求人詐欺にあわないための注意点ともしもの時の相談窓口

求人詐欺にあわないための注意点ともしもの時の相談窓口

仕事を探す時には、企業の業種や扱う製品・サービスなどとともに、雇用条件も確認しますよね。求人票を見ることでわかる給料や勤務地、職種、勤務時間などは、勤務先を決める際に重要な情報となりますので、それを見ずに決めると言う人はいないのではないでしょうか。

ところが、実際に入社してみると、事前に提示されていた求人票の内容と労働条件が違っていたということもあるのが現状です。当然のことながら、求人票の内容と実際の労働条件が違うことはあってはならないことなのですが、残念なことに実例が多くあり、求人詐欺と呼ばれています。

そうなると、求人詐欺にあわないようにするにはどうすればいいのか、あってしまった場合はどうすればいいのかなどの疑問が出てきます。

そこで今回の記事では、求人詐欺にあわないための注意点についてまとめ、もしも求人詐欺にあってしまったときにはどう対処すればよいのか、相談窓口も合わせてご紹介します。

入社してみたら求人票の内容と違う!?求人詐欺を詳しく知ろう

求人詐欺にあわないようにするためには、そもそも求人詐欺とはどのようなものかを知っておく必要があります。そこで、求人詐欺について詳細を確認しましょう。

求人詐欺とは?

求人詐欺とは、求人票に記載されている内容と実際に入社した後の労働条件が異なることを言います。例えば給料が提示されていた金額より低かった、正社員と言われていたのに実際は契約社員扱いだったなどの例があります。

はっきりとそれとわかる場合もありますが、巧妙に記載方法を選ぶことで労働者を騙すようなやり方もありますので、注意が必要です。

例えば、残業代に関して言えば以下のような手口があることが知られています。

手口 内容
固定残業代(組み込み型)を利用した詐欺 決まった時間分の残業代を組み込み基本給を高く見せる
固定残業代(手当て型)を利用した詐欺 別の手当に残業代を含めることで基本給を高く見せる
裁量労働制を利用した詐欺 裁量労働制を名目に残業代を出さない
それなのに大量の仕事をさせる

固定残業代に関しては、事前に固定残業代であることに企業が意図的に触れない場合もあり、その結果実際に受け取れる給料が予想よりもずいぶん低くなってしまうようなことが起こります。

裁量労働制とは仕事の進め方を労働者の裁量に任せる制度で、労働時間の計算はみなし時間で行われます。本来なら、この制度を利用することによって、与えられた仕事をきちんとこなせる状況であれば出社も退社も自由な時間にできます。

さらに、みなし時間よりも長く働いた日もあれば短く働いた日もあるのが普通なのですが、裁量労働制を利用した詐欺の場合、みなし時間内にこなすことが無理なほどの大量の仕事をさせられることで、毎回みなし時間以上の仕事をすることになる上に、残業代も出ないのです。

雇用形態に関しての例を挙げると、正社員での雇用としておきながら、試用期間中は契約社員の扱いになるとしている場合などがあります。そうなると、会社の状況によっては試用期間が終了した段階で契約を延長しないという選択もできることになります。さらに、雇用形態を明記しないで募集する企業もあります。

このように、巧妙な手口で労働者を騙そうとするのが求人詐欺です。それによって劣悪な環境で働かなければならない人が出てくることになります。

求人詐欺の現状

実際のところ、求人詐欺はどれくらい起きているのでしょうか。

厚生労働省によると、平成28年度にハローワークに対しての求人票に記載してある内容と入社後の労働条件が違うという申し出は、9,299件ありました。

そのうち、求人票の内容と実際の状況が違ったのは3,608件ですが、求人を出している企業の説明不足によって求人票の内容と異なると労働者が感じた場合も2,335件ありますので、十分な説明がなされないまま契約に至っているケースも多いことがわかります。

上位3つの相談内容と割合は、以下の通りです。

相談の内容 割合
賃金について 28%
勤務時間について 21%
仕事の内容について 14%

ここでご紹介したのはハローワークに寄せられた相談件数ですが、他にも労働相談を受け付ける窓口がありますし、実際のところ相談するという行動に出られないまま我慢している人も多くいるのが現状ですので、求人詐欺はかなりの件数あると考えられます。

入社した後に説明と違う内容での契約を迫る場合もあるなど、悪質な手口も報告されています。

罰則について

これだけ求人詐欺が横行しているとなると、それに対する罰則の規定があってもよさそうなものです。実は、求人詐欺に対する罰則の規定は以前からあったのですが、対象が職業を紹介する業者になっていたことから、求人を出している企業には罰則が適用されなかったというのが現状です。

そのせいで、正直なところ求人詐欺は野放しとも言っていい状態にあったのですが、2018年の1月から、虚偽の労働条件での求人をハローワークに出した事業者に対して、以下のような罰則が科せられるようになりました。

