【転職内定時の注意点】労働条件通知書と雇用契約書で確認すべき事項

【転職内定時の注意点】労働条件通知書と雇用契約書で確認すべき事項

面接が終わり、内定を貰った!…転職活動は残念ながら、これで終わりではありません。

内定をもらったからといって、募集そのままの労働条件で働くことが出来るのかどうか、きちんと「労働条件通知書」ないし「雇用契約書」でしっかりと確認しなければなりません。

とはいえそれらの書類を貰っても「どっちかしか貰っていない」「どの部分をチェックするべきなのかわからない」となると、よくわからないまま契約してしまい、後から「こんなはずじゃなかった!」なんてことになるかもしれません。

労働条件は働く上で非常に大事なことですから、内定を貰ったら、そこで緩まずにしっかりと労働条件通知書、または雇用契約書に目を通す必要があるんです!

「雇用契約書」と「労働条件通知書」、混同しやすいけど違う!

働くにあたって必ず出てくる「雇用契約書」、それに対してあまり馴染みがない印象がある「労働条件通知書」。どちらも同じものでは?と思っている方も少なくないかと思います。

しかしこの2つは明確な違いがあり、それをあまり知らずに事業主が雇用される人に対して曖昧なまま書類を渡していることも少なくありません。

逆に、きちんと違いを理解して使い分けている企業であれば「しっかりしている企業だな」と判断出来ると言えるのではないでしょうか。

雇われる側としても、こういった労働条件にまつわる書類についての知識を持っておいて損はありません。

この2つは根拠となる法律がそれぞれ違う

この2つの書類の最初の違いは「根拠となる法律」です。

「労働条件通知書」は「労働基準法」の第15条(労働条件の明示)にて、「使用者(雇用主)は労働契約の締結に際して、労働者(被雇用者)に対して労働条件を明示しなければならない」と、「事業主への義務」として定められています。

対して「雇用契約書」は「民法」及び「労働契約法」という法律にて、「使用者と労働者の間で、労働契約の内容について、労働者の理解を深めるように」と決められています。

どちらも労働に関する法律ではありますが、根拠となるものは全く違うんですね。

「通知書」と「契約書」という違いもある!

2つ目の違いは「通知書」と「契約書」である点です。

労働条件通知書は、使用者から労働者に対して「一方的に」交付されるものです。小学校などで先生からプリントを渡されるような感覚と思ってください。

対して雇用契約書は使用者と労働者の間で契約を行うものなので、契約書には「署名及び捺印」が必要となります。労働条件通知書が一方向なのに対し、雇用契約書は双方向の形式であると言えるでしょう。

加えて、使用者と労働者、双方の合意があって契約したとみなされます。

労働条件通知書は「強行法規」、雇用契約書は「任意作成」

どちらも労働契約に関する内容ではありますが、労働条件通知書は労働基準法における「強行法規」といって、当事者の意思に拘らず適用されます。

簡単に言えば「絶対に労働条件通知書は交付しなければならない!」というわけです。

そのため、労働条件通知書を交付しなかった際は罰金がかかるなど、違反した際に罰則が決められています。

対して雇用契約書は罰則がなく、かつ強行法規でもありませんので、「労働通知書を交付」していれば、雇用契約書を作成する必要はないんです。

どうしてこの2つがこんなに混同される事態になったの?

ここまでお読み頂いて、「そもそもどうしてこんなにこの2つが混同されているの?」と疑問に感じた方もいらっしゃるでしょう。

確かにその通りで、労働条件の書類について詳しくない人でならまだしも、使用者さえもが混同していることも少なくないですから、ますます疑問ですよね。

それは、「雇用契約書」の内容が「労働条件通知書」に近いものが多い…ということが理由だと考えられます。

労働条件通知書は「強行法規」の対象となり、その交付は義務となっています。対して雇用契約書は特別作成しなくてもいいのですが、労働者が「労働条件通知書をもらっていない」というと、会社側は反論出来ません。

