退職を引き止められた時、会社が辞めさせてくれない場合の対処法

退職を引き止められた時、会社が辞めさせてくれない場合の対処法

転職先が決まったり、転職活動をするために現在勤めている会社に退職を申し入れた時に、『やめないでほしい』と引き止めにあうケースは少なくありません。

『あなたが必要だ、いなくなっては困る』と情に訴えてくるケースもあれば、『勝手に退職を決めるなんて契約違反だ、絶対にやめさせない』と強引な態度に出てくることもあります。

このような退職の引き止めにあうと、どう対応してよいのか困ってしまいますよね。中には、退職すること自体を悩んでしまう人もいるかもしれません。

実際のところ、現職で退職を引き止められた場合、あるいは会社が辞めさせてくれない場合、どのように対応するのが正解なのでしょうか?適切な対処法について、ご紹介したいと思います。

退職の引き止めがしつこい…辞めるのは無理?

退職を申し入れた時に、すんなり受け入れてもらえるケースというのは、なかなかありません。たいていの場合は、多かれ少なかれ引き止めにあいます。

中には、退職の話を詰めようとしてもきちんと聞いてもらえなかったり、『本当に辞めるなら会社に損害を与えるので、損害賠償請求する』などと、半ば脅しに近いような引き止め方をしてくることもあるようです。

このようにしつこく退職を引き止められた場合、退職を実行に移すことは難しいのでしょうか?また、どう対処すれば、問題なく退職することができるのでしょうか?

退職の自由は労働者の権利!法律上の退職に関する取決めとは

しつこい退職の引き止めにあって困っている方に、ぜひ知っておいてほしいのが、退職の自由は法律によって保障されている労働者の権利であるということです。

民法において、期間の取決めのない雇用契約はいつでも解約=退職の申し入れをすることができると定められています。
会社側が認める・認めないにかかわらず、労働者側が退職の意思表示をしてから2週間が経過すれば、退職が可能になります。

つまり、会社側がいくら『辞めさせない』『〇月までは退職を認められない』などと言っても、2週間という予告期間を設けさえすれば、働いている本人の意思で退職することが法律上は可能なのです。

雇用契約や就業規則によっても違う!予告期間に要注意

退職の申し入れの予告期間については、少し注意が必要です。

会社によっては、就業規則などで予告期間を2週間以上に定めていることもあります。また、民法上でも、予告期間の取決めにはいくつかの例外があります。

例えば、月給制の雇用契約を結んでいる場合は、前月の前半のうちに退職の申し入れをしておかなければ、翌月に退職することができません。

年俸制のような6カ月以上の期間で報酬を定めている場合には、さらにのびて3か月の予告期間を設けることが必要になります。

就業規則や雇用契約によって、予告期間は異なってくるので、必ずきちんと確認するようにしてください。

『辞めるなら損害賠償!』これって本当に可能なの?

『辞めるなら損害賠償請求してやる!』などと言われると、本当に訴えられてお金を払わなければならなくなることもあるのかと、とても不安になってしまいますよね。

基本的には、上記の法律的な手順を守って退職を進めているのであれば、損害賠償請求をする方が不当であり、賠償責任が認められることはまずありません。

会社側もたいていの場合はそのことをわかっているので、ほとんどは単なる脅しに過ぎないのです。万が一、本当に損害賠償請求の訴えを起こしてきたとしても、それが通る心配はほぼないでしょう。

しつこく脅されたり、本当に訴えられたりして、どう対応すべきか困ってしまったら、早めに弁護士などの専門家に相談して適切に対処するようにしましょう。

雇用契約に期間の取り決めがある、契約社員やパート・アルバイトなどの非正規労働者の場合、退職の自由は認められないということでしょうか?
期間のある雇用契約に関しては、期間中は原則として、やむを得ない事情がない限り退職はできないとされています。ただし勤続1年以降は、正社員と同様いつでも退職の申し入れができるようになりますよ。

会社や自分のため?それとも…上司が退職を引き止める3つの理由

あまりにも熱心に退職を引き止められたり、情に訴えかけるような引き止め方をされると、なぜここまで一生懸命に退職を引き止めようとするのだろう?と戸惑ってしまいますよね。