6か月以下の懲役もしくは30万円以下の罰金

これは、職業安定法の改正によって定められたもので、罰則の規定があることで求人を出す企業に対する抑止の働きをすることを狙っています。

しかし、それがきちんと適用されるには、まだ課題が残っています。それが、求人内容が虚偽であることをきちんと証明することが難しい場合もあることです。

虚偽となると、嘘を言う意図があったことを証明しなければいけませんが、募集をした後に状況が変わったので仕方なく条件を変更したなどの言い逃れが通じてしまう可能性があるからです。

さらに、労働基準法によると、労働条件の提示は契約の際でいいことになっているので、内定が決まってから入社前後に実際の条件を伝えることも可能なのです。面接時や内定時に連絡しなければならない規定にならない限り、他の内定を断った人などが仕方なく入社するというようなことが起こってしまう可能性があるんですね。

そのため、労働者の方でも身を守るための対策を考える必要があります。

求人詐欺って、かなりの件数があるんですね。罰則については今まで企業には適用されていなかったのが適用されるようになったとのことですが、虚偽と断定するのが難しいなどの理由で、まだ安心はできないということなんでしょうか。
残念なことに、求人票が虚偽だと断定するためには証拠なども必要で、断定しにくい事実があるのは現状です。もちろん、法律の改定で抑止力は働くようにはなりますが、労働者の方でも注意深く就職先の企業を選ばなければいけないんですよ。

求人詐欺にあった人はこんな経験をしている!具体例を見てみよう

それでは、実際にどのような求人詐欺があったのか、具体例をいくつか見ていきたいと思います。

極端な例でいえば、大手外食企業の求人で、残業代は別途支給で月給が196,400円と案内されていたものが、実際には80時間以上の残業をすればこの金額になり、残業時間が80時間に到達しなければ残業代は支給されずに給料が減額されるというシステムになっていたという例があります。この例では、社員が過労死しています。

それ以外にも様々なケースがありますので、確認しましょう。

賃金に関する例

賃金に関する例としては、以下のようなものがあります。

  • 基本給が20万円とあったのに残業しても20万円しかもらえなかった
  • 給料が事前に言われた額より低かった
  • 残業代が一部しか出ない
  • 賞与の支給額が知らされていたより低かった
  • 幹部候補生という名目で管理職扱いされ残業代が出なかった

勤務時間や休日に関する例

勤務時間や休日に関する例としては、以下のようなものがあります。

  • 勤務時間が聞いていた時間と違った
  • 有給休暇をなかなか取らせてもらえない
  • 完全週休2日制のはずなのにそうではなかった
  • 定時で帰宅できると聞いていたのに残業がかなり多かった

仕事内容に関する例

仕事内容に関する例としては、以下のようなものがあります。

  • エンジニアとして採用されたのに営業職に回された
  • 書かれていた勤務地と違うところに配属された
  • 異動は無いと言われていたのに異動があった
  • 内勤で採用されたのに年数が経つと外勤をさせられた
  • 総合職なのに男性に重要な仕事が回され女性は事務的なことしかできない

勤務形態に関する例

勤務形態に関する例としては、以下のようなものがあります。

  • 正社員と書かれていたのに試用期間中は契約社員扱いだった
  • 定年が無いと言われていたのに65歳で定年だった
求人詐欺には、本当に様々な例があるんですね。これだけでも驚きますが、事前に聞いていたのと違うと感じることは求人票の内容だけなんでしょうか?他にも気になる点があるのではないかと疑ってしまいます。
確かにその通りです。労働条件とは違いますが、社内の雰囲気がアトホームだと聞いていたのに実際にはぎすぎすしているとか、業績が悪いことを隠されていて入社した後にすぐ倒産したとか、労働条件以外のところで不満に思う人もいるんですよ。

求人詐欺にあわないようにするには? チェックすべきポイントまとめ

法律が改正されたとはいえ、まだ自分で求人詐欺にあわないように気を付けなければいけないのが現状です。

そこで、求人詐欺にあわないようにするためにはどうすればいいのか、チェックポイントをまとめてご紹介します。

労働条件通知書と雇用契約書の確認

労働条件通知書とは、労働基準法に基づいて事業主が労働者に労働条件を明示する際に利用します。それに対して雇用契約書とは、労働契約法に基づいて労働者が労働契約の内容に対する理解が深められるようにするために利用する書類です。

このうち、労働条件通知書は採用通知書などで代用されることもあります。労働契約書は契約を行うためにあるので、署名と捺印をすることで同意したという意思を示すことが求められます。

ここで示されている内容をきちんと確認することで、事前に伝えられていた内容と違う場合には担当者に相談するなどの行動を起こすことができます。これらの書類が交付すらされないとなると、問題のある会社と判断することも可能です。

希望する企業についてネット上や身近な人からの情報でチェックする

企業名を入力してネット上で検索すれば、情報が得られる場合があります。また、地元の企業であればその企業で働いている人本人やその知人などから情報が得られることもあります。

それらを参考にして、求人詐欺の可能性があると考えられる企業は受けないようにすることが大切です。

離職率や勤続年数などを調べる

例えば、就職四季報という雑誌を見るなどすれば、企業の離職率や勤続年数、社員の平均年齢などを知ることができる場合もあります。離職率が高かったり勤続年数が短かったりすればそれだけ大変な職場だと考えることができますし、また社員の平均年齢が低ければそれだけ定着率の低い企業だと考えることができます。

