マタハラとは?働くママのための基礎知識(法律・事例・相談窓口)

マタハラとは?働くママのための基礎知識(法律・事例・相談窓口)

マタハラはマタニティハラスメントを省略した言葉で、仕事をしている女性が妊娠や出産をしたことによって職場で嫌がらせを受けたり不利益を受けたりすることを意味します。

マタハラに悩む人は多く、厚生労働省によると、2015年度に都道府県の労働局に置かれている雇用均等室に寄せられた相談件数は4,269件で、増加傾向にあります。

1つの相談窓口を見ただけでもこれだけの相談があるのですから、マタハラによる被害が多くあることが推測できます。ですが、それだけに、問題解決を目指して厚生労働省から対策の指針が出されるなどの対応も始まっています。

そこで今回の記事では、事例も交えながらマタハラについて詳しくご紹介します。

マタハラってどんなもの?事例を交えて具体的にご紹介します

自分が職場で受けている扱いはマタハラと言えるのか、どのようなことがマタハラになるのか、何となくのイメージはあっても詳しくはわからないと言われる方もいらっしゃることでしょう。

マタハラは多岐にわたるため、貴女が我慢しなければいけないのではないかと思っていることが、実はマタハラだということも十分にあり得ます。

そこで、マタハラとはどんなものなのか、事例も交えつつ具体的に確認しましょう。

禁止されている不利益な扱い

男女雇用機会均等法や育児・介護休業法によると、妊娠や出産・育児などを理由に、以下のような扱いを受けることが禁止されています。

  • 解雇・雇い止め・契約更新回数引き下げ
  • 雇用形態の変更
  • 降格・昇格や昇進の際の不利益となる評価
  • 減給・賞与などの算定における不利益
  • 不利益となる配置転換・自宅待機命令
  • 仕事をさせない・雑務ばかりさせる

配置転換に関しては、例えば長時間の立ち仕事から負担がかかりにくいデスクワークへの変更のように、労働者にとって利益がある配置転換ならいいのですが、不利益となるような配置転換は認めらません。

精神的・肉体的な苦痛もマタハラに含まれます

雇用や給料などに関することのみではなく、以下のような精神的・肉体的な苦痛を受けることもマタハラに含まれます。

  • 言葉での攻撃を受ける
  • 攻撃的な態度を取られる
  • 体に負担がかかる仕事をさせられる
  • 近くでタバコを吸われる

例えば、妊婦さんに対して体調が悪いのに甘えているというような言葉を掛けたり、冷たい態度を取ったりといったこともマタハラに含まれます。さらに、重い荷物を運ばせる、立ち仕事を長時間させるなど体に負担がかかるような仕事をさせることもマタハラになります。

これらの苦痛を感じることによって、流産が起こることも十分に考えられます。そのため、労働者本人だけではなく、お腹の中の赤ちゃんを守る意味でも、マタハラを受けているのに我慢し続けることが無いようにする必要があると言えます。

マタハラの事例

それでは、具体的にどのようなことがあったのか、マタハラの事例をいくつか見てみましょう。

  • 妊娠したことを伝えたら退職させられた
  • つわりで仕事に行けない期間があったら仕事をさせてもらえなくなった
  • 妊婦健診を受ける目的で休みを申請したら通らなかった
  • 体調が悪くて仕事の効率が落ちたら嫌味を言われた
  • 妊婦だからといって特別扱いできないと残業を強いられた
  • 流産して仕事を休んだら休んだことを非難された
  • 子どもを堕ろせと言われた
  • 仕事に復帰したら給与が減額された

このように、様々な形でマタハラが行われていることがわかります。

裁判になった事例

実際に裁判になった事例として、以下のようなものがあります。

妊娠を機に負担が少ない業務への配置転換を求めたら降格になった。育児休業から復帰しても再び以前の役職に就けなかったため訴えを起こした。降格は不当と認められ、無効となった。

もう一つ、別の事例も見てみましょう。

妊娠した女性に対して胸が大きくなった、お腹が大きくなったなどの発言をした男性上司の言葉はマタハラではないがセクハラとみなされ、けん責処分が行われた。

このように裁判によって認められている事例もありますので、仕方ないと諦めないことも大切だとわかります。

妊娠や出産を理由に受ける不当な扱いには、様々な種類があることがわかりました。これらに当たりそうなことがあれば、全て違法と認めてもらえるものなのでしょうか?
残念ながら、グレーゾーンの例があることも確かです。例えば、妊娠は病気とは違う・休めて羨ましいと言うなどです。でも、これらもすぐに違法だとは言えないにしても、大きな問題であることには変わりありません。

働く妊産婦は保護されている!マタハラ関係の法律を知ろう

マタハラに遭っていても、自分が我慢しなければいけないのではないかと思ってしまう人がいることも確かです。

ですが、働く妊産婦は男女雇用機会均等法や労働基準法によって守られています。

それを知っていることで正当性を主張しやすくなりますので、ぜひ確認しておきましょう。

法律による定め(妊娠中)

まずは、妊娠中に関する内容から確認します。これを、母性健康管理措置と言います。

  • 勤務時間内に有給を取らず妊婦健診を受けることができる
  • 勤務時間短縮・時差通勤などを希望できる
  • 体に負担がかかりにくい業務への転換を希望できる
  • 休日出勤・残業・夜勤を拒否できる
  • 危険有害業務に就くことが禁止される

妊娠中は、体もデリケートになっているためどうしても妊娠前と同じように働くことは難しいのが事実です。そのような場合に、時短勤務ができたり負担がかかりにくい業務に配置転換してもらえたりなどの措置が受けられることが決められています。