そのため、万が一裁判になっても「雇用契約書を通して契約した」という事実を証明するために雇用契約書を2部作成し、使用者側と労働者側がそれぞれ1部ずつ保管するケースが多いんです。

加えて、雇用契約書に労働条件通知書にて通知しなければならない事項(こちらは後のトピックで詳しく解説します)を記載すれば、「労働条件通知書を交付した」ことになるため、1枚にまとめているところも少なくありません。

以上のことから、2つは似たようなもの、はたまたどちらでもOK!みたいな印象を多く与えているのだと思われます。

「採用通知書」は「労働条件通知書」に当てはまる?

「内定通知書」や「採用通知書」は「労働条件通知書」に当てはまるの?という質問もたまにみかけます。

こちらも雇用契約書のケースと同様で、労働通知書として記載しなければならない事項が記載されていれば、採用通知書や内定通知書も労働条件通知書に当てはまります。

しかし、労働基準法にて明示されるべき労働条件が記載されていなかった場合は、別途労働条件通知書を交付してもらう必要がありますので、貰った内定通知書・採用通知書にきちんと記載事項が記載されているかチェックしてみてください。

「内定通知書」と「採用通知書」がありますが、こちらは同じものなんでしょうか?

どちらも採用されたと考えてよさそうな感じですが…。

意味合いとしては似ていると言っていいでしょう。

ただ、「内定通知書」は新卒採用の際に送付されることが多く、採用通知書は中途採用(転職)の際に送付されることが多いようですね。

労働条件通知書や労働契約書に見られる「労働条件」はどんな内容?

内定が出たら、雇用契約書や労働契約書、労働条件通知書などの書類を貰うことになるかと思います。

その中で必ず明示されるべき「労働条件」が決められており、それが記載されていない書類は(事業主的に)アウト!というわけですね。

とはいえ、働く労働者側からしても知っておきたい大切な項目ばかり。しっかりと内容をチェックしておきましょう!

必ず書面にて明示しなければならない労働条件はこの6つ

労働条件通知書にて、「必ず明示されるべき事項」は以下の6項目となります。

労働契約の期間 期間がある場合は雇用期間の明記が必要、
一般的には雇用開始日
就業場所及び従事する業務 どの部署に配属されるか、そこで行う仕事の内容や職種
始業・終業の時刻 業務時間だけでなく、残業の有無や休憩時間、
交代制の勤務の場合は交代する時間など
休日・休暇 定例の休日の有無、日数、有給休暇の日数など
賃金 賃金、諸手当の計算方法、割増賃金率、
締切日及び支払日など
退職に関する事項 定年となる年齢、継続雇用制度の有無、
自己都合退職の手続き、解雇理由など

加えて、パートなどの短時間労働者の方の場合は

  • 昇給や退職手当、賞与の有無
  • 雇用管理の改善などのための相談窓口

について、派遣労働者の場合は

  • 賃金の見込額やその他待遇に関する事項
  • 事業の運営に関する事項
  • 派遣制度の概要

についても併せて明示しなければなりません。

労働者に明示しなければならないが、口頭でOKなものも

労働条件通知書という書面にて、必ず明示しなければならない項目は6つでしたが、それ以外にも労働者に対して明示しなければならない「労働条件」はまだまだあります。

退職手当 適用される労働者の範囲・退職手当の計算方法、
支払われる時期など
臨時の賃金・賞与・最低賃金 臨時の賃金や賞与(ボーナス)が出るか、
出るなら何月にどれくらいの額が出るか。
また、最低賃金はいくらかなど
費用の負担 食費や交通費などの費用負担に関すること
安全・衛生 労働災害の防止や職場でのメンタルヘルス相談窓口、
衛生管理者の選任など会社の安全や衛生に関すること
職業訓練 新入社員研修や管理者研修の規定、
特定の資格を取得したら昇給がある、
別の部署に配属されたり昇格するなどの待遇がある場合
その内容など
災害補償・業務外の傷病扶助 労災で支払われる金額、会社の独自補償など
表彰・制裁 社内での表彰(長期勤務の表彰など)や
制裁(遅刻したら減給など)に関すること
休職 休職期間の期間や賃金の設定など