人の入れ替わりが激しいということは、それだけ労働環境が良くないからだと考えることができますので、そういった企業は避けるようにしましょう。

求人の際の言葉を見る

求人を出す場合に使われている言葉を見ることでも、もしかしたら求人詐欺にあうかもしれないと警戒することができます。もちろん、これらの言葉で求人を出している企業すべてが求人詐欺だとは言えませんが、気にしておくことでチェックするきっかけになります。

気になる言葉 理由
学歴不問・職歴不問・未経験歓迎 誰でもいいほど困っていると考えられる
若い社員が多く活躍している 長く仕事をしている社員がいないと考えられる
給与が相場よりも高いと案内 残業代が含まれているなどの理由があると考えられる
やる気にこたえる企業です 給料が歩合制のこともある
仕事を進めるのも自分次第となることがある

通常、企業が求人をする際には自社に合った人を取りたいものです。それにもかかわらず、誰でもいい、やる気さえあればいいなどの書き方をしている場合など、気になる点がある場合は特に念入りにその企業について調べるようにしましょう。

求人の際の言葉にも特徴があるというのは、驚きました。これを見ると、かなり細かくチェックしなければいけないということになりそうですが、中でも特にこれだけは見ておきたいという点はどれなんでしょうか。
雇用契約書は署名と捺印が必要ですから、それらをするとその条件に納得したと思われる可能性があるので、特に注意が必要です。離職率や勤続年数も客観的な資料ですから、かなり参考になりますよ。

求人詐欺にあった!そんな時に相談できる窓口一覧

いくら気を付けていても、求人詐欺が多い以上求人誰にでも詐欺にあってしまう可能性があります。そこで、そんな時に相談できる窓口を一覧にしてご紹介します。

ハローワーク

ハローワークで仕事を探した人の場合、求人票と実際の労働条件が違うと感じた時に相談に乗ってもらえる『ハローワーク求人ホットライン』が利用できます。事実確認ができたら、会社に対する是正指導を行ってもらうことができます。

項目 内容
料金 無料(通話料は必要)
対応可能な曜日と時間 平日・土日祝日8:30~17:15
※年末年始は対応不可

通話料が気になる場合は、最寄りのハローワークで相談に乗ってもらうこともできますので、直接出向くようにしましょう。

総合サポートユニオン

総合サポートユニオンでは、様々な労働相談を受け付けてもらえます。求人詐欺についても、もちろん相談することが可能です。相談方法は、電話またはメールです。

項目 内容
料金 無料(通話料は必要)
対応可能な曜日と時間(電話) 平日17:00~22:00
土日祝日12:00~22:00

メール相談なら、24時間連絡をすることが可能です。ただし、返事が来るまで待つ必要はあります。

NPO法人POSSE

NPO法人POSSEでは、以下の方法で相談を受け付けてもらうことができます。

  • 事務所への来所
  • 電話
  • メール

相談をすることによって、法律や制度を利用して問題が解決できるようなアドバイスを受けることが可能です。

項目 内容
料金 無料(通話料は必要)
対応可能な曜日と時間(電話) 平日17:00~22:00
土日祝日12:00~22:00

メール相談は、24時間受け付けてもらうことが可能です。来所して相談したい場合、スタッフが不在の時間もあるため電話またはメールで連絡をし、時間を決めて来所するようにしましょう。

ブラック企業被害対策弁護団

ブラック企業被害対策弁護団では、その名の通りブラック企業に関する相談を受け付けています。弁護士に直接解決を依頼する場合は、相談先の事務所ごとに定められた料金を支払う必要があります。

また、詐欺求人相談ホットラインが開設されることもあります。これは、ブラック企業被害対策弁護団と日本労働弁護団が共催して設置しているホットラインで、無料(通話料は必要)で求人詐欺の相談に乗ってもらうことが可能です。ただし、常に相談に乗ってもらえるわけではなく、ホットラインの開催日が決まっています。

そのため、それに合わせて連絡をする必要があります。

困った時には、相談に乗ってもらうこともできるんですね。それはとても心強いと思います。では、これらの相談先に相談をする上で、何か注意した方がいいことはありますか?
求人票のコピーや労働条件通知書を取っておく、説明会の内容を録音するなどして、詐欺にあったということを客観的に証明できるよう証拠を集めることが大切なんですよ。勤務状況が分かるタイムカードのコピーや記録なども、あると有効です。

求人詐欺は珍しいことではない!もしもの時には迷わず相談しよう

残念なことではありますが、ハローワークに寄せられた相談件数だけでもあれだけの相談があるのですから、求人詐欺は珍しいことではないと言えます。そこで、まず雇用契約書をチェックする、事前に企業の情報を集めるなどの方法で求人詐欺にあわないようにすることが大切です。

ですが、手口が巧妙なので求人詐欺と気付かずに入社してしまう可能性が無いとは言えません。

そんな時でも、もう入社してしまったのだからと諦めるのではなく、相談窓口を利用するなどしてその問題を解決するようにしたいものです。

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