保育士ってどんな仕事?活躍の場や苦労、資格や転職ポイントを解説
保育士は、子どもたちの健やかな成長を手助けする、やりがいのある仕事です。
他の職員や保護者とも連携し、専門的な知識やスキルを生かして、「食べる」「眠る」「遊ぶ」などの生活、人とのつながりなどを子どもたちに教えていきます。
かわいい子どもたちに囲まれる幸せな仕事ではありますが、人の成長に関わる責任も重く、保育士になるには国家試験に合格しなくてはなりません。
この記事では、そんな保育士の仕事内容や活躍の場、気になる給与事情などを紹介。
保育士の苦労や転職で注意したいポイントについても解説するので、保育士に興味がある人はもちろん、転職を考えている保育士さんもぜひ読んでみてください。
保育士が抱える業務は膨大!意外なネックは事務的な作業
保育士と言うと「子どもと接する仕事」というイメージがありますが、それだけではありません。
この章では、実際の保育士の仕事内容と保育士の資格が活かせる保育園以外の職場についてご紹介します。
保育士の仕事は「対子ども」「対保護者」「事務作業」の3つ
保育士の業務は、大きく3つに分類できます。
- 子どもに関する仕事
- 保護者に関する仕事
- 事務作業
身の回りの世話をしたり見守ったりして成長をサポートします。
具体的に言うと、食事や着替え、排せつのサポートや、遊び・昼寝などの見守りなど。できないことをできるようにする「教育」も重要な任務です。
保護者に対しても、朝夕の送り迎え時に会話をしたり、連絡帳で園での様子を知らせたりしてコミュニケーションをとります。
また、家での子どもの様子を聞いたり相談に乗ったりして、問題のないよう情報共有していくのです。
そして意外に時間をとるのが事務的な作業。
ざっと挙げるだけでも次のようなことがあります。
・保育計画、指導案の作成
・行事の企画、準備
・クラス全体の保育日誌の記入
・子ども1人ひとりの連絡帳の記入
・掃除、片付け
業務量や事務仕事にかけられる時間は園によって異なるもの。中には、事務仕事を家に持ち帰る人もいます。
保育士が活躍する場所は保育園だけじゃない
保育士の資格を活かせる職場は、保育園または保育所しかないと思っていませんか?
保育士は、次のような場所でも活躍しています。
対象となる子ども | 職場の種類 |
---|---|
1歳未満の乳児、1~18歳の児童 | ・乳児院 ・児童養護施設 ・児童自立支援施設など |
身体・知的・精神などに障害のある18歳未満の児童 | ・児童発達支援センター ・障害児入所施設など |
児童や母子 | ・児童家庭支援センター ・児童相談所など |
支援施設や支援センターでは、保護者などからの相談に乗るほか、一時預かりなどを行っているところもあります。
保育園よりも少ない人数の子どもと向き合うため、より深く子どもや保護者と関わるのが特徴です。
障害を持つ児童と関わる職場では、心のケアがより重要になるケースも多いほか、医師や社会福祉士などと連携して問題を解決していく必要があります。
保育士のやりがい、苦労とは?