これらの事項は

  • 書面でなくても口頭でもOK
  • 会社で規定が決まっていなければ明示する必要はない

項目となっています。例えばボーナスがない会社の場合、「賞与」や「臨時の賃金」について明示する必要はない、ということです。

これらの項目は「就業規則」でも「相対的必要記載事項」に含まれるものであり、会社によってはみっしりと記載されているケースもあれば、明示されるものが少なく、シンプルになっていることもあるというわけですね。

就業規則とは、10人以上の労働者がいる職場で作成することが義務付けられているものです。

具体的な内容としては、労働者が守るべき会社でのルールや、細かい労働条件が決められています。

「必ず明示しなければならないのに、書面にない」条件も!?

これまでご紹介した項目は、必ず(規定がある場合を含め)労働者に対して明示しなければならないものですが、中には「明示しなければならないのに、労働条件通知書には記載されない」項目があります。

それは「昇給について」。何故かはわかりませんが、賃金に関しては労働条件通知書にて必ず記載しなければならないのですが、昇給についてだけでは口頭での明示でも可能なんです。

正直ややこしいのですが、簡単にまとめますと以下のようになります。

書面で明示が必要 ・労働契約の期間
・業務の場所、業務内容
・業務の開始・終了時刻、残業の有無、休日など
・賃金(退職金・賞与を除く)の計算方法など
・退職に関すること
明示が必要
(口頭でもOK)
・昇給に関すること
・退職手当
・臨時の賃金・賞与・最低賃金
・労働者の負担する費用など
・安全衛生に関する事項
・職業訓練に関する事項
・災害補償
・表彰・制裁
・休職

労働通知書の中では、明示が必要ながら書面に記載する必要がない項目については記載されていないことも多いです。

入社時に簡単に説明を受けたり、別の書面(プリントなど)を貰うことで明示されるケースも少なくありません。

ただ、これらの明示が必要な項目は従業員の人数が一定以上であれば「就業規則」にて同じ内容を確認出来るかと思いますので、「就業規則を見たい」とお願いすればどのような決まりになっているのかわかるかと思います。

明示が必要でも書面はいらないとか、ややこしいですね…。

就業規則でも近い内容をチェック出来るとのことですが、よく就業規則を見たいと会社に言ったけど見せて貰えない、というケースもあるみたいです。

就業規則は見られるものだと思うのですが、こういうケースはどうすればいいんでしょう?

就業規則を見たいのに見られない、というケースは時々あるようですね。

しかし当然ながら使用者は労働者に対して就業規則を周知させる義務がありますから、「見せない」というのはおかしいんです。

就業規則を見せることで会社に不利益…まあ、やましいことがあるといっても過言ではないでしょう。

どうしても見たい場合は「労働基準監督署」に相談すれば見ることが出来ますよ。

しかし、周知出来ていなければ就業規則にて定められた項目も効力がないのですがね…。

雇用契約する前に、知っておきたいポイント2つ

ここまでは、具体的な労働通知書に記載すべき内容などについてのご紹介でした。

ただ、実際に内定後に貰う書面としては「労働通知書」であることは少なく、「雇用契約書」の方が多いかと思います(理由は前トピックを参照してください)。

明示かつ記載すべき項目がない雇用契約書は論外ということはおわかりいただいていると思いますが、他にも「労働通知書」あるいは「雇用契約書」などにおいて「知っておきたい」点についてご紹介していきたいと思います。

労働条件通知書等を貰うタイミングはいつがベスト?

