希望退職とは?メリット・デメリット&迷ったときのチェックポイント
「希望退職」とは、人員削減などの目的で会社が退職希望者を募るものです。
定年よりも早く退職する代わりに、退職金の割増などのメリットが設けられるのが一般的。
社内で希望退職の募集があった場合、応じるかどうか迷う人も多いのではないでしょうか。
この記事では、会社が希望退職を募る目的や、社員側のメリット・デメリットを解説します。
希望退職に似た「早期退職制度」についても説明するので参考にしてください。
希望退職とはどんなもの?早期退職との違いも知っておこう
冒頭でも述べたように、希望退職とは企業が社員に定年前の自主的な退職を呼びかけるもの。
特定の個人に解雇や退職勧奨をする前の段階で、社員全体、もしくは職種や部門単位で対象者を限定するのが一般的です。
募集は期間を区切って行われ、退職金が積み増しされるほか、希望者には再就職への支援を行う企業も多いです。
企業が希望退職者を募る目的は、主に人員の削減。業績悪化や今後の見通し、満額での退職金支払いによる経済的損失などを見越して行われています。
似たような言葉に「早期退職」「早期退職優遇制度」がありますが、こちらは希望退職と同義で臨時に募集されるケースのほか、常設の制度として人員のバランス調整に用いられる場合もあります。
希望退職に応じての退職は会社都合か自己都合退職か
希望退職は会社からの働きかけによるものなので「会社都合」であるものの、それに合意して退職を決めるのは自分なので「自己都合」とも思えますよね。
法律上は、「会社都合退職」「自己都合退職」といった区分があるわけではありません。
ここで最も気になるのは、失業保険の給付に制限があるかどうか。
希望退職に応じた退職には、一般的な自己都合退職のような2~3カ月の給付制限はありません。
ハローワークに手続きに行き、手当が支給されるまでに必要なのは7日間の待機期間のみ。
ただし、状況によって次のいずれかと判断されるため、それによって給付日数などに違いがあります。
特定受給資格者 | 会社から直接あるいは間接的に退職するよう勧奨を受けたことによる離職
・人員整理が目的で、募集が離職前1年以内、かつ募集期間3カ月以内に限る |
---|---|
特定理由離職者 | 上記以外で、人員整理等による希望退職者募集に応じた離職
・この場合は「正当な理由のある自己都合退職」とされる |
常設の制度となっている「早期退職優遇制度」や「選択定年制度」などを利用して退職した場合は、どちらにも当てはまりません。
希望退職者の募集に応募しても、認められないことはある
希望退職には法的な規制や強制力、決まりはありません。強制ではないので応じないのも自由です。逆に、応募したのに引き止められる可能性も。
希望退職は広く募集することが多く、「この人に辞められたら業務に支障がある」など会社にとってより有益と判断された人は認められないこともあるのです。
とは言えこの引き止めも強制ではないので、どうしても希望退職にしたいなら話し合いをする必要があります。
希望退職に落とし穴はないの?メリット・デメリットを把握
会社から希望退職者の募集がある場合は、退職金の増額などのメリットとともに説明されます。
でも、そこまでのお金をかけてでも社員を減らしたいというのが会社側の狙い。「いいことばかりじゃないのでは?」と思ったりもします。
希望退職に応じるとどんなメリット・デメリットがあるかを整理してみましょう。
金銭面だけじゃない!希望退職の5つのメリット
希望退職のメリットは、主に5つ挙げられます。
- 退職金の積み増しが受けられる
- 退職後すぐに失業手当が受け取れ、場合によっては受給期間も長い
- 今の会社・仕事でのストレスや悩みから解放される
- 転職面接で、前職の退職理由を説明しやすい
- これからの人生について考え直すきっかけができる
希望退職の最大のメリットは、退職金が増えること。
退職金の額は企業によって異なりますが、増額を条件とすることは間違いないでしょう。
退職者のうち半数以上が非正規社員のため、正社員にはより多くの退職金が支払われると考えられます。
また、希望退職に応じた場合は、前の章でも述べたように7日間の待機期間以降の給付制限がありません。
特定受給資格者(人員整理が目的で、募集が離職前1年以内、かつ募集期間3カ月以内)と判断された場合、被保険者期間や年齢によっては受け取れる期間も長くなります。
希望退職のメリットは、金銭面以外にもあります。
