タクシー運転手への転職ってどう?メリットから今後の動向まで解説
タクシー運転手の給料は歩合制。自分の努力や工夫がモノを言う世界です。
また、お客さんとのコミュニケーションや交通事故防止など、常に神経も使います。
この記事では、タクシー運転手への転職を考える人のために、メリットやデメリットを説明。給与や労働時間のほか、業界の動向についても解説します。
まずはタクシー運転手のメリット・デメリットをおさえよう
どんな仕事にも、働く上で良い点・悪い点はありますよね。
タクシー運転手にはどんなメリット・デメリットがあるのか、表にまとめてみました。
メリット | デメリット |
---|---|
・働き方が選べる (昼勤、夜勤、隔日勤務など) ・乗務時間中は比較的自由がきく (休憩のタイミングなど) ・社内の人間関係にわずらわされにくい ・仕事は1日で完結する ・隔日勤務※なら1日おきに休める |
・交通事故のリスクが伴う ・収入が安定しない ・客とトラブルになる可能性もある ・隔日勤務(※)だと1日の拘束時間が長い ・身体にも負担がかかる ・周囲のイメージがあまり良くない |
タクシーの仕事は、一般的なサラリーマンと比べて自由度が高いです。
勤務体系は「隔日勤務」や「夜勤」などが選択可能。乗務時間内は、どこで客を探すか、いつ休憩を取るかなどを自分で決められます。
嫌な上司がいたとしても、いったん会社を出れば顔を合わせる必要がありません。
しかしタクシー運転手は、心身ともにストレスが溜まりやすい仕事でもあるのです。
デメリットとしてまず挙げられるのが、自動車事故のリスク。
命の危険はもちろんのこと、事故の程度が軽めだったとしても、事故処理の時間やケガなどで休んだ日の分は売り上げがゼロになってしまいます。
運転や接客に神経を使うほか、運転中は同じ姿勢で身体にも負担がかかります。
「隔日勤務」や「夜勤」という働き方も、疲れやすくなる原因の1つ。
生活リズムが乱れがちなため、慣れなかったり自己管理ができなかったりすると、体調を崩しやすいです。
当サイトの別記事「タクシー運転手の仕事内容や勤務シフト、メリット・デメリットを解説」では、タクシー運転手の1日の仕事の流れや勤務体系についても紹介しています。
タクシー運転手は他の仕事より給料が低く、労働時間が長い?
タクシー運転手の給料や労働時間の特徴として、次の2点が挙げられます。
なんかもういいとこナシないじゃないですか。
それぞれについて見ていきましょう。
タクシー運転手の平均給料は、全職種の平均給料に比べて低い
賞与などを合わせた年収は、約346万円です。
これは、すべての職種の平均と比べて、月給にして約6万円、賞与などを含む年収にして約150万円低い結果となっています。
ただし、この数字はあくまで「平均」の値。
タクシー運転手の給料は歩合制なので、良くも悪くも「自分次第」です。
歩合の率は会社によって異なりますし、売上によって変わる会社もあります。
いずれにしても収入には、自分が稼いだ売り上げがダイレクトに反映されるのです。
仕事に取り組む姿勢が違えば、当然売り上げにも差が出ますよね。
タクシー運転手の給料については、「タクシー運転手の給料ってどれくらい?年代別やトラックとの比較も」の記事でさらに詳しく紹介しています。
タクシー運転手の労働時間は、全職種の平均労働時間に比べて長い
夜遅くまで働くタクシー運転手には、「労働時間が長そう」というイメージもあります。
確かにタクシー運転手の労働時間は「全職種の平均よりも長い」という調査結果が。
タクシー運転手 | 全産業平均 | |
---|---|---|
所定時間内の労働時間 | 168時間 | 164時間 |
時間外の労働時間 | 26時間 | 13時間 |
特にタクシー運転手の時間外労働時間は、全産業平均の倍の長さです。
運転手への負担が大きい給与体系、それ自体を見直す必要があるとの声も上がっているのです。
タクシー運転手を取り巻く状況、離職率や自動運転との関係
タクシー運転手への転職を考えるとき、ドライバーの現状や今後の業界の動きなども気になりますよね。
この章では、気になる次の3つの点を見ていきましょう。
それぞれ説明します。
「タクシー運転手の離職率は高い」かどうかは定かでない
いつでも求人募集をしているタクシー会社って多いですよね。
そのためタクシー運転手には「離職率が高い=長続きできない仕事」というイメージを持つ人も。
しかし「タクシー運転手の離職率が高い」という話には、明確な根拠は見つかりませんでした。
タクシー運転手単独での離職率は政府も公表していません。参考となるのは鉄道や船、トラックやバスなどを合わせた「運輸、郵便業」全体の離職率。
