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ツアーコンダクターに必要な資格を紹介、役立つ資格や適性チェックも

団体旅行でツアー参加者を率いるツアーコンダクター。

1人で、または主任(チーフ)添乗員として業務をするには、「旅程管理主任者」という資格が必要です。

「旅程管理主任者」には、国内での添乗のみ可能なものと、海外への添乗もできるものの2種類があり、いずれも旅行業に携わる人、もしくはその予定がある人しか取れません。

この記事では、国内・海外それぞれのツアーコンダクターの資格の取得方法や、仕事に役立つ資格などを紹介。ツアーコンダクターに必要な資質やスキルも説明するので、ぜひ参考にしてください。

ツアーコンダクターのチーフ(主任添乗員)には資格が必要

ツアーコンダクター(主任添乗員)としてツアーに添乗するには、「旅程管理主任者」という資格が必要、というのは冒頭でも説明したとおり。

これには2つの種類があり、国内のみか、海外も可能かによって次のように分かれています。

「旅程管理主任者」資格の種別
資格の名称 可能となる業務範囲
国内旅程管理主任者 国内での添乗業務
総合旅程管理主任者 国内・海外の添乗業務

どちらの資格も、取得には次の要件を満たす必要があります。

旅程管理主任者の資格要件
  • 「旅程管理研修」の全日程・全科目を受講する
  • 研修後の「修了テスト」で基準点を満たす
  • 添乗の実務を経験する
え?ちょっと待ってください。

ツアーコンダクターの資格を取るのに添乗の実務経験が必要ってどういうことですか?

ほんとだ!まだ資格がないのに添乗なんて、そんなの無理ですよね?
いいえ。この資格は、ツアーコンダクターのチーフ、主任添乗員としてツアーに添乗するのに必要な資格なんです。

ですからこの資格がなくても、他の添乗員のサブなどで添乗できます。詳しくは後ほど「実務経験についての章」で説明します。

では、資格を取る方法について詳しく見ていきましょう。

ツアーコンダクターの資格「旅程管理主任者」の取得方法

この章では、旅程管理主任者の資格について、次の項目ごとに見ていきましょう。

この章でわかること

旅程管理主任研修の受講資格とは
旅程管理主任研修はどこで受ける?
旅程管理主任研修の主な内容
研修のほかに必要な実務経験について
資格を取った後について

まずは研修の受講資格から。

チーフツアーコンダクターに必要な「旅程管理主任研修」の受講資格

「旅程管理主任者」になるには、まず「旅程管理主任研修」を受ける必要があります。

「旅程管理主任研修」は、旅行業務に携わる人、またはその予定のある人しか受講できません。

具体的には、満18歳以上で次のいずれかに当てはまる人が対象です。

旅程管理研修の受講資格
  • 旅行会社に勤務している、またはその予定である
  • 添乗員の派遣会社に登録している、またはその予定である
  • 通訳案内士の資格を持っている

ただしこの中で「予定である」人の場合は、旅行業務に関する基礎的な知識があることが前提。その証明となる書類の提出も必要です。

そのため、トラベル系の専門学校に通って学んだり、添乗員派遣会社が行う「基礎添乗業務研修」を受講したりする必要があります。

「基礎添乗業務研修」は、パソコン上て学べる「eラーニング講座」で受講可能です。誰でも受けられますが、その後に旅程管理研修を受けるには、添乗員派遣会社に登録しなくてはいけません。

チーフツアーコンダクターに必要な「旅程管理主任研修」の受講箇所

旅程管理主任研修は、全国統一で行われているわけではありません。

観光庁長官の指定を受けた、旅行会社や添乗員派遣会社、トラベル系過程のある学校などがそれぞれ独自で研修を実施しています。

平成30年10月末現在で41の研修機関が指定されており、研修の日程(日数)や会場、受講料なども、それぞれ異なります。

具体的にはどんなところが研修を行うんですか?
「日本旅行業協会」や「日本添乗サービス協会」といった業界団体のほか、「名鉄観光サービス」「ジェイティビー」などの旅行会社です。