労働条件通知書(あるいはその内容を含んだ雇用契約書)を貰うタイミングとして多いのは、「内定時から入社日までの間」です。

例としては、内定後に郵送されてくる(必要事項を記載して返送の必要があることも多いです)、入社日に渡されて説明を受け、契約を締結する…というケースですね。

ただし、入社時に雇用契約書をもらうケースですと、労働条件をしっかりと確認しないままサインをしてしまうことも。

雇用契約を交わすということは、「その条件でOKです」と同意することと同義ですので、しっかり労働条件をチェックしたいところです。

また、労働条件が募集条件と違う、面接で言われていたものと違うということもありますので、ベストと言えるタイミングは「内定後から入社前」です。

このタイミングであれば、仮に内定を辞退したいと思っても対応することが可能だからです。

「内定を貰ったけれど労働通知書も雇用契約書も貰えていない。入社日が近づいてきており不安」という転職者さんは少なくありません。

「事前に労働条件をしっかりチェックしておきたい」という方は事前に「お手数ですが労働条件通知書をいただけますか」と担当者に連絡するのもいいかもしれません。

が、会社の決まりとして渡せないと言われることもあるようです。

その場合は「労働条件をチェックする時間を取って欲しい」と伝えておくといいでしょう。

内定後の「雇用契約書」で必ずチェックしておきたい労働条件は?

入社日、または入社日までに貰うこととなる雇用契約書ですが、ここが労働条件について質問する、あるいは交渉する最後のシーンとなります。

ついつい「内定を貰えた!よかった!」と安心感からさくっと契約したくなりますが、悲しいことに募集条件と雇用契約書の労働条件が違うことも少なくありません。

しっかりと契約書の労働条件を見て、自分が納得出来るものであるかチェックしましょう!

かならずチェックしておきたいのは以下の項目です。

入社日 働きながら転職活動をしている場合、
入社日までに退職出来るか、
入社日に時間が取れるかがポイントに
勤務地・配属 希望した勤務地となっているか、
職種・部署となっているか
給与 面接時等と変化はないか
残業代・手当 残業代は出るのか、何時間からなのか、
その他の手当はあるのか
勤務時間 始業・終業時刻や休憩時間、
時間外勤務の有無などをチェック
休日・休暇 完全週休2日制か、週休2日制でも違う。
育休や産休もあわせてチェック
試用期間 試用期間がある場合、どのくらいなのか、
待遇はどう変わるのか

また、転勤があるような場合はどのくらいの頻度なのか…という点もチェックしておきたいですね。

特に給与面や休日面はトラブルになりやすい項目ですので、募集条件と違っていないかは必ず見ておきましょう。

面接時と条件が違う、なんてこともあるんですね…。

しっかりチェックしておかないと、たしかに後から「あれ?」ってなってしまいそうです。

もし、労働条件が合わないなと思ったら内定の辞退は出来るんでしょうか?

もちろん内定の辞退は可能ですが、「面接の時にはこう仰っていましたが」と、担当者に相談してもいいでしょう。

待遇を間違って記載していたのであれば訂正してくれますし、交渉に応じて待遇が変わる可能性もあります。

それがダメということになれば、内定辞退も視野に入れればいいでしょう。辞退を決めたら、2~3日中には辞退の旨とお詫びを伝えてくださいね。

労働条件は自分の人生を左右するもの。しっかり通知書はチェック!

労働条件は「どれだけ自分が休日を取ることが出来るか」「どれだけ自分の仕事が賃金となるのか」など、自分の人生を非常に大きく左右するものといっても過言ではありません。

だからこそ、「労働条件は応募した時(募集条件)や、面接で言われた時と変わっていないか」「自分は完全週休2日制だと思っていたけど、実は週休2日制なんてことはないか」など、細かい部分までチェックすることが大切なんです。

労働通知書や雇用契約書の中身をしっかりと知ることで、「きちんと明示すべき項目が記載されているか」という点もチェックでき、企業を判断する力をも手に入れることが出来ます。

どの企業でも共通のものなので、今転職を考えている方も、絶賛転職活動中の方も、自分のための知識としてぜひ覚えていただけたらと思います。