特に宿泊・飲食サービスと比べると、離職率は半分以下。特に高いとは言えません。
また、タクシー運転手の人数が年々減っているのは事実ですが、タクシー会社の数も減っています。
そのため、タクシー運転手の人手不足と離職率の関係性は不透明です。
ただ、運転手の高齢化は深刻で、タクシー運転手の平均年齢は「59.9歳」。
全産業の平均年齢42.9歳と比べ、17歳も上回っています(平成30年「賃金構造基本統計調査」)。
女性を積極的に採用しようと、女性用の設備を充実させたりする会社も増えてきていますよ。
タクシーの自動運転実用化も近い?しかし、強みを活かせば需要はある
「タクシーの運転も、AI(人工知能)に取って代わられるんじゃないか」と心配する人も多いのではないでしょうか。
タクシーの自動運転については、すでに実用化への動きが始まっています。
日の丸交通と自動運転技術などの開発を行うZMPとが手を組み、2018年8月に世界初となる自動運転タクシーの実証実験を行いました。
実用化は、2020年を予定しています。しかし決まったルートを走るのみ。どこにでも行けるようになるには、さらに10年以上の時間がかかると考えられています。
もちろんまだ課題も多く、予定通りに実用化されるとも限りません。
自動運転ではできないこともありますから。
たとえ「運転技術」が自動化されても、タクシー運転手にしかできない「サービス」があります。
自動運転と「ヒト」との最も大きな違いは、相手に合わせたきめ細やかな接客ができるかどうか。
自動運転では、次のようなことは難しいと考えられます。
- 乗客の乗り降りの手助け
- 重い荷物の上げ下げ、持ち運び
- 高齢者や障害者のケア
- 妊婦や子ども向けのサービス
- 観光案内
- 事故時の初動対応
- 乗客の予定変更など臨機応変な対応
タクシー運転手にしかできないサービスができる、自分だからこその強みを持っている運転手は、自動運転とは一線を画すことが可能。引き続き活躍できる場があるのです。
タクシー運転手を取り巻く環境の変化
自動運転以外にも、タクシー運転手を取り巻く状況は変わりつつあります。
たとえば「相乗りタクシー」の導入。
政府は、目的地が同じ方向の人同士が同じタクシーに乗り込む「相乗りタクシー」の解禁に動き出しています。
1人で乗るよりも安くタクシーに乗れるのが、利用客にとって大きなメリットです。
このほか、一般のドライバーが自分の車の空席に同乗者を募る「ライドシェア」を解禁するよう求める声も。
日本では、有償の(ガソリン代などの実費を越えたお金を受け取る)ライドシェアは「白タク行為」として原則禁止されています。
また、過疎地域など一部の市町村・NPO法人に認められている「自家用有償旅客運送」についても、タクシー会社との連携を視野に入れた制度の拡大が検討されているのです。
そのため、「安全性に問題がある」「タクシー運転手の仕事が奪われる」という反発の声も強いんです。
女性や新卒者の採用強化、配車アプリの開発や人工知能を利用した需要予測、広告動画の視聴で割引クーポンを発行するサービスなどが始まっています。
転職するタクシー会社を選ぶときは、こういった将来に向けての戦略の有無も確認するのがおすすめです。
競争に勝ち残れないタクシー会社は、時代の流れに淘汰されてしまうかもしれません。
こちらの記事では、タクシー運転手のストレスや向き・不向きについても解説しています。
タクシー運転手に必要な「二種免許」については、「タクシーの運転に必要な二種免許、受験資格や費用などを解説」の記事をご覧ください。
効率よく探せる、業界ならではの情報が手に入る、と言ったメリットがありますよ。
「タクシーの求人サイトはどこを使うべき?おすすめをニーズ別に紹介」の記事を参考にしてくださいね。
タクシー運転手は自分次第で稼げる仕事!いかに強みを持てるかが重要
精神的にも身体的にも楽ではないので、「気楽に高収入を」と楽観視して転職すると後悔してしまう可能性も。
タクシー運転手の仕事は自由度が高い反面、収入や安全面での責任も自分次第です。
周囲のイメージや人手不足、高齢化や自動運転など、タクシー運転手を取り巻く環境には厳しい面もあります。
しかし、自分の意識や努力、工夫次第で大いに活躍できる可能性のある仕事。
周囲のイメージにとらわれず、誇りを持って働ける人にはタクシー運転手が天職となるかもしれませんね。
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僕みたいに朝から晩まで上司にイヤミを言われることもないし、気ままそうでいいなぁ。