の軽い人が対象です。
少人数(5~9人)の利用者と介護スタッフとが、家庭的な環境で共同生活をします。
【介護施設の種類】通所・宿泊・訪問介護の組み合わせ
これまで紹介したサービスを複合的に行うのが、多機能型の介護施設です。
小規模多機能型居宅介護
「小規模多機能型居宅介護」とは、利用者が自宅に住み、介護施設へ通うことをメインとして、施設での短期間の宿泊と介護職員の自宅訪問を組み合わせた介護サービス。
上で説明した「デイサービス」と「ショートステイ」「訪問介護」を、利用者の希望や状況に合わせて提供します。
国家資格の介護福祉士について、施設ごとの平均給与などを紹介した記事もあるので、参考にしてください。
介護の仕事を探すなら、介護に特化した転職サービスを利用するのがおすすめです。
おすすめの転職サイト・エージェントは次の記事で紹介しています。
ただし地域によっては、介護専門サイトでは求人の取り扱いが少ないエリアも。その場合は、総合型の転職サイト・エージェントを利用しましょう。
介護の仕事に就く前に、業務の内容や施設の種類を知っておこう
また、施設にもたくさんの種類が。サービスの違いによって、介護対象となるお年寄りの心身の状態や、介護する側が働く環境も異なります。
介護の仕事内容だけでなく、介護施設の種類を知っておくことも、自分に合う介護の職場を探す際には欠かせません。
自分に合った職場を見つけるため、どんな状態の人がその施設を利用するのか、働く時間は日中だけなのか夜勤もあるのかなど、詳しく知っておきましょう。
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