法律による定め(産前産後)

次に、産前産後に関する定めについても見ていきましょう。

  • 産休・育休を取ることができる
  • 休業明けには休業前と同じような条件で働くことができる
  • 子どもが1歳になるまでは育児時間が請求できる
  • 勤務時間内に有給を取らず妊産婦健診を受けることができる
  • 勤務時間短縮・時差通勤を希望できる
  • 休日出勤・残業・夜勤を拒否できる
  • 危険有害業務に就くことが禁止される

仕事に復帰後、子どもが1歳になるまでの間は、少なくともそれぞれ30分、1日に2回育児時間が請求できます。

また、産後1年未満であれば、医師などの指示がある場合に勤務時間内に妊産婦検診を受けることも可能です。さらに、産後1年未満なら妊娠中と同じように時短勤務ができたり休日出勤を拒否できたりなどの措置が受けられます。

法律による定め(雇用契約に関して)

最後に、雇用契約に関する定めについて確認します。

  • 産休中とその後の30日間はどんな理由があっても解雇されない
  • 妊娠中と産後1年間は正当な理由なしに解雇されない
  • 妊娠や出産が理由となる不利益を受けない

他に正当な理由がある場合は別として、妊娠や出産に伴って起こった変化によって解雇されたり不利益を受けたりしないということが定められています。例えば、事業主が妊娠しているからいつもと同じように働けないことなどを理由として労働者を解雇したり降格・減給などの不利益を与えたりすることは違法なんですね。

厚生労働省の指針の内容

厚生労働省は、マタハラを防止することを目的として、マタハラの加害者が懲戒処分の対象になることを就業規則にはっきりと記載するよう指針を出しています。

さらに、この指針には、例えば加害者に謝罪するよう指示する、被害者のケアを行うなど、企業が取る必要がある具体的な対策についても盛り込まれています。

この指針は、2017年の1月から運用されています。

なるほど!妊娠したり出産したりした女性は、男女雇用機会均等法や労働基準法によって守られているということなんですね。ですが、会社によってはこれらの取り決めが無いことがある気もするんですが…。
確かに、こういった取り決めがきちんとされていない会社があることも確かです。でも、これらは法律に定められていることですから、対処してもらうよう事業主に請求することは間違っていないことなんですよ。

マタハラで困っている!そんな時に相談できる窓口一覧

現段階でマタハラで困っている、ここまでの内容を読んでみて私が受けているのはマタハラだと思ったなどの理由で、解決するための行動を起こしたいと思われる方もいらっしゃることでしょう。

そこで、マタハラについて相談できる窓口をご紹介します。

都道府県労働局の雇用環境・均等部(室)

都道府県労働局の雇用環境・均等部(室)は、男女ともが働きやすいような雇用環境が実現することを目指して設置されています。

マタハラやセクハラに関する相談窓口もあり、企業に対する指導や、問題解決のための取り組みとして調停やあっせんを行います。

女性にやさしい職場づくり相談窓口

女性にやさしい職場づくり相談窓口は、厚生労働省の委託によって運営されている母性健康管理を目的とするサイトで、働く女性の悩みや質問に対して以下のような専門家が答えてくれます。

  • 産科医
  • 産業医
  • 社会保険労務士
ただし、このサイトは、メールによって相談を受けてもらうことで自分で行動を起こす際の参考とすることを目的として利用するサイトです。そのため、具体的な解決を求めるのであれば、都道府県労働局の雇用環境・均等部(室)を利用する方が向いています。

連合なんでも労働相談ダイヤル

連合なんでも労働相談ダイヤルは、日本労働組合総連合会によって行われている電話相談です。労働に関する相談なら何でも受け付けてもらえるため、マタハラに関する相談をすることも可能です。

電話のみではなく、インターネットによる相談も受け付けています。

日本労働弁護士団女性のためのホットライン

日本労働弁護士団では労働に関する様々な相談を受け付けていますが、マタハラやセクハラなど女性特有の問題に対しては、女性専用のホットラインを用意して電話による相談を行ってくれます。

利用できる時間帯は第二・第四水曜日の15時から17時に限定されていますが、この時間に連絡すれば必ず女性弁護士に対応してもらえる点で安心感があります。

社内に設置されている相談窓口

大きな会社であれば、社内に労働に関する相談ができる窓口が設けられていることもあります。

勤務先の会社に窓口があるようでしたら、まずはそちらに相談してみるのもいいですね。

マタハラに遭った場合に、相談できる窓口もあるんですね!それが分かると一人で悩まなくていいんだと思えて安心です。ところで、これらの窓口を利用する上での注意点は何かありますか?
相談先によっては、話を聞いたり解決のためのヒントをくれたりするだけというところもあります。具体的な行動を求めるなら都道府県労働局の雇用環境・均等部(室)を利用するなど、目的に合わせて相談先を選ぶよう注意するといいですよ。

一人で悩まないで!マタハラ被害に遭った時は相談を

妊娠したり出産したりした女性は、職場で不当な扱いを受けないよう法律によって守られています。

ですが、実際のところそういった整備がきちんとされておらず、妊娠を機に解雇されたり不当な扱いを受けたりといったことも残念ですがあるのが現状です。また、周りの人から精神的・肉体的な嫌がらせを受けることもあることもまた事実です。

とはいえ、妊娠・出産はとても大切なことで、それが理由で不当な扱いを受けることがあってはいけません。職場でマタハラ被害に遭っている貴女は、我慢するしかないと思わずに相談し、安心して働ける職場を作るための行動をしていきたいものですね。