自己都合と会社都合の違いとは?退職理由と失業保険の関係

自己都合と会社都合の違いとは?退職理由と失業保険の関係

転職を希望する人が勤めている会社を辞めた、もしくは辞めようとしている理由はいろいろと考えられます。例えば勤めている会社が倒産したなどのどうしようもない理由もあれば、結婚するので新しい家の近くで勤めるために転職を考えている場合もあります。

仕事を辞める理由、は自己都合の退職と会社都合の退職に分けられるのですが、退職理由がどちらに分類されるかによって、失業保険の受給期間が変わることもありますし、転職活動に影響が出る場合もあります。

そこで、退職理由が何を基準に分類されるのか、それによってどのような違いが出るのか、詳しく見ていきましょう。

自己都合退職と会社都合退職、失業保険が出る時期や額が違います!

まず、退職理由の違いで失業保険がどう変わるのか、詳細を見ていきます。

退職理由の分け方

退職理由は、以下のような基準で分けられます。

  • 自己都合退職…退職者の希望で退職を選ぶこと
  • 会社都合退職…退職者の意思に反して会社の都合で退職させられること

例えば、家庭の都合などの理由で退職者が希望した場合は自己都合退職、会社が倒産した場合などは会社都合退職となります。

退職理由による失業保険の違い

離職日よりも前の2年間のうち雇用保険の被保険者であった期間が通算12か月以上あることが失業保険を受給する条件なので、それを前提に失業保険について確認します。

ただし、解雇や倒産などの理由で離職した場合、離職日よりも前の1年間のうち被保険者であった期間が通算6か月以上あれば失業保険を受給できることもあります。

退職理由による失業保険の違いは、以下の通りです。

退職理由による失業保険の違い
項目 自己都合退職 会社都合退職
支給開始までの最短日数 待機期間7日+給付制限3か月 待機期間7日
1日の支給金額の上限 6,370円~7,775円
年齢によって決定
6,370円~7,775円
年齢によって決定
失業保険が給付される日数 90日・120日・150日のいずれか
被保険者だった期間によって決定
90日~330日の間で8つの区分がある
被保険者だった期間と年齢によって決定

支給開始までの最短日数は、離職票を提出し求職申し込みをハローワークで行った日から数えた日数で、7日間の待機期間の後に支給が開始されます。自己都合退職の場合さらに3か月間の給付制限があり、その分支給が遅れます。

また、支給開始日と実際にお金が振り込まれるまでには、時間差があります。

1日当たりの支給金額は以下の計算法で算出されます。

離職直前の6か月の間に支払われた金額(賞与除く)の合計÷180の50%~80%の額
※60歳~64歳の人は45%~80%の額

ただし、先ほどご紹介したように年齢によって上限額が決められているので、その額を超えて支給を受けることはできません。

退職理由によって計算法が変わることはありませんが、会社都合退職の場合は支給期間が長い傾向にありますし、計算法に記載している支給の割合も会社都合退職の方が高く計算されるのが一般的なので、より多くの失業保険が受け取れる可能性があります。

退職理由については、自己都合退職は自分の希望、会社都合退職はそうではない場合と考えればいいわけですね。失業保険の支給を見ると、会社都合退職の方が条件がいい気がするのですが、何か理由があるのですか?
自分が希望しないのに退職をせざるを得ないのが会社都合退職ですから、急な離職が多いなどの理由があるからなんですよ。とはいえ、転職を考えたら、それが必ずしも有利とはいえない場合もあります。それについては後で確認しましょう。

自分の希望による自己都合退職!事例と注意点をご紹介します

それでは、自己都合退職の事例や、注意点を確認したいと思います。

自己都合退職の事例

自己都合退職に当たる事例には、以下のようなものがあります。

  • 結婚
  • 妊娠・出産
  • 引越し
  • 家庭の事情
  • 病気や怪我の療養
  • 転職
  • 懲戒免職

このように、退職者側に何らかの事情があり、希望して辞める場合が自己都合退職に当たります。

ここで注意したいのが懲戒免職になった場合で、自分で希望して会社を辞めたわけではなくても自己都合退職扱いされることを知っておきましょう。

自己都合退職でも失業保険が手厚くなる場合がある!

自己都合退職をすると、失業保険が支給されるまでに3か月の給付制限がある、支給期間が短くなるなど会社都合退職の場合より不利になりがちなのですが、仕事を辞めた理由によっては自己都合退職でも給付日数が手厚くなることがあります。

それが以下のような理由で退職した場合で、これらの理由で退職した人を特定理由離職者と呼びます。

  • 雇用契約更新を希望したが成立しなかったことによる離職
  • 体力不足や病気、怪我、心や体の障害などによる離職
  • 妊娠や出産、育児などのために離職し、受給期間の延長措置を受けた場合
  • 親の死亡や病気、看護が必要になったなどの家庭事情の急変による離職
  • 配偶者や扶養親族との別居生活が難しくなったことによる離職
  • 通勤不可能または通勤困難になったための離職
  • 希望退職者募集に応じる形での離職

通勤不可能、または通勤困難になるとは、例えば結婚して住所が変わった、事業所が移転した、通勤に使っていた公共交通機関が廃止されたり運行時間が変更されたりしたなどの場合を言います。

これを見ると、自分が希望して退職したとはいえ、やむを得ない理由があることがわかります。その場合は失業保険が手厚くなるんですね。

自己都合退職に見えても会社都合退職になることも!?