上司が退職を引き止める理由は、大きく分けて3つ考えられます。

  • 会社にとって負担になるから
  • 上司本人にとって不利益になるから
  • 転職が本人のためにならないから

会社にとって、従業員の退職というのは決して小さな出来事ではありません。人員が減れば、その分の業務が振り分けられて1人1人の負担は増します。必要であれば人事異動・新規採用なども行わなければなりません。つまり、余分な業務が増えてしまうのです。

特に替えのききにくい専門職や、役職者・責任者などそれなりに立場がある人の場合、退職されることによる会社全体の負担増が大きいので、強い引き止めにあいやすいでしょう。同様の理由で、そもそもの従業員数が少ない中小企業も、引き止めが強い傾向にあります。

また、直属の上司というのは、部下の管理責任を問われる立場にあります。したがって、退職者を出したことでさらに上の立場の人から叱責を受けたり、最悪の場合、人事評価を落としてしまうこともあるのです。

退職を引き止める上司の本音というのは、たいていの場合、このような会社や自分自身の利益を第一に考えています。しかし中には、本当に本人のためを思って引き止めているケースというのもないわけではありません。

転職するにしても、もっと現職でスキルやキャリアを積んでからの方が良い条件で職探しができるという場合や、転職先の企業に不安要素がある場合などです。

日ごろから長い時間を共有し、指導に当たっている直属の上司だからこそ分かることというのも、確かにあります。

強く引き止めに合った場合、頭ごなしに『どうせ会社のため、自分のために言っているんだ』と決めつけてしまわず、少し耳を傾けてみる冷静さも必要かもしれません。

会社のためではなく、本人のことを考えて退職を引き止めることもあるんですね。そう言って引き止められたら、素直に応じてしまいそうです。
人によっては、引き止めやすくするためにわざと転職先の悪い情報を伝えてくることもあるかもしれませんよ。与えられた情報をうのみにせず、必ず自分でも確認するようにしてくださいね。

退職の引き止め、考え直すべき?退職理由別アドバイス

しつこく退職を引き止められると、『もしかして退職を考え直すべき?今の会社に残った方がいいのかも…』と悩んでしまう人もいるでしょう。

もちろん、人それぞれ退職の理由も状況も様々ですから、引き止めにしたがって退職を考え直すべきかどうかというのは、一概に言えることではありません。

しかし、場合によっては考え直してもよいケースというのもあるかもしれません。退職理由別に、引き止めに応じるべきなのかどうかということについて、少し考えてみましょう。

待遇面に不満…労働条件が改善されるなら、残留もありかも

退職理由が給与や労働時間、サービス残業の多さなど、待遇面にあるのであれば、それを職場に伝えることで、待遇の改善を条件に慰留してくることも考えられます。

待遇面に不満がある場合、提示された改善条件に納得ができれば現職に残るという選択もありかもしれません。

ただし現職に残ることを決めた最初のうちは、条件がきちんと守られたとしても、時間が経っていくうちにズルズルともとの労働条件に戻っていってしまうというリスクもあります。

情に流されず、本当に約束された条件が守られるような職場かどうか、きちんと冷静に考えて判断しましょう。

業務内容に不満…現職の責任と自分の希望、どちらを優先する?

自分自身が希望した仕事や業界ではないというように、業務内容に不満があって退職を決めた場合、待遇や職場環境自体には満足していると、引き止められて心が揺れてしまうかもしれません。

また、現職で築いてきたキャリアを捨てることへの葛藤や、任されている仕事への責任感も、気がかりになることでしょう。

それでも、自分の希望ややりたいことが明確で、それを実現する見通しを明確にたてられているのであれば、やはりそちらを優先することをおすすめします。

自分が抜けることによってできる穴が心配なのであれば、引継ぎや残務処理を十分にしていけば問題ありません。場合によっては、そうした退職の準備のために退職日を延期するという判断もありでしょう。

もちろん、改めて考えてみて、やっぱり今の仕事を置いて退職することはできないと思うのであれば、退職を反故にするという道もあります。ただし、会社に気を遣って、自分自身の気持ちや人生を犠牲にする必要はありません。

職場環境のストレス…無理は禁物!時には逃げ出すことも必要

退職を決めた人の中には、人間関係などの職場環境が原因という人もいるでしょう。

このようなケースでは、強く引き止められたり、『この程度のことでやめるのはおかしい』などと否定されてしまうと、退職することを諦めてしまいがちです。

しかし、毎日長い時間を過ごす職場の環境というのは、思った以上に大きな要素です。引き止めに応じて無理に働き続けて、結果として体や心を病んでしまっては元も子もありません。