「ツーリストエキスパーツ」などの添乗員派遣会社や、「大阪国際学園」「中村学園」などの学校法人もありますね。

どこで研修を受けるかはどうやって決めるんですか?
研修の受講申し込みは、会社単位で行うのが一般的です。

登録する派遣会社や通う学校が指定の研修機関なら、そこで受けられますよ。

「旅程管理主任研修」の内容は?日本旅行業協会の例

旅程管理主任研修とはどんなものなのでしょうか。指定研修機関の1つ「(一社)日本旅行業協会」の例を見てみます。

日本旅行業協会による「総合・国内旅程管理研修」の内容
1日目 ・旅行業法令および旅行業約款
2日目 ・国内旅程管理実務
3日目 ・国内旅程管理実務

・これまでの内容に関する修了テスト

・旅程管理業務(語学)
4日目 ・海外旅程管理実務

・語学・海外旅程管理実務に関する修了テスト
※平成31年度の例

総合旅程管理者(国内外の添乗が可能)はこのすべての科目を、国内旅程管理者の場合は、3日目の修了テストまでを受講します。

また、すでに国内旅程管理主任者資格を持っている人は、総合旅程管理研修の国内の科目と修了テストは免除されます。

修了テストでは、各科目60点以上を取れば合格。研修科目や修了テストの合格基準は、研修機関に関わらず同じです。

ただし上の日程は、あくまで一例です。

研修期間によっては、国内旅程管理研修が2日間で終わるところや、海外を合わせても3日間で終了するところがあります。

また、受講料は、研修を行う機関によっても異なりますし、受講する種類が総合(旅程管理研修)なのか国内なのか、総合の国内免除なのかによっても異なります。

教材の有無で異なる受講料が設定されていることもあるので、各機関の受講案内で確認してください。

だいたいいくらくらいですか?
総合コース25,000円~30,000円、国内だと15,000円~25,000円(いずれも税抜)くらいですね。

「旅程管理主任研修」とともに必要な「実務経験」とは

ツアーコンダクターのチーフとして働く「旅程管理主任者」となるのに必要なもう1つの要件が、添乗員としての「一定の実務経験」。

これには次のように期間が決められています。

添乗実務経験と見なされる条件(期間と回数)
  • 研修を受ける前後の1年以内で1回以上
  • 研修が終わってから3年以内に2回以上

また、添乗経験には次のようなものが該当します。

添乗の実務経験に該当するもの
  • 他の添乗員の「サブ」としての添乗業務
  • 手配旅行での添乗業務
  • 派遣会社などで行う添乗研修

「旅程管理主任者」の資格は、主任(チーフ)としての添乗に必要なもの。チーフが別にいれば、資格がなくても添乗できます。

また、「旅程管理主任者」の資格は、「企画旅行」にだけ必要なもの。

旅程管理をしない「手配旅行」では必要ないので、資格なしで添乗可能です。

そのほか、添乗員育成のために行われる添乗研修も、実務経験とすることができます。

こうして「旅程管理主任者研修」と「添乗実務経験」を経て、晴れてツアーコンダクターのチーフとしての資格が手に入るのです。

資格取得後はそれぞれの所属会社での研修や実務経験を

実は、チーフツアーコンダクター(主任添乗員)として働くには、「旅程管理主任者」資格を取るだけでなく、業務中に「旅程管理主任者証」を常に持ち歩く必要があります。

「旅程管理主任者証」は、所属する旅行会社または添乗員派遣会社ごとに発行されるもの。

所属が変われば新たに取得し直す必要があります。

え?じゃあ、まず登録する派遣会社を吟味したほうがいいですよね。
ええ、そのとおりです。

もしくは、複数の派遣会社に登録して、複数の主任者証を持つことも可能ですよ。

資格を取ってからも、いきなり実際にお客様のツアーに添乗するケースはほとんどありません。各社で研修が行われるのが一般的です。

その研修の内容や手厚さは、添乗員派遣会社によって異なりますし、添乗できるのはその派遣会社の提携先のツアーのみです。

どこに派遣登録するかは、福利厚生などの雇用条件や、無理な添乗にならないか、ツアー内容などをしっかり比較して選びましょう。

ツアーコンダクターになる前に知っておきたい仕事や給料、転職のこと」の記事も読んでみてください。

ツアーコンダクターの仕事に役立つ、おすすめの資格

ここまで紹介してきた「国内旅程管理主任者」や「総合旅程管理主任者」の資格は、仕事をするために取得が欠かせないものでした。

ツアーコンダクターとして仕事の幅を広げたり、添乗員としてのスキルをさらに上げたりするには、添乗員以外の資格も取るのもおすすめです。

添乗業務に役立つ資格を5つ紹介します。

添乗業務に役立つ資格5選
資格名 概要
TOEIC(L&R) ・英語でのコミュニケーションスキルを測る
・応募要項に目安スコアを掲載する添乗員派遣会社もある
観光英語検定 ・旅行時のあらゆる場面での専門的な用語や言い回しを習得する
観光地理検定 ・旅行先の地理や観光情報に詳しくなる
中国語検定試験 ・中国語の読解や聴解、翻訳能力を測れる
韓国語能力試験 ・韓国文化の理解、韓国語のスキルを測る