この章では、保育士の仕事のやりがい、苦労とはどんなことかを見ていきましょう。
まずはやりがいから。
- 子どもの成長を目の当たりにできる喜び
- 計画、準備した行事が無事に成功したときの達成感
- 保護者に感謝されたときの喜び
保育士は、保護者とは違った立場で子どもの成長をサポートします。
自分の子でなくとも、「上手に返事ができるようになった」「着替えがひとりでできるようになった」など、子供の成長を感じられるのはうれしいもの。
また、準備してきた行事がうまくいったり、保護者に「ありがとう」「助かりました」など感謝されたときなどは、日々の努力が報われたような気持ちになります。
しかし、保育士にはこうしたやりがいがある一方で、次のような苦労もあります。
- 事務的な作業が多い
- 責任が大きく、常に緊張感がある
- 体力的にきつい
- 対応が難しい保護者もいる
- 園の人間関係がよくないと働きづらい
もっとも大変なのは、事務的な作業のボリュームが大きいこと。
翌日の準備、日誌の作成、会議や打ち合わせ、教室の片付けと、子どもたちが帰った後も保育士の仕事は山積みです。そのせいで帰宅が遅くなることも。
普段から忙しいので、運動会や発表会などの行事となるとさらに労働時間も長くなります。
また、保護者との関わり方も難しいもの。職員には女性が多いため、女性の職場ならではの人間関係のイザコザが発生することもあり、人間関係で悩む保育士はたくさんいるのです。
さらに、遊び盛りの子どもたちの世話をしたり、抱っこやおんぶをせがまれたりと、保育士の仕事は想像以上に体力が必要です。
「見た目はいつも通りなのに実は熱があった」なんてこともあります。
保育士試験の受験資格と保育士に求められる能力
保育士になるには「保育士養成課程のある学校を卒業する」「保育士試験に合格する」という2つの方法があります。
ここでは「保育士試験」について見ていきましょう。
保育士試験の受験資格:学校卒業または実務経験で条件を満たす必要がある
保育士試験には、次のような受験資格があります。
ただし、対象は「学校教育法に基づく学校」なので、該当するかどうか確認する必要があります。
事前にしっかり確認しておきましょう。
保育士に必要なスキルや資質:「子どもが好き」だけでは務まらない
保育士の仕事はやりがいもありますが、仕事量や責任も多く、苦労もたくさんあります。
保育士を目指す前にしっかり自己分析をして、保育士に必要な能力や資質を自分が持っているかどうか確認しましょう。
- 注意力
- 観察力
- コミュニケーション能力
- 子どもへの愛情
- 強い精神力
- 前向きな姿勢
- 気配り、思いやり
保育士はたくさんの子どもたちを見守る存在です。トラブルはないか、危険はないかと安全面に気を配る注意力は欠かせません。また、子ども1人ひとりの小さな変化に気がつける、優れた観察力も必要です。
保育士が関わるのは子どもだけではなく、その親である保護者もです。
些細な出来事も保護者と報告し合える関係を築ける、高いコミュニケーションスキルも保育士には求められます。
中には子どもを思うあまり、クレームや無理難題を言う保護者に関わることもあります。精神的な強さや、前向きに問題解決に取り組むポジティブな姿勢も、保育士には必要です。
気になる保育士の給料事情!今後は給料アップの可能性も
厚生労働省による統計では、私立保育園に勤務する保育士の平均給料を知ることができます。
- 給与:約23万円
- 賞与:約66万円
性別や年代、地域によっても異なりますが、全国的にも保育士の給料は高いとは言えないのが現実です。
また、公立か私立かという違いや園の規模などによっても、給料には差が出ます。
次に、内閣府の「平成29年度 幼稚園・保育所・認定こども園等の経営実態調査」をもとに保育士の給料を見ていきましょう。
公立保育園 | 私立保育園 | |
---|---|---|
常勤職員 | 27.9万円 | 26.2万円 |
非常勤職員 | 17.2万円 | 16.9万円 |
主任保育士 | 51.8万円 | 39.7万円 |
常勤非常勤は公立も私立もあまり差がありませんが、「主任保育士」になるとかなり違います。
「主任保育士」とは、園長のサポートや保育士・保護者からの相談対応、子どもたちや家族の状況把握などを行う保育士のこと。
人間関係の調整なども必要な上、中には通常の保育士と同じくクラスの担任ともなっていたりする人もいて、業務は多岐に渡ります。