そこまで追いつめられてしまえば、落ち着いて転職先を探すこともできないかもしれません。

そうして本当に働き続けられないところまで行きついてしまったときには、会社はあなたの生活の面倒を見てくれるわけでも、責任を取ってくれるわけでもないのです。

職場環境が退職を考えるほどのストレスになっていて、退職すればその状況から抜け出すことができるとわかっているのなら、引き止めに応じる必要はありません。

逃げていると言われてしまうかもしれませんが、自分を害するものからは思い切って逃げてしまうのも大切な手段なのです。

もしやりたい仕事だったら、待遇の改善をすると言われれば引き止めに応じてしまいそうです。本当に改善後の条件が守られるかどうか、どうやって判断したらよいのでしょうか?
提示された条件が現状の職場の状況から見て実現可能なものかというのが重要なポイントです。例えば残業を減らす、休日を増やすと言われても、それが可能な業務量でなければ現実問題として続けていくことはできませんよね。

しつこい退職の引き止め、穏便に断る3つのポイント

しつこく退職を引き止められ続けたからと言って、一度決めた退職という選択がそう簡単に覆ることはありませんよね。

しかし、それまで曲がりなりにも何年も勤め続けた会社であれば、慰留を断るにしてもできるだけ穏やかに済ませたいものです。

そこで、しつこい退職の引き止めを穏便に断るための、3つのポイントをご紹介します。

  • 退職するという意思を明確にし続ける
  • 謙虚な態度を心がける
  • 会社側が認めざるを得ない退職理由を伝える

退職の引き止めを確実に断るために、最も重要なのは退職するという意思表示をはっきりとし続けるということです。

優柔不断に迷う様子を見せたり、安易にその場しのぎで『少し考えさせてください』などと言ってしまうと、相手は期待します。そして期待した分、最終的に断った時に、『考えるって言ったじゃないか!』などと怒りを感じる可能性もあるのです。

本当に迷ったり、考える時間が欲しくなったとき以外は、退職自体を考え直すという態度をとらない方が良いでしょう。

また、しつこく引き止められると、こちらも強い言葉ではねつけたり、それまでの不満をあげつらったりと攻撃的な態度をとりたくなるかもしれませんが、トラブルのもとになるので避けましょう。

表面上だけでも、それまでお世話になったことに対する感謝と、自分の都合で退職することを申し訳なく思う気持ちを表して謙虚な態度を貫いた方が、穏便に退職を進めることができます。

何をどう言っても、退職が認めてもらえない、もしくは認めてもらえなさそう…という場合、会社側には対応のしようがない、認めざるを得ない事情を退職理由として伝えるのも有効な方法です。

引っ越しや親の介護など家庭の事情、女性であれば結婚・出産など、現職と両立することは絶対にできないような理由があれば、会社側としても引き止め続けることは難しくなります。

どうせ辞める会社だと思うと、不満に思っていたことをはっきりと言ってやりたくなってしまいそうです。言い方に気をつければ大丈夫でしょうか?
退職を決めているのであれば、無用のトラブルを避けるためにも余計なことは言わない方がよいですね。明らかに不当なことがあれば言い方に気を付けて伝えてみてもいいかもしれませんが…。基本的には立つ鳥跡を濁さずですよ。

引き止められても退職を諦める必要はない!自分の意思を貫くべし

退職の引き止め方や引き止める理由には様々なパターンがありますが、そのほとんどは会社のためであって、純粋にあなたのためを思っての引き止めというのはほとんどないのが実情です。

立場や責任があるほど会社を辞めることに罪悪感を感じ、引き止められると悩んでしまうかもしれませんが、その立場や責任はあくまでも『その会社の従業員としてのあなた』のものであって、あなた自身のものではありません。

もちろん引継ぎや残務処理など最低限の従業員としての務めは果たしていくべきですが、そこから先の責任を負うのは会社とそこで働く人たちであって、あなたではないのです。

退職を決めるに至るには、人それぞれ様々な理由や事情があります。それをおしてまで、会社のため、誰かのために自分を押し殺して献身し続ける必要はありません。

引き止めに応じて退職を考え直すのはもちろん、1つの選択肢としてありですが、しつこく引き止められたから退職を諦める…というのは間違っています。

退職するとはっきりと決断したのなら、ぜひその意思を大事にして、貫き通してください。