TOEICは、添乗員を目指す人に関わらず多くの人が受験しています。このスコアが英語力のレベルを表すのによく使われるので、持っていると便利です。

やっぱり、英語ができないと添乗員にはなれないんでしょうか?
総合旅程管理研修には、語学も科目に含まれています。まったくできないと難しいですね。

海外でのトラブル時は、英語を使う必要性も高いです。そのため、英語ができる人の方が添乗を任せられやすく有利でもあります。

ただ、TOEICの場合、内容はビジネスシーンで使われるものがほとんど。実用的な面では「観光英語検定」の方が役に立つ可能性が高いです。

ツアーコンダクターは観光ガイドではないので、各観光地についての知識は必須ではありません。しかし添乗員は観光にも詳しいと思われがち。

質問されたときに答えられるように観光の知識も持っておくと、参加者から高く評価してもらえる可能性もあります。

英語のほか、中国や韓国語のスキルも身につけておくと、日本から中国・韓国へのツアーのほか、中国人・韓国人向けの旅行にも対応でき、仕事の幅が広がります。

自分はツアーコンダクターに向いている?チェックしてみよう

ツアーコンダクターに興味はあるけど、自分に向いているかどうかわからない、という人も多いですよね。

ここに「ツアーコンダクターに向いている人」の特徴を8つ挙げます。興味のある人は、自分に当てはまるかどうかチェックしてみましょう。

ツアーコンダクターに向いている人
  • 旅行が好き
  • 人間が好き、おもてなし精神が強い
  • 社交的で人見知りしない
  • 責任感が強い
  • 常に平常心、冷静でいられる
  • 臨機応変、柔軟に対応できる
  • 打たれ強い
  • 体力に自信がある

これらすべてに当てはまる人は、ツアーコンダクターに向いています。

「旅が好き」なだけでは務まりませんが、旅行業界で働くならこれは大前提。高収入な業界ではないので、興味がない人にはおすすめできません。

さらにツアーコンダクターは人を相手にする仕事なので、人が好きで、「どうしたら喜んでもらえるか」などを常に考えて行動できる人に向いています。

ツアー参加者全員にまんべんなくコミュニケーションを取り、楽しい雰囲気にまとめる役割も。

人付き合いが苦手だったり、引っ込み思案だったり、周りが見えなかったりする人は、いくら旅行好きでもツアーコンダクターには向いていません。

また、ツアー中には急なトラブルに巻き込まれることもあります。不測のことがあっても冷静に、臨機応変に対応する必要もあるのです。

そして添乗員には、クレームや辛辣な言葉を受け流すくらいの精神的タフさも必要。

参加者から無理な要求をされたり、クレームを付けられたりすることもあるからです。

ツアーコンダクターは体力的にも楽ではありません。

倒れるわけにはいかないので、体力も必要ですよ。

ツアーコンダクターの仕事内容とは?メリットやデメリットも解説」「ツアーコンダクターの給料ってどれくらい?給与アップの方法も紹介」もぜひ参考にしてください。

ツアーコンダクターの資格は「旅程管理主任者」

ツアーコンダクターには「旅程管理主任者」の資格が必要。これは主任添乗員(チーフ)として仕事をするために欠かせないものです。

この資格には、国内のみ添乗ができる「国内旅程管理主任者」、国内・海外両方のツアーに添乗できる「総合旅程管理主任者」の2種類があります。

指定の研修と添乗経験を経て、旅程管理主任者証を発行してもらう流れです。

転職でツアーコンダクターを目指すなら、添乗員派遣会社に登録するのが近道。資格以外の研修内容や福利厚生なども派遣会社によってさまざまなので、比較してみてください。

仕事の幅を広げるため、この記事で紹介した別の資格を取るのもおすすめです。

ツアーコンダクターは誰にでも向いているわけではありません。向き不向きもチェックしておきましょう。

※掲載の情報は2019年10月現在のものです。

 

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