有給休暇はいつから何日貰える?パートや派遣も必見の有給基礎ルール
社会人にとって、仕事内容と同じくらい気になるのが「休み」に関する決まりではないでしょうか。
とくに有給休暇については、「いつから発生するの?」「何日くらいもらえるの?」と、さまざまな疑問を抱えている人も多いことでしょう。
この記事では、正社員はもちろんアルバイト・パートや派遣社員ももらえる「有給休暇」について、分かりやすく解説していきます。
有給休暇がもらえる「条件」や「日数」に加え、「知っておくと損をしない具体的なルール」についてもご紹介しますので、ぜひ読んでみてくださいね。
有給休暇とは「賃金の減額なし」で取得できる休日のこと
有給休暇は、正確には「年次有給休暇」と呼ばれる休日です。労働者が「賃金の減額なし=有給扱い」で取得できる休日のことで、法律で付与することが定められています。
通常、仕事を欠勤した日はその分お給料を引かれてしまいますが、有給休暇を利用した日については、実際に休んでも給与額はそのままになります。
有給休暇は正社員だけでなく、アルバイト・パートや派遣社員にも付与されます。ただし有給休暇の日数は、週ごとの勤務時間などによって変わってきます。
ここからは、そうした「有給休暇の詳細なルール」について見ていきましょう。
有給休暇の原則は?「有給消化の義務化」って何?
まずは、法律で定められた有給休暇のルールから説明していきます。
そもそも法律では、労働者に週1日以上の休日を与えることが原則として定められています。その上で、さらに与えられるのが有給休暇です。
有給休暇は、労働基準法第39条によって定められている雇い主(会社側)の義務にあたります。
近年の流れでは、ただ権利を付与するだけでなく、「実際に労働者が有給休暇を取得するよう働きかけること」まで含めて雇い主の役目と考えられるようになってきています。
この流れを受けて、2019年4月には労働基準法が改正され、一定日数の有給休暇の消化が義務付けられることとなりました。
これは働く人にとって「有給休暇の権利はあるけれど、実際には休みづらい」という状況がまだまだ多いことを受け、きちんと休める世の中を促進するための政府の施策の一つです。
この法改正により、現在では「有給休暇を年10日以上付与されている労働者」については、企業側が必ず年5日以上取得させることが義務づけられています。
これが一般に「有給消化の義務化」と呼ばれるもので、悪質な違反行為があった場合は罰金等の罰則が課せられます。
有給休暇がもらえる条件、発生するタイミングは?
次に、有給休暇が与えられる条件や、発生するタイミングについて見ていきましょう。
法律では、次の条件を満たす労働者には、有給休暇が必ず与えられることとなっています。
- 雇い入れ日(入社日)から6カ月以上、継続して勤務している
- 出勤すべき労働日のうち、8割以上出勤している
つまり、入社から6カ月後、定められた出勤日のうち8割以上まじめに出勤している人には、自動的に有給休暇が発生します。
アルバイト・パート、派遣社員にも付与される
「有給休暇は正社員しかもらえない」と思い込んでいる人もいますが、それは間違いです。
有給休暇は、アルバイト・パートといった非正規雇用の労働者にも等しく付与されます。
- 正社員
- アルバイト
- パート
- 派遣社員
- 契約社員 など
ただし、企業や事務所に所属していないフリーランスが業務委託で仕事を請け負う場合などは、有給休暇は発生しません。
派遣社員の場合、有給休暇は勤務先(派遣先)ではなく、派遣元企業から付与されます。ですので、たとえば「入社後6カ月」が経過する途中で派遣先が変更になったとしても、同じ派遣元に所属しているのであれば有給休暇が発生します。
有給休暇の付与日数は?長く勤めると日数も増える
では、有給休暇はいったい何日くらいもらえるのでしょうか? 余暇の予定を立てる上でも気になりますよね。
有給休暇の日数は、勤務年数が長くなるにつれて増えていきます。
まずは、フルタイムで働く場合の日数の変化を見ていきましょう。
継続勤務年数 | 有給休暇付与日数 |
---|---|
半年 | 10日 |
1.5年 | 11日 |
2.5年 | 12日 |
3.5年 | 14日 |
4.5年 | 16日 |
5.5年 | 18日 |
6.5年以上 | 20日 |
上記の表は、あくまでもフルタイムで働く人の場合です。
一方で、アルバイトやパートでは「週3日」「1日4時間」など、所定労働時間の一部にだけ勤務する人も多いですよね。こうしたケースを「パートタイム勤務」もしくは「短時間勤務」と呼びます。
パートタイム勤務の労働者にも、有給休暇は付与されます。
ただし「一週間あたりの労働時間が30時間未満、かつ、週の所定労働日数が4日以下(または年間の所定労働日数が216日以下)」の場合は、有給休暇の付与日数が次の表のとおり変わります。