実は、自分から退職を希望しても、以下のような状況であれば会社都合退職にできる場合もあります。そうなれば、失業保険の面で有利になる場合がありますので、これはチェックしておきたいところです。
  • 給与や業務内容などが契約した時と違う
  • 給与の支払いが遅れたり未払いだったりする
  • 給与が従来の85%未満の金額に減額される
  • 残業が不当に多い
  • 更新される予定だった雇用契約が更新されなかった
  • 嫌がらせ、パワハラ、セクハラなどがあった
  • 会社側が法令違反をしている

このように、辞めたいと思うような重大な理由が会社にあれば、会社都合退職にできる場合もあるんですね。

これらのことがあった場合は、ハローワークに相談しましょう。

自己都合による退職は転職の際問題視されないことが多い!

自己都合による退職は誰にでも考えられることなので、転職の際に問題視されることはあまりありません。ただし、前職の勤続年数が短い場合や転職回数が多い場合などは採用担当者が気にすることもあるので、その理由を前向きな形で転職先の会社に伝える必要があります。

また、前の会社が合わずに辞めた場合も注意が必要です。それをストレートに言うと、新しい会社でも同じことが起こるのではないかと思われますので、キャリアアップのためなど前向きな転職理由に言い換える工夫も必要です。

自己都合退職にもいろいろあって、中には失業保険が手厚くなる場合もあることがわかりました。ですが、自己都合退職と言うと、自分の都合で勝手に退職したという印象を持たれて転職活動に影響が出そうに思うんですが、大丈夫なんでしょうか。
様々な都合で退職する人はいますので、自己都合退職と書いただけで問題になることはないんですよ。それよりも、転職回数が多いなどの不安を感じさせる内容があるかどうかの方が重要です。ただし、懲戒解雇の場合は別です。

倒産などの理由で離職する会社都合退職、転職の際には注意が必要!

次に、自分で希望したわけではないのに退職しなければいけない状況になる、会社都合退職について事例や注意点を見ていきましょう。

会社都合退職の事例

会社都合退職に当たる理由とは、以下のようなものです。

  • 倒産や事業所の廃止
  • 経営悪化などに伴った人員整理
  • 解雇

また、先ほど自己都合退職の部分で会社都合退職として扱える場合もあるとして挙げた理由もあります。

ハローワークでは、倒産や解雇などの理由で再就職するための準備をする余裕がないまま退職した失業保険の受給者を特定受給資格者と呼んでいますので、会社都合退職をした人は特定資格受給者に当たると考えて構いません。

会社都合退職の場合は採用担当者からの印象に気をつけて!

会社都合退職も、多くの場合退職理由が転職に悪影響を与えることはありません。例えば、会社が倒産してやむを得ず退職した場合などは、退職者がどうにかできる問題ではないからですね。会社都合退職で問題視される可能性があるのは、解雇された場合です。

解雇される理由には、病気・怪我・経営難などのどうしようもない理由もあり、その場合はやはり転職で問題になることはありません。ですが、業務成績が良くない・協調性が無い・能力不足・命令違反などが問題視され解雇されることもあるので、その場合はかなり印象が良くないと思いましょう。

採用担当者としては、自社で問題なく働き、能力を発揮してくれることを期待しているわけですから、前職で問題になるような結果を残している場合、どうしても警戒してしまいます。

会社都合退職なのに自己都合にするように言われた場合は?

会社都合退職があると、助成金が支給されなくなったりブランド力が下がったりするため、会社としてはあまり嬉しいことであはりません。そのため、会社都合退職を自己都合退職にできないかと会社から話があることもあります。

とはいえ、今後何らかの形でその会社に関わることが無いとも言えませんので、その場合は納得いくまで話し合いをしましょう。

また、悪質な会社の場合、自己都合退職の形に持っていくために退職届や退職願を出させることもあります。手続きの必要上退職届がいる場合もあるのですが、提出を求められた場合は会社都合退職になるかどうかをきちんと確認しましょう。

また、会社都合退職のはずなのに、離職票に自己都合退職と書かれていることも考えられます。事業主が記載した退職理由に異議がある場合は、離職票にある転職者用の具体的事情記載欄を利用して、本来の退社理由を記載しましょう。

その際には証拠が求められることに注意が必要ですが、それをすればハローワークが確認を行ってくれます。

会社都合退職があると、会社にはデメリットがあるんですね。だからといって、退職理由を変えるように言われたり離職票に事実とは違う内容が書かれていたりすることもあるのは驚きました。退職理由について、どんなことに気をつければいいんでしょうか?
直接言われた場合、失業保険の件なども考えて譲れるかどうか考えるべきですね。また、何も言わずに離職票に事実と違う内容を書かれていないか、きちんと書類に目を通すことも大切です。そのような可能性があることを知って、チェックを欠かさないようにしましょう。

退職理由が違えば失業保険の支給日や支給期間が変わります!

以上のことから、自分の希望で退職する自己都合退職と、そうではない会社都合退職では、失業保険が支給されるまでの期間や日数が変わることがわかります。

保険のことを考えると会社都合退職の方が手厚いので、自己都合退職を会社都合退職の形に持って行こうとすると、転職の際に理由付けができず悪影響が出ることも考えられます。

逆に、会社の方が会社都合退職を自己都合退職に持って行こうとすることもあるので、その点でも注意が必要です。

そのため、辞める時の理由は正確に申告するのと共にきちんと確認し、後々の転職活動に備えたいものです。