通常の転職では、退職理由をどう説明するかに困る人が多いです。その点、希望退職に応じたのであれば理由は明確。不満があって転職したわけではないので、転職理由も前向きでポジティブなものになるでしょう。
もちろん、仕事に不満があった人もこの機に乗じて環境を変えることができたり、人間関係の悩みも一掃できたりするメリットもあります。
改めて、今後の人生をどう進んでいくのかを考えるよい機会です。
退職を軽く考えるのは危険!希望退職の5つのデメリット
希望退職に応じることには、次のようなデメリットもあるので注意が必要です。
- 安定した収入や地位を失う
- 転職先が見つかるとは限らない
- 無職期間が長いと将来の年金に影響する
- 転職による収入アップは難しいことも
- 転職先で新たな悩みやストレスに苦しむおそれも
希望退職の最大のデメリットは、現在の地位や収入など、その会社で働いていたからこその恩恵がなくなること。
その先転職するにしても、特に40代以降になると必ずよい転職先が見つかるかどうかは不透明です。
転職できなければ保険料や税金の支払いなどでも経済的な負担が増えますし、無職期間が長くなると精神的にもきつく、将来もらえる年金額にも影響する可能性が。
転職できたとしても、年が上になるほどそれまでと同等の給料、もしくはそれ以上の給料で雇われる可能性は低くなります。
さらに、人間関係も一から構築しなくてはならず、年下の上司の指導を受けてプライドを傷つけられるなど、苦労する人も多いのです。
年齢と退職によるリスクも十分考慮した上で、どうするかを決めてくださいね。
応募する?しない?希望退職の応募の判断基準とは
たとえば前から転職を考えていたのであれば、好条件で退職できるチャンスですよね。
でも転職など考えたこともなかったのなら、慎重になる必要があります。
次のような視点で考えてみてください。
- 退職後のビジョンは明確か
- 他社でも確実に需要のある経験やスキルがあるか
- 退職後の仕事につながる人脈があるか
- これまでと異なる方針・手法などにも柔軟に対応できるか
- 年下の部下にも謙虚に教えを乞うことはできるか
- 収入が下がる・待遇が悪くなることへの覚悟はあるか
- 家族の理解は得られるか
「YES」と答えられる項目が少ないほど、希望退職には向かないと言えます。
退職後は、独立や転職などいろんな道が開けているイメージですよね。
しかしある程度のキャリアを積んでからの退職・転職、しかも自発的でない場合には、「こんなはずでは」と後悔するリスクがあちこちに潜んでいるもの。
独立なら持続できる営業力や人脈なども必要ですし、収入面の見込み・目安を立てることも大切。軌道に乗るまでは大幅な収入減も覚悟しなくてはいけません。
転職では、他社からも需要のある能力を持っているか、社風や立場が違っても環境に溶け込めるか、収入が下がる覚悟はあるか、が重要なカギです。
ただし、年齢やキャリアを重ねるほど新たな環境に適応するのが難しくなりますし、新たな仕事を覚えること・人間関係を築くことにも、想像以上のエネルギーを奪われます。
これまで恵まれていた環境にいた人は特に、当たり前に思っていた待遇面などの恩恵が実は大きかったのだと、辞めてから気づかされる人が多いのです。
自分の味方になってくれるのは、会社ではなく家族です。きちんと話し合ってくださいね。
退職して少しくらいはのんびりできるお金があるとしても、希望退職後の転職先はなるべく早く決めるのがおすすめです。安心なのは、在職中に転職活動を始めること。
無職の期間が長くほど、転職はより難しくなります。
せっかく失業保険がすぐにもらえるなら、少し休んで金もらいながら転職先を探したっていいんじゃねーの?
それをあてにするより、仕事を決めたほうが得策ではないでしょうか。
もともと転職希望なら希望退職は渡りに船!ただし決断は慎重に
応募すると、退職金が増えたり、失業保険の支給が自己都合退職より早く始まったりするメリットがあります。
以前から転職を考えていた人であれば、好条件で退職できる希望退職は渡りに船とも言えるチャンス。
しかしそうでない人は、どうするかを慎重に決める必要があります。
転職先がすぐに決まらなかったり、希望条件より低い転職先しか見つからなかったり。退職することのデメリットも把握しておきましょう。
希望退職に応じるなら、失業保険をあてにするより転職先を早く見つけるのがおすすめです。
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