保育士のキャリアアップの新たな道すじ
結婚や出産などをきっかけに保育士を辞めてしまう女性も多いのです。
こうした現状を踏まえて、保育士の給与面の引き上げについては国も動き始めています。
2017年には国が保育士のキャリアアップの仕組み作りとして、「副主任保育士」「専門リーダー」「職務分野別リーダー」という役職を新たに設けました。
処遇改善の取り組みを独自に実施している地域もあり、保育士の給料は上昇傾向にあるのです。
保育士におすすめの転職方法
保育士の転職にはいくつかの方法がありますが、「転職に不安がある」「転職活動をどう進めたら良いかわからない」という人におすすめなのが次の2つの方法です。
- 「転職エージェント」を利用する
- 「保育士・保育所支援センター」で支援サービスを受ける
「転職エージェント」とは、無料で利用できる人材紹介サービスのこと。
「doda」「リクルートエージェント」など有名な転職エージェントもありますが、保育士の求人を専門に扱う転職エージェントもあるのです。
職種に特化したサービスなので、相談やアドバイスもより的確であることが期待できます。
転職エージェントなら、求人の紹介から履歴書の作成、保育園との条件交渉まで、あらゆることをサポートしてくれてとても便利。
転職に不安がある人はぜひ利用してみてください。
求人情報の閲覧や個別相談のほか、未経験者やブランクありの人向けのセミナーなども開催されています。
地元の求人が見つかりやすい、という特徴もありますが、ハローワークの求人情報は項目が大まかなため、どんな職場なのかイメージしづらいことが難点です。
ハローワークの求人に応募するなら、窓口でより詳しい条件などを確認してから決めることをおすすめします。
転職サイトとエージェントを併用したり、支援センターを利用したり。求人探しの方法を1つに絞る必要はありません。いくつか試して自分にぴったりの職場を見つけましょう。
保育士が転職する前に知っておきたい注意点
保育士は全国的に不足していることもあり、求人情報は数多く出ています。
しかし、中にはすぐに人が辞めてしまうような「ブラック」なところも。働きやすい職場に転職するには、次のようなポイントをおさえておきましょう。
- なぜ転職したいのかをはっきりさせておく
- どんな「手当」がつくのかを確認する
- 実際に保育園に足を運んで見学をする
まず必要なのは、転職活動前の入念な「自己分析」です。
「なぜ転職したいのか」「転職先にどんなことを望むのか」といったことと合わせて考えておくと、求人を見る時や履歴書を作る時などにも役立ちます。
「転職用ノート」「自己分析用ノート」などを作り、転職活動中は継続して書きましょう。
また求人情報では、基本給、賞与、雇用形態、社会保険、福利厚生といった基本的な情報に加えて、「どんな手当がつくのか」も必ず確認しておきましょう。
また、「主任」「副主任」などの役職につく「役職手当」の制度がある施設も。用意している手当も上限も施設によって違うので、必ず確認しておきましょう。
事前に職場見学をしておくのもおすすめです。実際に園の雰囲気や保育士たちの様子を見ておきましょう。
見学時にチェックすべきポイントは次の通りです。
- 職員:園長や職員の人柄や雰囲気
- 施設:掃除が行き届いているかなど、施設の衛生面
- 園児:保育士が担当する園児の人数、園児の様子
- 勤務時間:残業の頻度や時間、一日の仕事内容
「見学OK」などと書かれていない場合でも、事前の見学を受け入れてもらえる可能性はあります。見学不可の場合は何かしらの問題がある可能性も。一度問い合わせてみてくださいね。
保育士の転職エージェントについては、「★保育士転職サイトの記事(作成中)」を参考にしてください。
人の成長を手助けできることは、保育士だからこそ得られるやりがい!
しかし、親とは違った立ち位置で子どもの成長を手助けするということは、保育士だからこそできること。
「人の成長を見守り、手伝う」、これこそが保育士のやりがいであり、魅力です。子どもに慕われたり、保護者に頼られたりと、保育士の仕事を通じて実感できる喜びはたくさんあります。
保育士のメリット・デメリットを知ったうえで、それでも「保育士になりたい」「保育士としてキャリアアップしたい」と考えるなら、ぜひ挑戦してみましょう。
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