サービス残業は当たり前なんかじゃない!明らかな違法行為です
場合によってはあなた個人にも6ヵ月以下の懲役または30万円以下の罰金が科されますよ!
この記事では、いわゆる「サービス残業」と呼ばれる残業代の不払いに関して、その違法性と当たり前になっている実態、対処方法について説明します。
「サービス残業(賃金不払い残業)」は労働基準法違反
時間外労働は会社が従業員に命じて行わせるものであり、使用者(会社)はその時間分も賃金を支払う義務があります。
「サービス残業」とは、法定労働時間外※にも関わらず、働いた分の賃金が支払われない残業のこと。
法律で定められた労働時間の限度のこと。1日に8時間、1週間に40時間までと定められている。
サービス残業は労働基準法に違反します。しかも時間外労働には賃金の割増をするように定められているのです。
「サービス」という言葉からは事の重大さが伝わりにくいですが、いわば「タダ働き」。深刻な問題です。
36協定の提出なく残業をさせているのであれば、「残業代を支払わない」どころか「残業させること」自体が労働基準法に反するのです。
この「36協定」による残業時間にも上限はあります。詳しくは次の記事で解説しているので読んでみてください。
上司による指示を会社が黙認していた場合は、会社も30万円以下の罰金となりますよ。
サービス残業の実態を紹介!さまざまな「サービス残業」の種類
一言で「サービス残業」といっても、いろんなケースがあります。
しかし次のどれに当てはまろうと、違法には違いありません。
- 残業を申告できない雰囲気が社内にある
- 残業時間に上限設定があり、その時間を超えた残業代は支払われない
- 残業代が給料に含まれているという理由で、それ以上は支払われない
- 強制的に定時でタイムカードを切らされる、残業時間を少なく変更される
- 業務に必要なことを業務時間外にさせられる
当社がインターネット上で行った「転職経験のある全国の男女約1,000人」へのアンケート結果からも、さまざまなサービス残業の実態が見えてきます。
・月15時間を超えた分はサービス残業になった。(32歳/男性)
・残業はみなし残業のみで、残業した場合は絶対にタイムカードを押してはならないルールがあった。(38歳/男性)
・残業する際は、定時にはタイムカードを切らされ、それから残業するよう上司に指示された。(24歳/女性)
・退勤後は「スキルアップ」という名のサービス残業を行い、どれだけの時間に何をしたか、報告しなくてはならなかった。(27歳/男性)
残業手当ってもらえるんでしょうか。
参加が自由であり、参加しなかった場合の罰則や査定に響くなどの不利益もないのであれば、そのセミナーや研修などは業務と見なされません。
その場合の残業代支払いを命じた裁判例もありますよ。
しかし仕事のための勉強については、意見が大きく分かれます。
「未経験で即戦力にならないんだから、時間外に勉強するのは当たり前」と考える人は、労働者側にも少なからずいるのです。
それに比べて今の若いヤツは、仕事もロクにできないくせに権利ばっかり主張しやがって。
あなたがた上司には、部下に残業させないよう業務を調整・管理する義務がありますよ。
サービス残業は違法行為!政府も黙って見ているわけじゃない
全国の労働基準監督署では、時間外労働などに対する割増賃金を支払っていない企業に対し、労働基準法違反として是正するよう監督指導を行っています。
厚生労働省が公表した、平成28年度の是正結果は次のとおり。
是正対象の企業数 | 1,349企業 |
---|---|
支払われた割増賃金合計額 | 127億2,327円 |
対象労働者数 | 97万7978人 |
是正指導により支払われた割増賃金の平均は、1企業あたり約943万円、従業員ひとりあたり約13万円という数字が出ています。
しかも184の企業が1,000万円以上の割増賃金を支払ったというから驚きです。
この結果はあくまで従業員からの申告や情報にもとづいて行われた監督指導案件のうち、支払額が合計100万円以上となった企業のみ。氷山の一角とも考えられます。
是正は不払い分を支払って終わりですか?それだと繰り返されそうです。
内容は企業によって異なりますが、定期的にタイムカードとパソコンのログ記録、実働時間との矛盾がないかを確認したり、労働組合との議論が行われたりしているんです。
サービス残業をなくすためにはどうしたらいい?対処法を紹介
繁忙期などに残業するのは仕方ないとしても、「残業代がもらえないのは我慢できない」という人も多いですよね。
この章では、サービス残業をなくすための対処法をお伝えします。次の順に検討してみてください。
「訴訟を起こす」という選択肢もありますが、在職中には特に推奨できません。その理由は後ほど「個人で会社を訴えるには大きなリスクが伴う」の章で説明します。
会社との交渉は労働組合を通し、会社全体で改善に取り組むのがベター
「個人で会社を相手にするのはリスクが大きい」「サービス残業について対処してほしいけど、会社は辞めたくない」、でもどうにかしてサービス残業をなくしたいですよね。
それなら、労働組合を通じて会社と交渉するなど、まずは社内でサービス残業撲滅への取り組みを呼びかけましょう。
労働組合による雇い主との団体交渉は、憲法で認められた労働者の権利です。