勤務日数 | 週4日 | 週3日 | 週2日 | 週1日 |
---|---|---|---|---|
0.5年 | 7日 | 5日 | 3日 | 1日 |
1.5年 | 8日 | 6日 | 4日 | 2日 |
2.5年 | 9日 | 6日 | 4日 | 2日 |
3.5年 | 10日 | 8日 | 5日 | 2日 |
4.5年 | 12日 | 9日 | 6日 | 3日 |
5.5年 | 13日 | 10日 | 6日 | 3日 |
6.5年以上 | 15日 | 11日 | 7日 | 3日 |
有給休暇を取得する際は、こうした日数の変動も頭に入れておくと良いでしょう。
コレを知っておけば損しない!有給休暇のその他ルール
有給休暇について、だいたいの概要は把握できました。
ここからは、知っておくと損をしない「有給休暇のルール」についてご紹介していきましょう。
1.未消化分は翌年に繰り越せる
有給休暇は、年単位で付与されます。有効期限は「付与された日から2年」と定められていて、消化できなくても2年経つと権利が消失してしまうので注意が必要です。
また、同時に保持できる日数は原則40日以内です。
逆に考えると、付与されたその年のうちに使い切れなくても、合計して40日を超えない分までなら翌年に繰り越して使えます。
2.取得日を会社が決めることもある
有給休暇をいつ取得するか(=いつ休むか)は、原則として労働者の自由です。
ただし、雇い主側が取得日を決めて付与する「計画年休」という制度も許可されているため、よく確認しましょう。
また、労働者の申請した休暇日を繁忙期を避けるために雇い主側が変更する「時季変更権」が使われる場合もあります。
これらは雇い主側にとっての権利ですが、基本的には労使協定を結んだり、労働者の意思を尊重したりする必要があります。
さらに、計画年休や時季変更権が使われる場合でも、労働者が自由に選べる有給休暇を最低5日以上、残す必要があるとされています。
不安なことや理不尽に感じることがあれば、労働基準監督署や自治体の労働相談窓口に相談してみても良いでしょう。
3.半日単位・時間単位でも取得できる
有給休暇は、労働者が希望し雇い主が合意した場合に限り、半日単位で取得することも可能です。
また、労働者が希望した上で労使協定の締結があれば、時間単位での取得も可能になります。ただし時間単位での取得は、年に5日までと定められています。
4.有給休暇の買い取りはNG!ただし例外もある
有給休暇は労働者の権利ですので、「休んでほしくないから」といった雇い主側の一方的な都合で買い取る(買い上げる)ことはできません。これは法律で明確に禁止されています。
ただし、退職間際で消化しきれないときなど、労働者側に不利にならない場合には、雇い主の任意で買い取ることは問題なしとされています。
退職までに残っている有給休暇を「消化すること」は労働者の権利ですが、買い取ってもらうことまで強要はできない、ということを理解しておきましょう。
5.有給休暇のルールを破るブラック企業には、こう対処する
定められた日数の有給休暇を付与するのは、雇い主の義務です。もしもあなたの職場でそのルールが守られていないのであれば、雇い主である企業や団体が法律違反を犯していることになります。
有給休暇以外のことでもそうですが、働き始めてから「聞いていた条件と違う」「法律に違反しているのではないか」と感じたら、労働基準監督署や自治体が運営する労働相談窓口などに相談してみましょう。
また、転職の際にこうした企業を避けるためには、しっかりリサーチすることが肝心です。
求人情報に有給休暇の取得率まで記載している企業は少ないので、知りたい場合は面接で確認する必要があります。
ただし面接官に「休むことばかり考えている」と思われてしまうと損なので、あくまでも会社の雰囲気を知る質問の一部であることが伝わるよう、工夫しましょう。
転職エージェントは、紹介する企業について有給休暇の消化率なども把握しているケースが多く、中立的な立場からアドバイスをしてくれます。
キャリア相談から面接対策まで、無料で受けられるサービスも多いので、気になったらまずは登録してみてくださいね。
ルールを知って、有給休暇を有意義に活用しよう!
入社から6カ月以上経過していて出勤率が8割以上の人であれば、誰でも使う権利があります。
有給休暇を付与されるのは正社員だけでなく、アルバイト・パート、契約社員、派遣社員なども同様です。ただしフリーランスが業務を請け負う場合などには適用されません。
有給休暇は、勤務年数が長くなるほどもらえる日数も増えていきます。有効期限は2年以内なので翌年に繰り越すこともでき、合計40日分まで保有できます。
転職の際は有給休暇の消化率も確認するのがオススメです。転職エージェントなど便利なサービスもあわせて、上手に活用していきましょう!
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