雇い主は、正当な理由なく団体交渉を拒むことができません。単に話を聞くだけでなく誠実に対応し、解決策を模索することも義務付けられています。
ひとりで上司に交渉しても、「そう思っているのはあなただけ」「あなたの仕事のやり方が間違っているのでは?」と相手にされないことが多く、改善は難しいのです。
労働局の「総合労働相談コーナー」など社外の窓口に相談しよう
社内の労働組合を通して交渉してもサービス残業が解消されない、あるいは労働組合員の同意が得られず交渉すらできないこともあります。
社内で解決できなれば、社外に託すしかありません。窓口は主に2つ、都道府県にある労働局と労働基準監督署です。
労働局には、職場のトラブル解決を支援する次の3つの制度があります。
- 総合労働相談コーナーでの情報提供・相談
- 都道府県労働局長による助言・指導
- 紛争調整委員会によるあっせん
総合労働相談コーナーは、各都道府県の労働局をはじめ全国380カ所に設置されており、相談は無料ですし予約も不要です。
「総合労働相談コーナー ◯◯(都道府県名)」でインターネット検索してみてください。
労働局で相談した内容に労基法違反の疑いがあれば、行政指導の権限を持つ部署に取り次いでくれます。
しかし申告が会社にバレた場合、表向きは違う理由で担当の仕事を外されるなどのケースがあるのも現状です。
労基署が臨検を行うのは、計画的に対象企業を選定したり労災が発生したりした企業のほか、従業員からの申告によっても行われます。
労基署では、サービス残業について行政指導を求める申告も受け付けているのです。
「労働条件相談ホットライン」に電話して具体的な事情を話し、臨検などサービス残業への対応を求めましょう。
電話番号 | 0120-811-610 |
---|---|
相談時間 | 平日:午後5時~10時(水曜・年末年始を除く) 土日:午前10時~午後5時 |
ただし労働基準監督署の立ち入り検査などがあっても、上層部の意識や金銭的問題によってはサービス残業が改善されない企業もあるのが現状です。
個人で会社を訴えるには大きなリスクが伴う
毎日当たり前のようにサービス残業をさせられ改善の見込みもなければ、上司や会社に「訴えてやる!」と言いたくもなりますよね。
しかし、サービス残業代を個人で請求したり裁判に持ち込んだりするのは、次の理由からおすすめできません。
- サービス残業を立証する手間がかかる
- 会社に居づらくなる
- 職場の人間関係にも亀裂が入る
- 弁護士などの費用がかかる
給与明細書や労働条件の通知書、賃金規定やタイムカードなど出退勤の記録を集めましょう。
実際、同僚が会社を訴えたことがきっかけで、退職せざるを得なくなった人も知っています。
それでも「訴えた同僚に憤りを感じ、勤め続けるのが精神的に辛くなってしまった」とのことでした。
もちろん、非があるのは残業代を支払わない会社側です。「訴えてやっつけたい」「働いた分はお金をもらわないと気が済まない」という気持ちも当然のもの。
しかし、仲間や仕事を失うという代償が付く可能性も覚悟しなくてはなりません。
経営状況によっては会社が倒産して全員が職を失い、逆に恨みを買ってしまうおそれもあります。
その場合は、労働基準法により請求権には2年という時効があるので注意してください。
サービス残業改善の望みがないなら転職を考えてみよう
「サービス残業はもうしたくない」「でも今の会社では改善が望めない」のであれば、思い切って転職も視野に入れてみましょう。
その際には、次も「サービス残業が当たり前」の会社に入ってしまわないよう、転職先の社員の勤務状況を入念に調べておくことが重要です。
各都道府県の労働局のサイトにある「事案・統計情報」では、労基法などに違反した企業名とその内容を公表しています。まずはチェックしてみてください。
企業研究の方法については、次の記事でも解説しています。
いわゆる「ホワイト企業」なら、社員が働きやすい環境が整っている可能性が高いです。次の記事も参考にしてみてくださいね。
ブラック企業の見分け方は、求人情報からも見て取れます。こちらの記事も読んでみるのをおすすめします。
転職の方法を紹介した記事もあるので参考にしてください。
ひとりで情報収集することや転職そのものに不安がある人は、転職のプロである転職エージェントに相談してみましょう。
転職エージェントには、さまざまな企業情報に精通したキャリアアドバイザーも在籍しています。
その際は、いくつかの転職エージェントを併用するのがおすすめです。詳しくは次の記事を読んでみてくださいね。
おすすめの転職サイトや転職エージェントを紹介した記事もあります。
サービス残業は違法!労働組合で解決できなければ転職も視野に
サービス残業撲滅には、労働組合の場で問題提起をするなど大勢の社員を味方につけて会社と交渉するか、労働局などに相談する方法がおすすめです。
サービス残業をなくすために個人で会社に交渉しても、相手にされないことが多いです。訴訟などには金銭面だけでなく精神面でもリスクが伴います。1人でサービス残業の証拠を集めるのも大変な作業です。
それでもサービス残業が横行する状態が続くのなら、この機会に転職も視野に入れてはどうでしょうか。身体や心の健康を害してしまう前に考えてみてください。
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働いた分のお給料がもらえないなんて、こんなことがまかり通っていいんでしょうか?